令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.33は、無停電電源装置(UPS)に関する記述として、「日本産業規格(JIS)」上、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、並列冗長と待機冗長の違いを分かっているかを問うものです。並列冗長は全部のユニットが同時に運転して負荷を分け合います。
待たせておくのは待機冗長のほうです。
正解:選択肢1(1台以上のUPSユニットを待機させておく)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 並列冗長は待機させておくシステム | 待機冗長の説明。並列冗長は同時運転。不適当 |
| 2 | 常時商用給電方式は異常時に蓄電池運転 | 定義どおり。適当 |
| 3 | インバータは直流を交流に変換する | 定義どおり。適当 |
| 4 | 保守バイパスは保守期間中の電力経路 | 定義どおり。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、どちらも「壊れたときに備える」仕組みなので、説明が入れ替わっても気づきにくいところです。分かれ目はふだんから動いているかどうかです。
| 方式 | ふだんの状態 | 1台壊れたとき |
|---|---|---|
| 並列冗長 | 全台が並列運転し負荷を分担 | 残りの台で全負荷を負う。切り替えが要らない |
| 待機冗長 | 常用が運転、予備は止まっている | 予備に切り替える。切り替えの動作が入る |
並列冗長では、たとえば3台のUPSで2台分の負荷をまかないます。1台が故障しても残りの2台がそのまま負荷を持ち続けるので、切り替えという動作そのものが起きません。切り替えがないぶん、失敗する余地もありません。
この論点は年度をまたいで繰り返されています。平成29年度 No.36には「並列冗長UPSは、常用UPSユニットの故障に備えて、別のUPSユニットを待機させておくシステムである。」という選択肢があり、これが誤りとされました(公表正答は3)。今回の選択肢1とほぼ同じ文が、過去にも答えになっています。
正しい定義のほうも過去問に出ています。平成27年度 No.36と令和元年度 No.36には「並列冗長UPSは、複数のUPSユニットが負荷を分担しつつ並列運転を行い、1台以上のUPSユニットが故障したとき、残りのUPSユニットで全負荷を負うことができるように構成したシステムである。」という選択肢があり、どちらも正しい選択肢として置かれていました(公表正答はそれぞれ2と3)。
選択肢2の常時商用給電方式は、ふだんは商用電源をそのまま負荷へ送る方式です。電圧や周波数が許容範囲を外れたときだけ蓄電池運転に切り替わり、インバータが供給を続けます。令和元年度 No.36にも同じ内容が正しい選択肢として出ています。
| 給電方式 | 通常運転時の経路 |
|---|---|
| 常時商用給電方式 | 商用電源をそのまま負荷へ。異常時だけインバータへ切り替わる |
| 常時インバータ給電方式 | 整流器で直流にし、インバータで交流に戻して負荷へ |
この2つも入れ替えて出ます。平成27年度 No.36では「常時商用給電方式は、通常運転状態ではインバータは蓄電池運転状態となり、負荷電力はインバータを経由して供給される給電方式である。」が誤りとされました(公表正答は2)。これは常時インバータ給電方式の説明です。
選択肢3のインバータは直流から交流への変換器です。逆に交流から直流へ変えるのが整流器(コンバータ)で、UPSはこの2つと蓄電池を組み合わせた装置です。
選択肢4の保守バイパスは、点検や修理の間もUPSを通さずに負荷へ電気を送るための経路です。これがないと保守のたびに負荷を止めることになります。
並列冗長UPSは、ふだん予備のユニットをどうしているか。
止めずに運転させ、全台で負荷を分担しています。待機させておくのは待機冗長です。
常時商用給電方式で、通常運転時に負荷へ電気を送っているのは何か。
商用電源そのものです。電圧や周波数が許容範囲を外れたときだけインバータに切り替わります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月