けんせつる
なんでセグメントの外側にすき間ができるの?
組んだあと、そのままにしておいて大丈夫?
この記事の要点
セグメントとは、シールドトンネルの内側にリング状に組み立てて壁(覆工)をつくる部材のことです。種類は鋼製・鉄筋コンクリート・合成の3つです。
「小さいから空隙ができる」「空隙があるから沈下する」「だからすぐ注入する」。この一本で全部つながります。
まず、セグメントがどこでどう組まれるのかを押さえます。
セグメントは、シールド工法で掘り進めたトンネルの内側に、リング状に組み立てて壁(覆工)をつくる部材です。トンネルの断面を分割したブロックだと考えると分かりやすくなります。
組み立てる場所は、シールド機のテール部の中です。シールド機は前から順に3つの部分に分かれています。
密閉型シールドでは、フード部とガーダー部が隔壁で仕切られています。切羽の土や泥水を受け止めるためです。テール部の中では、エレクタという機械で1リングずつセグメントを組み立てます。
セグメントの外径は、シールドの掘削外径よりも小さくなります。これは設計の失敗ではなく、必然です。
セグメントはシールド機のテール部の中で組み立てられます。組み立てる場所が機械の内側にある以上、できあがるリングは機械の外径より小さくなります。そしてシールドが前進すると、テールを抜けたセグメントの外周にすき間が残ります。これがテールボイドです。
すき間をそのままにすると、周りの地盤がそこへ落ち込みます。地盤が緩んで沈下します。だからシールド推進後、この空隙にモルタル等を注入します(裏込め注入)。
ここで問われるのが時期です。注入は掘進と同時か直後に速やかに行います。「地盤の安定後に行う」は誤りです。地盤が安定するのを待っていたら、その間に沈下が起きてしまいます。順序が逆で、沈下する前に埋めるのが目的です。
| 種類 | つくり | 特徴 |
|---|---|---|
| 鋼製セグメント | 鋼でできた箱型 | 材質が均一で比較的軽量。施工性がよい |
| 鉄筋コンクリートセグメント | 鉄筋コンクリート製 | 完成後の地山の外力と推進時の施工荷重を対象に配筋。運搬時は別の荷重がかかるため、つり位置の検討が必要 |
| 合成セグメント | 鋼殻とコンクリートの組合せ | 同じ断面なら高い耐力と剛性。鉄筋コンクリートセグメントに比べて高さ(鋼殻の桁高)を低減できる |
過去問では「覆工に用いるセグメントの種類は、コンクリート製や鋼製のものがある」という形で、正しい肢として出ます。
セグメントの組立は、所定の内空を確保するため正確かつ堅固に施工し、目開きや目違い等の防止について精度の高い管理を行います。
どちらもトンネルの断面が狂うだけでなく、そこから水が入ります。だから継手ボルトを定められたトルクで十分に締め付けます。トンネル断面の確保、止水効果の向上、地盤沈下の減少が目的です。
組立はエレクタを使い、下部から左右に交互に進め、最後に天端のキーセグメント(Kセグメント)を挿入してリングを閉じます。
そして見落としやすいのがテールを離れたあとです。テールを離れたセグメントは、土水圧等の外圧により変形しやすくなります。機械の中にある間は守られていますが、出た瞬間から地盤の圧力を直接受けます。裏込め注入がある程度硬化するまでの間、形状保持装置を用いることが有効です。
混同しやすい用語
鋼製セグメント と 合成セグメント
つくりが違います。鋼製セグメントは鋼だけでできた箱型で、材質が均一で軽量、施工性がよいのが特徴です。合成セグメントは鋼殻とコンクリートを組み合わせたもので、同じ断面なら高い耐力と剛性が得られ、高さを低減できます。鋼だけが鋼製、鋼とコンクリートの組合せが合成です。
フード部 と ガーダー部 と テール部
備えている機構が違います。フード部は切削機械、ガーダー部は推進ジャッキ、テール部は覆工作業ができる機構です。「フード部にジャッキ」「テール部にジャッキ」はどちらも誤りとして出題されています。密閉型シールドで隔壁があるのはフード部とガーダー部の間で、ガーダー部とテール部の間ではありません。
目開き と 目違い
ずれ方が違います。目開きはセグメント同士のつなぎ目が開くこと、目違いはつなぎ目で面がずれて段差になることです。どちらもトンネル断面の狂いと漏水につながるため、継手ボルトを定められたトルクで締め付けて防ぎます。
