けんせつる
漏電しゃ断装置と自動電撃防止装置って、どっちがどっち?名前が似すぎでは?
この記事の要点
建設工事の電気設備の措置は、感電を防ぐために労働安全衛生規則が定めているものです。名前の似た2つの装置は、付ける相手が違います。
この2つを入れ替えた記述が、そのまま誤り肢になります。
仮設電気は現場のどこにでもあり、感電は死亡につながる災害です。第一次検定では、装置の名前と対象の組合せが問われます。
根拠は労働安全衛生規則第333条(漏電による感電の防止)です。
事業者は、電動機を有する機械又は器具(以下「電動機械器具」という。)で、対地電圧が百五十ボルトをこえる移動式若しくは可搬式のもの又は水等導電性の高い液体によつて湿潤している場所その他鉄板上、鉄骨上、定盤上等導電性の高い場所において使用する移動式若しくは可搬式のものについては、漏電による感電の危険を防止するため、当該電動機械器具が接続される電路に、当該電路の定格に適合し、感度が良好であり、かつ、確実に作動する感電防止用漏電しや断装置を接続しなければならない。
労働安全衛生規則 第333条第1項
対象になるのは2通りです。
後者は電圧を問いません。濡れている、鉄の上に乗っているというだけで対象になります。人体と大地の間の抵抗が下がり、わずかな漏電でも電流が流れやすくなるためです。
簡単に言えば、電圧が高いか、足元が電気を通しやすいか。どちらかに当てはまれば漏電しゃ断装置を付けます。
そして第2項に逃げ道があります。第1項の措置を講ずることが困難なときは、電動機械器具の金属製外わく・電動機の金属製外被等の金属部分を接地して使用します。装置か接地か、どちらかは必ず行うという構えです。
こちらは第332条(交流アーク溶接機用自動電撃防止装置)です。付ける相手が違います。
事業者は、船舶の二重底若しくはピークタンクの内部、ボイラーの胴若しくはドームの内部等導電体に囲まれた場所で著しく狭あいなところ又は墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある高さが二メートル以上の場所で鉄骨等導電性の高い接地物に労働者が接触するおそれがあるところにおいて、交流アーク溶接等(自動溶接を除く。)の作業を行うときは、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使用しなければならない。
労働安全衛生規則 第332条
対象の場所は2つです。
装置の役目は、溶接していない待機中に二次側の電圧を下げることです。狭い鉄の箱の中や、鉄骨に体が触れる高所では、待機中の電圧でも感電します。
| 感電防止用漏電しゃ断装置 | 自動電撃防止装置 | |
|---|---|---|
| 条文 | 第333条 | 第332条 |
| 付ける相手 | 電動機械器具(移動式・可搬式) | 交流アーク溶接機 |
| 対象の条件 | 対地電圧150Vをこえる/水・鉄板上等導電性の高い場所 | 導電体に囲まれた狭あいな場所/高さ2m以上で接地物に接触のおそれ |
| はたらき | 漏電を検知して電路を遮断する | 待機中の二次側電圧を下げる |
| 代わりの措置 | 困難なときは接地(第2項) | — |
出題では、水で濡れた場所の電動機械器具に「自動電撃防止装置を取り付ける」と書いてきます。装置名だけを差し替える形なので、条文を読んでいないと引っかかります。
電気関係では、同じ問題の中に次の記述が正しい肢として並びます。
規則は、事業者だけでなく注文者にも措置を求めています。
元請が用意した仮設電気を下請が使う場面が想定されています。使う側だけの問題ではありません。
混同しやすい用語
感電防止用漏電しゃ断装置 と 自動電撃防止装置
付ける相手が違います。漏電しゃ断装置は電動機械器具(第333条)、自動電撃防止装置は交流アーク溶接機(第332条)のものです。前者は対地電圧150V超か導電性の高い場所が条件、後者は狭あいな場所か高さ2m以上が条件です。名前が似ていますが、条文も対象も別です。
漏電しゃ断装置 と 接地
接地は代わりの措置です。第333条第1項は漏電しゃ断装置の接続を求め、第2項で「講ずることが困難なとき」に金属部分を接地して使用することを認めています。最初から接地を選べるわけではなく、装置が原則です。
電気設備は1級の問題Bで出ます。引っかけは装置名の差し替えです。
| 出題年度・級(問番) | 誤りとされた記述 |
|---|---|
| 令和6年度 1級 問題B(No.4) | 水等で濡れている場所や鉄板上で使用する移動式・可搬式の電動機械器具に、漏電による感電防止のため自動電撃防止装置を取り付ける → 正しくは感電防止用漏電しゃ断装置 |
問題:対地電圧100Vの可搬式電動工具を、雨で濡れた鉄板の上で使う。漏電しゃ断装置は要るか。
要ります。第333条は「対地電圧が150Vをこえる」ものと、「水等導電性の高い液体によって湿潤している場所その他鉄板上、鉄骨上、定盤上等導電性の高い場所において使用する」ものを並べて対象にしています。後者は電圧を問いません。足元が電気を通しやすいだけで対象になります。
問題:自動電撃防止装置が必要になる場所は、どういう条件か。
導電体に囲まれた場所で著しく狭あいなところ(船舶の二重底、ボイラーの胴の内部等)か、高さ2m以上で鉄骨等導電性の高い接地物に接触するおそれがあるところです(第332条)。対象は交流アーク溶接機で、電動機械器具ではありません。
問題:漏電しゃ断装置を接続することが困難なときは、どうするか。
電動機械器具の金属製外わく・電動機の金属製外被等の金属部分を接地して使用します(第333条第2項)。ただしこれは困難なときの代わりの措置で、原則は装置の接続です。最初から接地を選べるわけではありません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
名前ではなく「何に付けるか」で覚える
2つの装置は名前が似ていて、どちらも感電を防ぐものです。名前で覚えようとすると必ず混ざります。
溶接機なら自動電撃防止装置、それ以外の電動機械器具なら漏電しゃ断装置。この分け方なら間違えません。条文も第332条が溶接機、第333条が電動機械器具と分かれています。