令和4年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.91は、建設の事業における災害補償に関する記述として、「労働基準法」上、誤っているものを選ぶ問題です。
この問題は、下請の労働者が負傷したとき誰が補償するかを分かっているかを問うものです。数次の請負では、元請負人を使用者とみなします。
選択肢1はこれを打ち消しています。
正解:選択肢1(元請負人は使用者とはならないとした記述)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 数次の請負では元請負人は使用者とはならない | 誤り。使用者とみなす |
| 2 | 業務上の負傷・疾病の療養の費用を負担する | 正しい(第75条) |
| 3 | 労災保険から給付が行われれば補償の責を免れる | 正しい |
| 4 | 障害が残れば障害補償を行う | 正しい |
誤っているのは選択肢1です。
引っかけの核心は、下請の労働者を雇っているのは下請なので、元請は使用者ではないという常識のほうが自然に見えるところです。雇用の関係だけを見れば、そのとおりです。
労働基準法第87条第1項は「その元請負人を使用者とみなす」と定めています。雇用の関係とは別に、補償の責任だけを元請へ寄せる規定です。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 第1項 | 数次の請負のときは元請負人を使用者とみなす |
| 第2項 | 書面の契約で下請に補償を引き受けさせたときは、その下請も使用者になる |
| 第3項 | 元請が請求を受けたときは、引き受けた下請へまず催告するよう求められる |
こうなっているのは、小さな下請では補償の資力が足りないことがあるからです。けがをした労働者が支払を受けられない事態を避けるために、元請が受け止めます。
この論点は肯定と否定で反転して出ています。平成26年度 No.91と平成29年度 No.91の選択肢1は「元請負人を使用者とみなす」で正しい肢でした。令和4年度と令和7年度 No.88は「使用者とはならない」「使用者とはみなされない」と否定形にして誤り肢にしています。
選択肢3の労災保険は、実際の支払を担う仕組みです。同じ事故に二重で払う必要はないので、給付が行われれば使用者は補償の責を免れます。
選択肢2の療養補償には、労働者の側の負担がありません。業務上の負傷や疾病なら、費用は使用者が持ちます。
建設の事業が数次の請負で行われる場合、災害補償の使用者は誰か。
元請負人です。労働基準法第87条第1項が「その元請負人を使用者とみなす」と定めています。
労災保険から給付が行われるとき、使用者の補償はどうなるか。
補償の責を免れます。同じ事故に二重で支払う必要がないためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月