けんせつる
手順はどれも正しそうに見える。どこで見分けるの?
この記事の要点
埋設物は地下のガス管・水道管・電線、架空線等上空施設は頭上の電線や通信線です。掘る前と、機械を上げる前に手を打ちます。
誤り肢は3年連続で「相手」を入れ替えています。何をするかより、誰に対してかを見ます。
1級の第一次検定問題B No.30で、令和5年度から3年連続で出題されています。
この枠の選択肢は、手順そのものはどれも正しく書かれています。変えてあるのは相手だけです。
相手を決めているのはその施設を持ち、日々管理している事業者という考え方です。電線なら電力会社、通信線なら通信事業者、ガス管ならガス事業者になります。
防護が必要かどうか、どんな施工方法なら安全かを判断できるのは、その施設の中身を知っている管理者だけです。発注者は工事を発注した立場であって、架空線の電圧や防護管の要否を決める立場にはありません。
埋設物の確認は2段構えです。
図面だけで済ませないのは、台帳の位置が実際とずれていることがあるためです。だから掘って目で見ます。
逆に、試掘で分かった実際の位置は管理者側の情報を新しくする材料にもなります。報告が求められるのはこのためです。
試掘等で埋設物を確認したときは、その位置(平面・深さ)や周辺地質の状況を報告します。
報告する相手=埋設物の管理者および道路管理者等の関係機関
令和7年度は、この報告先を「労働基準監督署及び埋設物の管理者」とした記述が誤りでした。労働基準監督署は労働災害に関する行政機関で、埋設物の位置情報を受け取る窓口ではありません。
管理者が分からない埋設物を見つけたときは、手を付けません。必要に応じて専門家の立会いを求め、調査をやり直し、安全を確認してから措置します。
埋設物に近接して施工する場合は、着手前に埋設物の管理者および関係機関と協議します。決めておくのは次の4つです。
緊急時の連絡先と方法まで含まれているのが要点です。事故が起きてから調べるのでは間に合いません。
あわせて標示板を取り付けます。埋設物の位置・名称・管理者の連絡先を記載し、そこに何が埋まっているかを明確に認識できるようにします。
令和5年度は、この標示板で伝える相手を「近隣住民」とした記述が誤りでした。標示板は掘削する現場に掲げるもので、伝える相手は工事関係者です。
明り掘削でガス導管が露出したときの措置は、労働安全衛生規則に定めがあります。
労働安全衛生規則 第362条第2項 明り掘削の作業により露出したガス導管の損壊により労働者に危険を及ぼすおそれのある場合の前項の措置は、つり防護、受け防護等による当該ガス導管についての防護を行ない、又は当該ガス導管を移設する等の措置でなければならない。
同 第3項 事業者は、前項のガス導管の防護の作業については、当該作業を指揮する者を指名して、その者の直接の指揮のもとに当該作業を行なわせなければならない。
手当てはつり防護・受け防護等による防護、または移設です。そしてその防護作業は、指揮する者を指名し、その者の直接の指揮のもとで行わなければなりません。
同条第1項では、埋設物等やれんが壁・コンクリートブロック塀・擁壁等に近接する明り掘削で、損壊により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、補強・移設等の措置を講じた後でなければ作業を行ってはならないと定めています。
頭上の電線や通信線を架空線等上空施設といいます。建設機械のブームやダンプトラックの荷台を上げたときに接触する危険があります。
対策は2段構えです。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 事前 | その管理者に施工方法の確認や立会いを求める |
| 現場 | 架空線等と機械・工具・材料の安全な離隔を確保する |
| 接触のおそれがある作業 | 防護カバー・看板の設置、立入禁止区域の設定 |
ブーム操作やダンプアップは、その場で高さが変わる作業です。だから近づけない仕組みを先に作ります。
令和6年度は、確認や立会いを求める相手を「発注者」とした記述が誤りでした。同じ問題の他の記述はすべて埋設物や架空線の管理者を相手にしており、その1つだけ相手が違っていました。
混同しやすい用語
埋設物の管理者 と 道路管理者
持っているものが違います。埋設物の管理者はガス管や電線そのものを持つ事業者(ガス事業者、電力会社など)、道路管理者はその上の道路を管理する立場(国、都道府県、市町村)です。試掘で埋設物を確認したときは両方に報告します。防護方法を判断するのは埋設物の管理者、道路の使い方を判断するのは道路管理者です。
標示板 と 近隣への周知
相手が違います。標示板は埋設物の位置・名称・管理者の連絡先を記載して現場に掲げるもので、伝える相手は工事関係者です。掘削する人が「ここに何が埋まっているか」を知るための表示です。近隣住民への周知は工事案内やチラシで行うもので、標示板の目的ではありません。
安全管理は1級の問題B No.29〜No.31の枠に並びます。埋設物・架空線はNo.30で3年連続です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方 | 誤りの中身 |
|---|---|---|
| 令和7年度 1級(B No.30) | 埋設物・架空線近接工事の安全管理 | 報告先を労働基準監督署とした |
| 令和6年度 1級(B No.30) | 埋設物・架空線の保安措置 | 立会いを求める相手を発注者とした |
| 令和5年度 1級(B No.30) | 埋設物の損傷等の防止 | 標示板で伝える相手を近隣住民とした |
| 令和7年度 1級(B No.29) | 移動式クレーンの安全確保措置 | 架空線への接触防止を含む |
| 令和6年度 1級(B No.31) | 酸素欠乏等の措置 | 同じ枠の隣の出題 |
形式は「適当なものだけをすべて挙げている組合せ」です。4つの記述のうち誤りは1つで、残る3つは正しく書かれています。
問題:架空線の施工方法の確認や立会いを求める相手が、発注者ではなく管理者なのはなぜか。
その施設の中身を知っているのが管理者だけだからです。電線なら電力会社、通信線なら通信事業者が、日々その施設を管理しています。電圧や防護管の要否、どんな施工方法なら安全かを判断できるのはその立場です。発注者は工事を発注した立場であって、架空線の仕様を判断する立場にはありません。
問題:台帳と設計図面で位置を確認したうえで、さらに試掘を行うのはなぜか。
台帳の位置が実際とずれていることがあるためです。図面で当たりを付けたうえで、掘って原則として目視で種類・位置・規格・構造を確かめます。逆に、試掘で分かった実際の位置は管理者側の情報を新しくする材料にもなるので、確認した内容は管理者と道路管理者に報告します。
問題:明り掘削で露出したガス導管の防護作業について、労働安全衛生規則はどう定めているか。
第362条第2項で、措置はつり防護・受け防護等による防護または移設等でなければならないと定めています。さらに第3項で、その防護の作業については作業を指揮する者を指名し、その者の直接の指揮のもとに行わせなければならないとしています。作業員だけで進めてよい作業ではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
4つ並んだら、相手だけを縦に読む
この問題は、記述を1つずつ最後まで読むと時間がかかります。4つの記述の「相手」だけを縦に見比べると、1つだけ違う名前が混ざっているのが見えます。
令和6年度は、①③④が埋設物や架空線の管理者を相手にし、②だけが発注者でした。並べれば1行で分かります。