令和4年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.21は、架空送電線における支持点間の電線のたるみの近似値D[m]および電線の実長の近似値L[m]を求める式の組合せを選ぶ問題です。径間S[m]、電線の最低点の水平張力T[N]、電線の単位長さ当たりの重量W[N/m]とされています。
この問題は、2つの式の分母をそれぞれ覚えているかを問うものです。たるみは8T分の、実長は3S分の8です。
8と3が入れ替わる形で選択肢が作られています。
正解:選択肢4(D = WS2/8T、L = S + 8D2/3S)
| 選択肢 | たるみ D | 実長 L | 解説 |
|---|---|---|---|
| 1 | WS2/3T | S + 8D2/3S | 実長は合っているが、たるみの分母が3T |
| 2 | WS2/8T | S + 3D2/8S | たるみは合っているが、実長の8と3が逆 |
| 3 | WS2/3T | S + 3D2/8S | 両方とも違う |
| 4 | WS2/8T | S + 8D2/3S | 正しい |
正しいのは選択肢4です。
2つの式は覚えるものですが、それぞれの分子と分母がどう効くかを見ると納得できます。
たるみ
D = W S2 / (8 T) [m]
電線が重い(W大)ほど、径間が長い(S大)ほど下がる。強く張る(T大)ほど下がらない。
実長
L = S + 8 D2 / (3 S) [m]
たるみが無ければ(D=0)実長は径間Sそのもの。たるむほど径間より長くなる。
たるみの式は径間が2乗で効くのが特徴です。径間を2倍にすると、たるみは4倍になります。
実長の式は、Sに足し算で付け足す形です。たるみDが小さければ足す分もわずかで、実長はほぼ径間と同じになります。
2つを見比べると、たるみの分母が8、実長の分子が8で分母が3という並びです。数字の位置が入れ替わっているので、片方だけ覚えても間違えます。
| 式 | 8の位置 | 3の位置 |
|---|---|---|
| たるみ D | 分母(8T) | 出てこない |
| 実長 L | 分子(8D2) | 分母(3S) |
同じ組合せを選ばせる問題が令和2年度 1級 No.21(公表正答1)と令和8年度 1級 No.18(公表正答2)に出ています。記号の定義まで同じ文で、選択肢の並びだけが変わります。
実長だけを問う形もあります。平成27年度 1級 No.21と平成30年度 1級 No.21では、径間SとたるみDが与えられて実長Lの式だけを選ばせていました。
現場では、たるみを取りすぎると下の建物や樹木との離隔が足りなくなり、取らなさすぎると張力が過大になって断線につながります。式は施工上の判断に直結します。
径間を2倍にすると、たるみは何倍になるか。
4倍です。たるみの式では径間Sが2乗で効きます。
実長の式でたるみDが0のとき、Lはいくらか。
径間Sと同じになります。8D2/3Sの項が0になるためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月