令和5年度(前期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.12は、三相誘導電動機の特性に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、同期速度の式を使って選択肢を判断できるかを問うものです。引っかけの核心は、周波数を低くしたときの向きを逆にしている点にあります。
周波数は分子にあります。
正解:選択肢4
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 適当 | 負荷が増えると滑りが大きくなり、回転速度は遅くなる |
| 2 | 適当 | 滑りが減れば同期速度に近づくので、回転速度は速くなる |
| 3 | 適当 | 極数pは分母にあるので、少なくすると速くなる |
| 4 | 不適当 | 周波数fは分子。低くすると遅くなる |
最も不適当なのは選択肢4です。
三相誘導電動機の回転速度は、同期速度と滑りで決まります。
同期速度 Ns = 120 f ÷ p 〔min-1〕
f:電源周波数〔Hz〕 p:極数
回転速度 N = Ns × (1 − s)
s:滑り
この式を見れば、選択肢3と4の違いが分かります。
| 変えるもの | 式での位置 | 速度への効き方 |
|---|---|---|
| 周波数 f | 分子 | 高くすると速く、低くすると遅くなる |
| 極数 p | 分母 | 少なくすると速く、多くすると遅くなる |
数字で確かめます。極数4のとき、周波数を変えると次のようになります。
60 Hz → 120 × 60 ÷ 4 = 1 800 min-1
50 Hz → 120 × 50 ÷ 4 = 1 500 min-1
周波数を60から50に下げると、1 800から1 500へ遅くなりました。選択肢4は向きが逆です。
インバータで電動機の速度を変えられるのは、この関係を使っているからです。周波数を変えれば速度が変わります。
滑りは、同期速度と実際の回転速度のずれを表します。
滑り s = (Ns − N) ÷ Ns
無負荷に近いとき → s は小さい(0.01くらい)
負荷が重いとき → s は大きくなる
誘導電動機は同期速度でちょうど回ることはありません。回転子に電流を流すには、回転磁界との速度差が要るからです。
負荷が増えるとトルクが必要になり、そのぶん滑りが大きくなって回転が落ちます。選択肢1と2は、この関係を裏表で言っています。
極数4の電動機を50 Hzで運転したときの同期速度はいくつか。
120×50÷4=1 500 min-1です。60 Hzなら1 800 min-1になります。
誘導電動機が同期速度で回らないのはなぜか。
回転磁界と回転子に速度差がないと回転子に電流が流れず、トルクが出ないからです。この速度差が滑りです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月