令和4年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.17は、風力発電の風車の受風面積を通過する風の運動エネルギーW[J]を表す式を選ぶ問題です。受風面積A[m2]、風速v[m/s]、空気密度ρ[kg/m3]とされています。
この問題は、風速が2か所に出てくることを分かっているかを問うものです。通り抜ける空気の量にも、その空気の速さにも風速が入ります。
だから3乗になります。
正解:選択肢4(W = ρAv3 / 2)
| 選択肢 | 式 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ρAv2 | 2分の1が抜け、風速も2乗どまり |
| 2 | ρAv3 | 3乗は合っているが2分の1が抜けている |
| 3 | ρAv2 / 2 | 2分の1は合っているが風速が2乗どまり |
| 4 | ρAv3 / 2 | 正しい |
正しいのは選択肢4です。
運動エネルギーの式は(1/2)mv2です。あとは質量mを、受風面積を通り抜ける空気の量に置き換えます。
手順1|1秒間に通り抜ける空気の体積を出す
面積Aの窓を、風速vで1秒間に通る空気は、長さvの筒の分。
体積 = A v [m3]
手順2|質量にする
m = ρ × A v = ρ A v [kg]
手順3|運動エネルギーの式に入れる
W = (1/2) m v2 = (1/2) (ρ A v) v2 = ρ A v3 / 2
3乗になる理由がここで見えます。質量を出すときに1回、運動エネルギーの式で2回、合わせて3回vを掛けています。
風速が2倍になると、エネルギーは2の3乗で8倍になります。風力発電では風の強い場所を選ぶことが決定的に効くのは、この3乗のためです。
| 風速 | エネルギー | 倍率 |
|---|---|---|
| v | W | 1倍 |
| 2v | 8W | 8倍 |
| 3v | 27W | 27倍 |
受風面積Aは1乗です。羽根の直径を2倍にすると面積は4倍になるので、直径では2乗で効きます。風速のほうがはるかに効くわけです。
同じ問題が平成26年度 1級 No.17(公表正答3)に出ています。そちらは1秒間に受ける風の運動エネルギーという書き方で、選択肢の並びが違うだけで答えの式は同じρAv3/2でした。
実際に風車が取り出せるのはこの全部ではありません。理論上の上限は約59.3%で、これをベッツの限界と呼びます。全部取り出すと風が止まってしまい、後ろへ抜けられなくなるためです。
風のエネルギーの式で風速が3乗になるのはなぜか。
1秒間に通り抜ける空気の質量ρAvに風速が1回入り、運動エネルギーの式(1/2)mv2でさらに2回入るためです。
風速が2倍になるとエネルギーは何倍か。
8倍です。3乗で効くため2の3乗になります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月