ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT
  1. HOME > 施工管理 > 建設工事の電気設備とは?

建設工事の電気設備とは?漏電しゃ断装置と自動電撃防止装置の使い分けを整理

けんせつる

けんせつる

漏電しゃ断装置と自動電撃防止装置って、どっちがどっち?名前が似すぎでは?

この記事の要点

建設工事の電気設備の措置は、感電を防ぐために労働安全衛生規則が定めているものです。名前の似た2つの装置は、付ける相手が違います

  • 感電防止用漏電しゃ断装置……電動機械器具に付ける。対地電圧150Vをこえる移動式・可搬式か、水・鉄板上など導電性の高い場所で使うもの。
  • 自動電撃防止装置……交流アーク溶接機に使う。狭あいな場所か、高さ2m以上で接地物に接触するおそれのある場所。

この2つを入れ替えた記述が、そのまま誤り肢になります。

仮設電気は現場のどこにでもあり、感電は死亡につながる災害です。第一次検定では、装置の名前と対象の組合せが問われます。

感電防止用漏電しゃ断装置は電動機械器具に付ける

根拠は労働安全衛生規則第333条(漏電による感電の防止)です。

事業者は、電動機を有する機械又は器具(以下「電動機械器具」という。)で、対地電圧が百五十ボルトをこえる移動式若しくは可搬式のもの又は水等導電性の高い液体によつて湿潤している場所その他鉄板上、鉄骨上、定盤上等導電性の高い場所において使用する移動式若しくは可搬式のものについては、漏電による感電の危険を防止するため、当該電動機械器具が接続される電路に、当該電路の定格に適合し、感度が良好であり、かつ、確実に作動する感電防止用漏電しや断装置を接続しなければならない。

労働安全衛生規則 第333条第1項

対象になるのは2通りです。

  • 対地電圧が150Vをこえる移動式・可搬式の電動機械器具
  • 水等導電性の高い液体で湿潤している場所、その他鉄板上・鉄骨上・定盤上等導電性の高い場所で使用する移動式・可搬式のもの

後者は電圧を問いません。濡れている、鉄の上に乗っているというだけで対象になります。人体と大地の間の抵抗が下がり、わずかな漏電でも電流が流れやすくなるためです。

簡単に言えば、電圧が高いか、足元が電気を通しやすいか。どちらかに当てはまれば漏電しゃ断装置を付けます。

そして第2項に逃げ道があります。第1項の措置を講ずることが困難なときは、電動機械器具の金属製外わく・電動機の金属製外被等の金属部分を接地して使用します。装置か接地か、どちらかは必ず行うという構えです。

自動電撃防止装置は交流アーク溶接機のもの

こちらは第332条(交流アーク溶接機用自動電撃防止装置)です。付ける相手が違います。

事業者は、船舶の二重底若しくはピークタンクの内部、ボイラーの胴若しくはドームの内部等導電体に囲まれた場所で著しく狭あいなところ又は墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある高さが二メートル以上の場所で鉄骨等導電性の高い接地物に労働者が接触するおそれがあるところにおいて、交流アーク溶接等(自動溶接を除く。)の作業を行うときは、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使用しなければならない。

労働安全衛生規則 第332条

対象の場所は2つです。

  • 導電体に囲まれた場所で著しく狭あいなところ(船舶の二重底、ピークタンクの内部、ボイラーの胴やドームの内部等)
  • 高さ2m以上で、鉄骨等導電性の高い接地物に接触するおそれがあるところ

装置の役目は、溶接していない待機中に二次側の電圧を下げることです。狭い鉄の箱の中や、鉄骨に体が触れる高所では、待機中の電圧でも感電します。

2つの装置はどこが違うのか

感電防止用漏電しゃ断装置自動電撃防止装置
条文第333条第332条
付ける相手電動機械器具(移動式・可搬式)交流アーク溶接機
対象の条件対地電圧150Vをこえる/水・鉄板上等導電性の高い場所導電体に囲まれた狭あいな場所高さ2m以上で接地物に接触のおそれ
はたらき漏電を検知して電路を遮断する待機中の二次側電圧を下げる
代わりの措置困難なときは接地(第2項)

出題では、水で濡れた場所の電動機械器具に「自動電撃防止装置を取り付ける」と書いてきます。装置名だけを差し替える形なので、条文を読んでいないと引っかかります。

ホルダー・照度・配線・使用前点検

電気関係では、同じ問題の中に次の記述が正しい肢として並びます。

  • 溶接棒等のホルダー……アーク溶接等(自動溶接を除く)の作業に使用するホルダーは、感電の危険を防止するため必要な絶縁効力及び耐熱性を有するものでなければ使用してはならない(第331条)。絶縁と耐熱の両方が要件です。
  • 操作部分の照度……電気機械器具の操作を行うときは、感電や誤操作による危険を防止するため、操作部分に必要な照度を保持します。見えないこと自体が危険につながります。
  • 仮設の配線……通路面で使用する場合は、車両等の通過によって絶縁被覆が損傷するおそれのない状態で使用します。
  • 使用前点検……電気機械器具等を使用するときは、その日の使用を開始する前に点検し、異常を認めたときは直ちに補修し、又は取り換えます(第352条)。

