ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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のり面の排水とは?横排水路・縦排水路と、排水しない「しゃ断排水層」を整理

けんせつる

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のり面が崩れる一番の原因って何?

「しゃ断排水層」って、結局どっち?

この記事の要点

のり面の排水とは、のり面を流れる地表水と、地中の地下水の両方を速やかに取り除く施工のことです。のり面が崩れる原因の多くは水です。

  • 地表水……横排水路(のり肩・小段)で集め、縦排水路でのり尻へ流す。
  • 地下水……水平排水層・基盤排水層・地下排水溝で抜く。

「しゃ断排水層」だけは名前に反して排水しません。路床土が地下水とともに路盤へ入るのを止める層で、材料もシルト分の少ない砂です。ここが過去問の核心です。

まず、のり面の水を2種類に分けて押さえます。

のり面の水は2種類ある

のり面が崩れる原因の多くは水です。土に水が入ると重くなり、粒どうしのかみ合いが弱まります。だから入れない・たまらせないのが排水工の仕事です。相手は2つあります。

  • 地表水……のり面の表面を流れる水。放っておくと表面を削り、割れ目から中へ入る。
  • 地下水……地中を流れる水、盛土内にたまる水、のり面からの湧水。

のり面が高い・長い場合は、途中に平らな小段を設けます。小段には点検や排水をしやすくし、万一崩れたときの範囲を小さく抑える役割があります。切土高が大きくなれば一定の高さごとに小段を設けます。「高さにかかわらず小段を必要としない」は誤りです。のり面の表面そのものはのり面保護工で守ります。

切土のり面の排水(模式図) 地山(切土) のり肩排水溝(横) 小段排水溝(横) 小段=点検・崩壊範囲を抑える 縦排水路 集めた水をのり尻へ落とす のり尻排水溝 地下水は排水層・地下排水溝で抜く
切土のり面の排水(模式図)。形状・比率は実物どおりではありません。

地表水は「横で集めて、縦で落とす」

地表水の排除は、向きの違う2つの水路を組み合わせます。

  • 横排水路……のり肩排水溝で上からの水を止め、小段排水溝で各段の水を受ける。横(水平)方向に集める。
  • 縦排水路……斜面に沿って縦方向に設け、横排水路が集めた水をのり尻へ流す

横で集めて、縦で落とす。この順で覚えます。縦排水路の役割は集めた水を速やかに区域外へ出すことで、周囲から水を呼び込むことではありません。

地下水を抜く4つの層と溝

ここが試験で問われるところです。名前が似ていますが、役割は違います。

名称 どこに 役割と材料
しゃ断排水層
(遮断層)
路盤の下 排水しない。路床土が地下水とともに路盤へ入って軟弱化するのを止める。材料はシルト分の少ない砂やクラッシャーラン、厚さ15〜30cm程度舗装厚に含めず路床の一部として扱う
水平排水層 盛土の内部 盛土内部の間隙水圧を低下させて安定性を高める。透水性の良い材料で、適切な排水勾配と層厚を確保する
基盤排水層 盛土と地山の境 地山から盛土への水の浸透を防ぐ。地山の表面に、透水性が高くせん断強さの大きい材料を適切な厚さで施工する
地下排水溝 盛土内・地表面近く 浸透してくる地下水を排水する。沢部を埋めた盛土では旧沢地形に沿って施工する

4つのうち3つは水を通す層です。しゃ断排水層だけが水を止める層で、そこが引っかけになります。

なぜ「しゃ断排水層」は排水しないのか

名前に「排水」と付いているので、透水性の高い材料を使うと思ってしまいます。ところが目的が逆です。

この層の仕事は、下の路床土が地下水といっしょに路盤へ上がってくるのを止めることです。上がってくれば路盤が軟弱になります。つまり仕切りです。

だから材料はシルト分の少ない砂を使います。透水性の極めて高い荒目の砂利や砕石を使うと、止めるどころか水と細粒分の通り道になってしまいます。令和5年度1級No.4の誤り肢は、目的を「排水」と書いたうえに材料も逆の性質のものを挙げていて、二重に誤っていました。

覚え方は「名前に排水と付いていても、役割が排水とは限らない」の一行です。この一点だけで、この問題は切れます。

施工管理での確認ポイント

  • しゃ断排水層の材料を確認する:シルト分の少ない砂か。荒目の砂利になっていないか。厚さは15〜30cm程度か。
  • 縦排水路の出口を確認する:のり尻まで届いて区域外へ出せているか。途中で切れていないか。
  • 小段排水溝の勾配を確認する:水がたまらず横へ流れるか。逆勾配になっていないか。
  • 地下排水溝の位置を確認する:沢部を埋めた盛土では旧沢地形に沿っているか。水が集まる線から外れていないか。
  • 切土高と小段を確認する:高いのり面で小段が省かれていないか。

