令和5年度(前期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.8は、水力発電所の発電機出力Pを求める式として正しいものを選ぶ問題です。Qは水量、Hは有効落差、ηgは発電機の効率、ηtは水車の効率です。
この問題は、効率を掛けるのか割るのかを正しく判断できるかを問うものです。効率は1より小さいので、掛けると出力が減ります。
水量Qは2乗になりません。
正解:選択肢1(P=9.8 Q H ηg ηt)
| 選択肢 | 式 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 9.8 Q H ηg ηt | Qは1乗、効率は掛ける。正しい |
| 2 | 9.8 Q² H ηg ηt | Qが2乗になっている |
| 3 | 9.8 Q H ÷ (ηg ηt) | 効率で割ると、理論値より大きくなってしまう |
| 4 | 9.8 Q² H ÷ (ηg ηt) | 2乗と割り算の両方が違う |
正しいのは選択肢1です。
水力発電の出力は、水がもつ位置エネルギーから出発します。
理論水力 P0 = 9.8 × Q × H 〔kW〕
9.8:重力加速度〔m/s²〕
Q:水量〔m³/s〕 H:有効落差〔m〕
9.8が出てくるのは、重力加速度と水の密度から来ています。水1m³は約1 000 kgなので、単位をkWに揃えると係数が9.8になります。
この理論水力から、実際に取り出せる電力を求めます。途中で2段階のロスがあります。
| 段 | 変換 | かかる効率 |
|---|---|---|
| ① | 水 → 水車の回転 | 水車の効率 ηt |
| ② | 回転 → 電気 | 発電機の効率 ηg |
効率は1より小さい値です。0.9とか0.85といった数になります。掛けると値が小さくなり、割ると大きくなります。
実際に出せる電力が理論値を超えることはありません。したがって掛け算が正しい形です。
P = 9.8 × Q × H × ηt × ηg 〔kW〕
数字を入れて確かめます。Q=10 m³/s、H=50 m、ηt=0.90、ηg=0.95 とします。
理論水力 = 9.8 × 10 × 50 = 4 900 kW
発電機出力 = 4 900 × 0.90 × 0.95 = 約4 190 kW
理論値より小さくなりました。選択肢3の式で計算すると約5 730 kWとなり、理論値を上回ってしまいます。これで割り算が違うと分かります。
Qが1乗である理由も、式の意味から分かります。1秒あたりに落ちる水の量が2倍なら、取り出せる電力も2倍です。2乗にはなりません。
効率を割り算にすると何がおかしいか。
効率は1より小さいので、割ると出力が理論水力より大きくなってしまいます。取り出せる電力が元のエネルギーを超えることはありません。
式に出てくる9.8は何か。
重力加速度〔m/s²〕です。水の密度と合わせて、出力をkWで表すための係数になっています。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月