ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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移動式クレーンの定格荷重とは?アウトリガー・合図者・運転位置の決まりを整理

けんせつる

けんせつる

定格荷重って、フックの重さも入ってるの?

合図する人って、何人決めるんだっけ?

この記事の要点

定格荷重とは、そのときの作業半径とジブの長さで実際につり上げることができる荷の重さのことです。つり具(フックなど)の重量は含みません。

1級の問題B No.29に令和5・6・7年度と3年続けて出ています。2級でも令和4年度から4年続けて出ている定番です。押さえるのは5つです。

  • 定格荷重はつり具の重量を含まない。運転者と玉掛け者が常時知ることができるよう表示する。
  • アウトリガーは、原則として最大限に張り出す
  • 合図を行う者は指名する(1人決めて、その者に合図させる)。
  • 強風で危険が予想されるときは、作業を中止する。
  • 荷をつったまま運転位置を離れてはならない

出題はほぼ全部が語句の穴埋め・組合せです。語の対を覚えれば、その場で埋まります。

まず、定格荷重が何を指す値なのかを押さえます。ここが分かると、他の決まりも意味でつながります。

定格荷重とは何か

移動式クレーンは、同じ機械でも、つれる重さが一定ではありません。ジブ(腕)を長く伸ばすほど、また作業半径(旋回中心から荷までの水平距離)が大きいほど、てこの原理で機械にかかるモーメントが大きくなり、つれる重さは減ります。

そのときの条件でつれる重さが定格荷重です。だから運転席には、ジブの長さと作業半径ごとの定格荷重を示した表(定格総荷重表)が備えられています。

そして定格荷重には、フックなどのつり具の重量は含まれません。つり具の重さは機械側で差し引かれていて、残った「荷そのものにかけてよい重さ」が定格荷重です。

作業半径と定格荷重(模式図) 移動式クレーン アウトリガー 最大限に張り出す ジブ 作業半径 作業半径が大きいほど 定格荷重は小さくなる (定格荷重につり具は含まない)
作業半径と定格荷重の関係(模式図)。形・比率はイメージで、実物どおりではありません。

定格荷重とつり上げ荷重の違い

似た言葉が2つあり、使い道が違います。

用語 何を表すか 使い道
定格荷重 そのときの作業半径・ジブ長さで実際につれる荷の重さ。つり具を含まない 作業ごとの管理値。これを超えて使ってはならない
つり上げ荷重 その機械の能力を表す値 資格の区分が決まる(1t以上5t未満=小型移動式クレーン運転技能講習、5t以上=移動式クレーン運転士免許)

過去問では、定格荷重の側を「最大つり荷重」「つり荷の重心」に置き換える形が出ます。資格の区分そのものは特別の教育を要する業務にまとめています。

なお、クレーン機能付き油圧ショベルでクレーン作業を行うには、移動式クレーン側の資格が要ります。車両系建設機械の資格だけではできません。車両系の側の決まりは車両系建設機械の安全にまとめています。

なぜアウトリガーを最大限に張り出すのか

移動式クレーンが倒れるのは、荷の重さで生じるモーメントが、機械が踏ん張れる範囲を超えたときです。

アウトリガーは、この踏ん張れる範囲そのものを広げる装置です。張り出す幅が大きいほど支点の間隔が広がり、同じ荷でも転倒に対する余裕が増えます。逆に張り出しが中途半端だと、定格荷重表どおりの重さでも倒れます。だから原則として最大限に張り出します

設置場所の地盤も同じ理屈です。軟弱地盤ではアウトリガーが沈み、支点が下がって機械が傾きます。傾けば作業半径が変わり、モーメントが増えて転倒に向かいます。だから転倒するおそれのある場所では、原則として作業を行ってはなりません

合図者を1人に決める理由

運転者から荷や吊り先が見えないことがあります。そのとき運転者は合図に従って動かします。合図する人が複数いると、指示が食い違ったときに運転者はどちらに従うか判断できません。だから合図を行う者を指名し、その者の合図で動かします。「複数名を確保する」「監視員を置く」は引っかけです。

運転位置を離れない理由

荷をつったまま運転位置を離れると、荷が振れたり吊り具が外れかけたりしたときに、誰も止められません。だから荷をつったまま運転位置を離れてはなりません。「離れて荷姿や人払いを確認するのがよい」という選択肢は、一見ていねいに見えますが誤りです。

施工管理での確認ポイント

  • 資格証と機械の諸元を突き合わせる:つり上げ荷重に応じた資格(1t以上5t未満は小型移動式クレーン運転技能講習、5t以上は免許)を持っているかを確認する。玉掛け者の資格も同時に見る。
  • 定格荷重の表示を確認する:運転者と玉掛けをする者が定格荷重を常時知ることができるよう、表示その他の措置が講じられているか(クレーン等安全規則第70条の2)。
  • 設置地盤を確認する:アウトリガーの下に敷鉄板を入れるなど、沈下しない措置がとられているか。軟弱地盤ではそもそも設置場所を変える。
  • アウトリガーの張出しを見る:最大限に張り出しているかを目視する。半張り出しなら、その状態の定格荷重で運用しているかを確認する。
  • 合図者を1人決める:作業前の打合せで指名し、関係労働者に周知する。
  • 作業前点検を確認する:その日の作業を開始する前に点検が行われているか。
  • 風速を見る:強風で危険が予想されるときは中止する。悪天候による作業中止の基準とあわせて確認する。