セグメントは、シールド工法の設問の中で1級・2級ともに問われます。引っかけは3型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和5年度 1級(No.44) | 裏込め注入を「シールド掘進後に周辺地山が安定してから行わなければならない」→ 誤り。組立は目開き・目違いの防止に精度の高い管理、が正しい肢 ←①(正答3) |
| 令和8年度 2級(No.34) | 「掘進後は、セグメント外周の空隙に、地盤の安定後にモルタルを注入する」→ 誤り ←①(正答4) |
| 令和4年度 2級前期(No.29) | 「テール部には、シールドを推進させるジャッキを備えている」→ 誤り。ジャッキはガーダー部。セグメントの外径は掘削外径よりも小さくなるが正しい肢 ←②(正答3) |
| 令和6年度 2級前期(No.34) | 「フード部には、シールドを推進させるジャッキを備えている」→ 誤り ←②(正答2) |
| 令和5年度 2級前期(No.29) | 「密閉型シールドは、ガーダー部とテール部が隔壁で仕切られている」→ 誤り。フード部とガーダー部 ←③(正答4) |
| 令和7年度 1級(No.49) | テールを離れたセグメントは外圧で変形しやすいため、裏込め注入がある程度硬化するまで形状保持装置が有効、が正しい肢(正答1) |
| 令和7年度 2級(No.34) | シールド工法の施工とシールドジャッキの位置(正答2) |
7年分を見ると、裏込め注入の時期と、ジャッキがどの部位にあるかで大半が切れます。セグメントの種類そのものは、正しい肢として出ることのほうが多いところです。
問題:セグメントの外径がシールドの掘削外径より小さくなるのはなぜか。そのあと何をするか。
セグメントはシールド機のテール部の中で組み立てられるため、できあがるリングは機械の外径より小さくなります。シールドが前進するとテールを抜けたセグメントの外周に空隙が残るので、モルタル等を注入します(裏込め注入)。(令和4年度2級前期 No.29)
問題:裏込め注入を「地盤の安定後」に行ってはいけないのはなぜか。
注入の目的が地盤の緩みと沈下を防ぐことだからです。地盤が安定するのを待つということは、その間に周りの地盤が空隙へ落ち込むのを見過ごすということです。沈下する前に埋めるので、掘進と同時か直後に速やかに行います。(令和5年度1級 No.44、令和8年度2級 No.34)
問題:シールドを推進させるジャッキは、フード部・ガーダー部・テール部のどこにあるか。
ガーダー部です。フード部は切削機械、テール部は覆工作業ができる機構を備えています。「フード部にジャッキ」「テール部にジャッキ」はどちらも誤りとして出題されています。(令和6年度2級前期 No.34、令和4年度2級前期 No.29)
問題:テールを離れたセグメントに形状保持装置を用いるのはなぜか。いつまで必要か。
テールを離れると土水圧等の外圧を直接受けて変形しやすくなるためです。機械の中にある間は守られていますが、出た瞬間から地盤の圧力がかかります。裏込め注入がある程度硬化するまでの間、形状保持装置を用いることが有効です。(令和7年度1級 No.49)
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
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管理人からのコメント
セグメントの話は、「機械の中で組むから小さくなる」という一点から順に説明がつきます。小さいから外にすき間ができ、すき間があるから地盤が落ち込み、落ち込む前に埋めたいから注入はすぐ。「地盤の安定後」という肢は、この順序を逆にしています。
ジャッキの位置は、機械の役割で考えれば迷いません。前で掘る(フード部)、真ん中で押す(ガーダー部)、後ろで組む(テール部)。押す力は真ん中から、組んだセグメントを反力にして押し出します。だからジャッキはガーダー部です。
テールを離れたあとの変形は、あまり触れられませんが令和7年度の1級で出ています。機械の中では守られていて、出た瞬間に地盤の圧力を受ける。裏込めが固まるまでが無防備な時間だ、と理解しておくと形状保持装置の位置づけも分かります。