令和4年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.11は、配電線路に600kW、遅れ力率80%の三相負荷があるとき、電力用コンデンサを負荷と並列に接続して力率を100%に改善するために必要なコンデンサ容量[kvar]を求める問題です。
この問題は、コンデンサが打ち消すのは無効電力だということを分かっているかを問うものです。力率100%にするなら、いま出ている無効電力と同じ大きさを入れます。
有効電力の600kWをそのまま使うわけではありません。
正解:選択肢2(450kvar)
| 選択肢 | 値 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 360 kvar | 600×0.6の値。皮相電力でなく有効電力にsinθを掛けている |
| 2 | 450 kvar | 正しい。750×0.6 |
| 3 | 480 kvar | 600×0.8の値。cosθを掛けている |
| 4 | 800 kvar | 600÷0.75の値 |
正しいのは選択肢2です。
力率80%というのは、皮相電力のうち80%しか有効に使えていないという意味です。残りは無効電力として行き来しています。
手順1|皮相電力を出す
S = P / cosθ = 600 / 0.8 = 750 kV·A
手順2|sinθを出す
cosθ = 0.8 なので sinθ = √(1 − 0.82) = √0.36 = 0.6
手順3|無効電力を出す
Q = S sinθ = 750 × 0.6 = 450 kvar
手順4|力率100%にする
無効電力を全部消せばよいので、必要なコンデンサ容量は 450 kvar
有効電力から直接出すこともできます。Q = P tanθ = 600 × (0.6/0.8) = 600 × 0.75 = 450 kvar で同じ値になります。
力率80%は3対4対5の直角三角形になります。有効600、無効450、皮相750で、それぞれ150の4倍・3倍・5倍です。この形を覚えておくと暗算できます。
| 電力 | 値 | 三角形の辺 |
|---|---|---|
| 有効電力 P | 600 kW | 4(底辺) |
| 無効電力 Q | 450 kvar | 3(高さ) |
| 皮相電力 S | 750 kV·A | 5(斜辺) |
力率を100%まで上げると、皮相電力は750kV·Aから600kV·Aに下がります。同じ仕事をするのに流す電流が減るので、線路の損失も電圧降下も小さくなります。
力率を100%より上げようとすると、今度は進みすぎて電圧が上がってしまいます。改善は100%までで止めるのが原則です。
問題文の「負荷と並列に接続」は、コンデンサの入れ方を示しています。並列に入れることで、負荷が必要とする無効電力をコンデンサが供給し、電源側まで往復させずに済みます。
力率80%、有効電力600kWのときの無効電力はいくらか。
450kvarです。皮相電力750kV·Aにsinθ=0.6を掛けるか、600×tanθ=600×0.75で求めます。
力率を改善すると線路にどんな効果があるか。
同じ有効電力を送るのに流す電流が減るので、線路の損失と電圧降下が小さくなります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月