注文者にも同じ義務がある

規則は、事業者だけでなく注文者にも措置を求めています。

  • 第648条……注文者は、請負人に係る作業従事者に交流アーク溶接機を使用させるときは、厚生労働大臣が定める規格に適合する自動電撃防止装置を備えなければならない。
  • 第649条……注文者は、請負人に係る作業従事者に対地電圧150Vをこえる移動式・可搬式の電動機械器具等を使用させるときは、電路に感電防止用漏電しゃ断装置を接続しなければならない。

元請が用意した仮設電気を下請が使う場面が想定されています。使う側だけの問題ではありません。

施工管理での確認ポイント

  • 足元を見て対象かどうかを判断する。電圧が150V以下でも、雨で濡れた地面・鉄板・敷鉄板の上で使うなら漏電しゃ断装置が要ります。電圧だけで判断しません。
  • 分電盤の漏電遮断器の動作を押して確かめる。テストボタンを押して作動するかを、その日の使用前に確認します。
  • 溶接機の銘板で自動電撃防止装置の有無を見る。装置が付いているか、規格に適合しているかを溶接機ごとに確かめます。
  • 通路を横断する配線に養生をかける。ケーブルプロテクタや桟木で覆い、車両が乗る場所で被覆が傷まないようにします。
  • ホルダーの絶縁部の割れを触って確かめる。絶縁効力と耐熱性の両方が要件なので、焦げや割れがあれば取り換えます。

混同しやすい用語

感電防止用漏電しゃ断装置 と 自動電撃防止装置

付ける相手が違います。漏電しゃ断装置は電動機械器具(第333条)、自動電撃防止装置は交流アーク溶接機(第332条)のものです。前者は対地電圧150V超導電性の高い場所が条件、後者は狭あいな場所高さ2m以上が条件です。名前が似ていますが、条文も対象も別です。

漏電しゃ断装置 と 接地

接地は代わりの措置です。第333条第1項は漏電しゃ断装置の接続を求め、第2項で「講ずることが困難なとき」に金属部分を接地して使用することを認めています。最初から接地を選べるわけではなく、装置が原則です。

過去問でどう問われたか

電気設備は1級の問題Bで出ます。引っかけは装置名の差し替えです。

出題年度・級(問番)誤りとされた記述
令和6年度 1級 問題B(No.4)水等で濡れている場所や鉄板上で使用する移動式・可搬式の電動機械器具に、漏電による感電防止のため自動電撃防止装置を取り付ける → 正しくは感電防止用漏電しゃ断装置

名前ではなく「何に付けるか」で覚える

2つの装置は名前が似ていて、どちらも感電を防ぐものです。名前で覚えようとすると必ず混ざります。

溶接機なら自動電撃防止装置、それ以外の電動機械器具なら漏電しゃ断装置。この分け方なら間違えません。条文も第332条が溶接機、第333条が電動機械器具と分かれています。

理解度チェック

問題:対地電圧100Vの可搬式電動工具を、雨で濡れた鉄板の上で使う。漏電しゃ断装置は要るか。

要ります。第333条は「対地電圧が150Vをこえる」ものと、「水等導電性の高い液体によって湿潤している場所その他鉄板上、鉄骨上、定盤上等導電性の高い場所において使用する」ものを並べて対象にしています。後者は電圧を問いません。足元が電気を通しやすいだけで対象になります。

問題:自動電撃防止装置が必要になる場所は、どういう条件か。

導電体に囲まれた場所で著しく狭あいなところ(船舶の二重底、ボイラーの胴の内部等)か、高さ2m以上で鉄骨等導電性の高い接地物に接触するおそれがあるところです(第332条)。対象は交流アーク溶接機で、電動機械器具ではありません。

問題:漏電しゃ断装置を接続することが困難なときは、どうするか。

電動機械器具の金属製外わく・電動機の金属製外被等の金属部分を接地して使用します(第333条第2項)。ただしこれは困難なときの代わりの措置で、原則は装置の接続です。最初から接地を選べるわけではありません。

まとめ

  • 感電防止用漏電しゃ断装置電動機械器具(第333条)。対地電圧150Vをこえる移動式・可搬式か、水・鉄板上等導電性の高い場所で使うもの。
  • 自動電撃防止装置交流アーク溶接機(第332条)。導電体に囲まれた狭あいな場所高さ2m以上で接地物に接触のおそれがあるところ。
  • 漏電しゃ断装置の接続が困難なときは、金属部分を接地して使用する(第333条第2項)。
  • 溶接棒等のホルダー絶縁効力及び耐熱性の両方が要件(第331条)。
  • 電気機械器具等はその日の使用を開始する前に点検し、異常があれば直ちに補修・取り換え(第352条)。
  • 注文者にも自動電撃防止装置を備える義務(第648条)と漏電しゃ断装置を接続する義務(第649条)がある。

安全管理の体制は安全衛生管理体制、作業主任者の選任は作業主任者、特別の教育は特別の教育で確認できます。

参考資料

  • 労働安全衛生規則 第331条・第332条・第333条・第352条・第648条・第649条
  • e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
土木施工管理技士 独学ノート 編集部

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、法令の条文や官公庁の仕様書に照らして整理しています。

過去問解説

このサイトについて

Topへ >>

  1. HOME > 施工管理 > 建設工事の電気設備とは?