令和4年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.77は、直流電気鉄道における帰線の漏れ電流の低減対策に関する記述として、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、レール電位の傾きと漏れ電流の関係を分かっているかを問うものです。レールと大地の電位差が大きいほど、電流は地中へ逃げます。
逃がしたくないなら、傾きは小さくします。
正解:選択肢2(レール電位の傾きを大きくしたとする記述)
> この論点をやさしく解説:帰線の漏れ電流とは?電食の起こり方と軽減対策を整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | クロスボンドを増設して帰線抵抗を小さく | 適当 |
| 2 | 架空絶縁帰線を設けてレール電位の傾きを大きく | 不適当。小さくする |
| 3 | 変電所数を増加しき電区間を縮小 | 適当 |
| 4 | 道床の排水をよくして漏れ抵抗を大きく | 適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、架空絶縁帰線を設けるという打ち手そのものは正しく、そのあとの「大きくした」だけが誤りなところです。前半で納得すると、後半を読み流します。
直流電気鉄道では、電車に流れた電流がレールを通って変電所へ戻ります。レールは大地の上に置かれているだけなので、一部が地中へ漏れます。
漏れた電流は近くの埋設金属管に入り、出ていく場所で電食を起こします。これを減らすのが対策の目的です。
| 対策 | ねらい |
|---|---|
| クロスボンドの増設 | 帰線抵抗を小さくして、レールを通りやすくする |
| 架空絶縁帰線 | レール電位の傾きを小さくする |
| 変電所数を増やす | き電区間が短くなり、電流の通る距離が縮む |
| 道床の排水をよくする | レールから大地への漏れ抵抗を大きくする |
大きくするものと小さくするものが混ざるので、レールの側を通りやすく、大地の側を通りにくくと一度に整理しておくと迷いません。
架空絶縁帰線は、レールと並行して張った電線を要所でレールにつなぎ、帰りの電流を分担させるものです。レールの各点の電位が平らに近づくので、傾きは小さくなります。
この文はそのまま繰り返し出ています。平成29年度 No.65と令和元年度 No.65は選択肢の位置まで同じ3番で、どちらも「架空絶縁帰線を設けて、レール電位の傾きを大きくした」が答えでした。
令和7年度 No.74では反対に、選択肢1が「架空絶縁帰線を多数設け、レール電位の傾きを小さくした」と正しい肢に直され、代わりに「クロスボンドを減らし、帰線抵抗を大きくした」が誤り肢になっています。平成26年度 No.65では「変電所数を減らす」が誤りでした。
架空絶縁帰線を設けると、レール電位の傾きはどうなるか。
小さくなります。帰りの電流を分担させることでレール各点の電位が平らに近づき、地中へ漏れる電流が減ります。
道床の排水をよくするのはなぜか。
レールから大地への漏れ抵抗を大きくするためです。水を含むと大地へ流れやすくなります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月