混同しやすい用語

しゃ断排水層 と 水平排水層

名前が似ていますが役割が逆です。しゃ断排水層は路盤の下に置いて、路床土と地下水が路盤へ入るのを止める層で、材料はシルト分の少ない砂です。水平排水層は盛土の内部に敷いて、たまった水を抜いて間隙水圧を下げる層で、透水性の良い材料を使います。止めるのがしゃ断、抜くのが水平です。

横排水路 と 縦排水路

向きと役割が違います。横排水路はのり肩や小段に沿って横方向に設け、のり面の水を受けて集めます縦排水路は斜面に沿って縦方向に設け、集まった水をのり尻へ流します。横で集めて、縦で落とす、という流れです。

過去問でどう問われたか

のり面と盛土の排水は1級・2級ともに出ます。引っかけは2型です。

  • 名前から役割を取り違えさせる……しゃ断排水層を「排水するため」「透水性の高い砂利」とする。
  • 言い切りの誤り……切土工を「高さにかかわらず小段を必要としない」とする。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和5年度 1級(No.4)しゃ断排水層を「排水するため、透水性の極めて高い荒目の砂利や砕石」→ 誤り。目的も材料も逆 ←①(正答1)。水平排水層・基盤排水層・地下排水溝の記述は正しい肢
令和5年度 1級(No.26)切土工を「切土した斜面の高さにかかわらず小段の設置を必要としない」→ 誤り ←②(正答4)
令和7年度 2級(No.8)構造物裏込め部で雨水の流入を防ぎ、浸透水を地下排水溝で処理する、が正しい肢

管理人からのコメント

令和5年度1級No.4は、よくできた問題でした。4つとも名前に「排水」が入っていて、3つは本当に排水する層、1つだけが止める層です。名前で判断すると必ず外します。

しゃ断排水層は、路盤を守るための仕切りだと思ってください。下から水と細かい土が上がってくるのを止める。そのために、あえて水を通しにくい砂を使う。名前と役割が食い違う数少ない用語なので、ここだけ覚えておけば得点源になります。

理解度チェック

問題:しゃ断排水層に、透水性の極めて高い荒目の砂利を使ってはいけないのはなぜか。

この層の目的が排水ではなく遮断だからです。路床土が地下水とともに路盤へ入って軟弱化するのを止める仕切りなので、透水性の高い材料を使うと水と細粒分の通り道になってしまいます。材料はシルト分の少ない砂やクラッシャーランで、厚さは15〜30cm程度です。(令和5年度1級 No.4)

問題:水平排水層と基盤排水層は、それぞれどこに設けて何をするか。

水平排水層盛土の内部に敷き、間隙水圧を低下させて安定性を高めます。透水性の良い材料で、適切な排水勾配と層厚を確保します。基盤排水層盛土と地山の境に設け、地山から盛土への水の浸透を処理します。地山の表面に、透水性が高くせん断強さの大きい材料を用います。

問題:沢部を埋めた盛土で、地下排水溝を旧沢地形に沿わせるのはなぜか。

沢はもともと水が集まる地形だからです。埋めても地中の水はその線に沿って流れてきます。そこに排水溝を置けば効率よく抜けます。水の集まる線から外して設けても効きません。(令和5年度1級 No.4)

まとめ

  • のり面の排水は地表水地下水の2つが相手。のり面が崩れる原因の多くは水。
  • 地表水=横排水路(のり肩・小段)で集め、縦排水路でのり尻へ流す。横で集めて縦で落とす。
  • しゃ断排水層=★排水しない。路床土と地下水が路盤へ入るのを止める。シルト分の少ない砂、厚さ15〜30cm程度路床の一部として扱う。
  • 水平排水層=盛土内部の間隙水圧を低下。透水性の良い材料。
  • 基盤排水層=地山から盛土への浸透を処理。透水性が高くせん断強さの大きい材料。
  • 地下排水溝=沢部を埋めた盛土では旧沢地形に沿って設ける。
  • のり面が高い・長いときは小段を設ける。「高さにかかわらず不要」は誤り。

のり面の表面を守る工はのり面保護工、盛土そのものの施工は盛土の施工で確認できます。

参考資料

  • 日本道路協会「道路土工-切土工・斜面安定工指針」「道路土工-盛土工指針」
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
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土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

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