混同しやすい用語

定格荷重 と つり上げ荷重

定格荷重は、その作業半径・ジブの長さで実際につり上げられる荷の重さで、つり具の重量を含みません。つり上げ荷重は機械の能力を表す値で、資格の区分はこちらで決まります。過去問では、定格荷重の側を「最大つり荷重」「つり荷の重心」に置き換える形が出ます。

合図を行う者を指名 と 複数名確保

合図する人は1人決めて、その者に合図させます。複数いると合図が食い違い、運転者が判断できません。「複数名を確保する」「監視員を置く」は引っかけです。

作業半径 と ジブの長さ

作業半径は旋回中心から荷までの水平距離、ジブの長さは腕そのものの長さです。どちらが変わっても定格荷重は変わります。定格総荷重表はこの2つの組合せで読みます。

過去問でどう問われたか

クレーン等安全規則にもとづく問題なので、聞かれる語はほぼ固定されています。用意される対の片方が正しく、もう片方が引っかけです。引っかけは大きく3パターンです。

  • 語の置き換え……定格荷重を「最大つり荷重」「つり荷の重心」に、合図者の指名を「複数名確保」「監視員」に置き換える。
  • 対応の逆転……強風時を「注意して実施」、運転位置を「離れて荷姿や人払いを確認するのがよい」とする。
  • 含む・含まない……定格荷重がつり具の重量を「含む」とする。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和7年度 1級 問題B(No.29)運転者・玉掛け者が常時知るのは定格荷重で表示その他の措置(つり荷重ではない)←①語
令和6年度 1級 問題B(No.29)運転資格・定格荷重(つり具を含まない)・点検(その日の作業を開始する前)・合図者の指名 ←③含む含まない
令和5年度 1級 問題B(No.29)定格荷重/指名/つり上げられている荷/中止 の4対 ←①②
令和7年度 2級(No.64)中止・玉掛け・合図・運転位置の組合せ
令和6年度 2級前期(No.64)定格荷重・中止・合図者・関係労働者に周知させ ←①語
令和5年度 2級後期(No.59)定格荷重超過の禁止・転倒のおそれのある場所・アウトリガーの最大限張出し・運転位置
令和4年度 2級前期(No.59)定格荷重はつり具の重量を含まない。荷をつったまま運転位置を離れてはならない ←②③

つまり定格荷重はつり具を含まない、アウトリガーは最大限、合図者は指名、強風は中止、運転位置は離れない。この5つで穴が埋まります。

管理人からのコメント

この論点は、条文を読むより「事故が起きるとしたらどこか」で考えるほうが早いです。アウトリガーを張り切らなければ倒れる。合図する人が複数いれば指示が食い違う。荷の下に人が入れば落ちたときに当たる。運転位置を離れれば、荷が動いたときに誰も止められない。全部そのまま条文になっています。

逆に言うと、選択肢が「注意して実施する」「離れて確認するのがよい」のように、その場の判断にゆだねる書き方をしていたら、まず誤りです。規則は判断ではなく行為を決めています。

理解度チェック

問題:移動式クレーンの定格荷重が、作業半径によって変わるのはなぜか。

作業半径が大きくなるほど、荷の重さが機械にかけるモーメントが大きくなるためです。同じ機械でも、腕を長く伸ばして遠くをつるほど、つれる重さは小さくなります。だから定格総荷重表は、ジブの長さと作業半径の組合せで読みます。

問題:アウトリガーを原則として最大限に張り出すのはなぜか。

アウトリガーは機械が踏ん張れる範囲を広げる装置で、張り出す幅が大きいほど支点の間隔が広がり、転倒に対する余裕が増えるためです。張出しが中途半端だと、定格荷重表どおりの重さでも倒れます。(令和5年度2級後期 No.59)

問題:合図を行う者を複数確保するのではなく、1人指名するのはなぜか。

運転者は荷や吊り先が見えないことがあり、合図に従って動かすためです。合図する人が複数いると指示が食い違ったときに運転者が判断できません。だから1人を指名し、その者の合図で動かします。(令和5年度1級 問題B No.29)

まとめ

  • 定格荷重とは、そのときの作業半径・ジブの長さで実際につれる荷の重さ。つり具の重量を含まない
  • 運転者・玉掛け者が定格荷重を常時知ることができるよう表示する(クレーン等安全規則第70条の2)。定格荷重をこえて使用してはならない。
  • 作業半径が大きいほど定格荷重は小さくなる。つり上げ荷重は機械の能力で、資格の区分が決まる値。
  • アウトリガーは原則最大限に張り出す。転倒のおそれのある場所では原則として作業しない。
  • 合図を行う者を指名する。つり上げられている荷の下に立ち入らせない。
  • 強風で危険が予想されるときは中止。荷をつったまま運転位置を離れない。点検はその日の作業を開始する前
  • クレーン機能付き油圧ショベルでのクレーン作業には、移動式クレーン側の資格が要る。

足場は足場の安全基準、酸素欠乏は酸素欠乏で確認できます。

参考資料

  • クレーン等安全規則(第70条の2ほか)
  • 労働安全衛生法・労働安全衛生規則
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
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土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

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