令和7年8月の作業環境測定士試験 デザイン・サンプリング 問20は、有害物質の作業環境評価に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、作業環境評価の基本を横断で問うものです。
論点は、A測定の第1評価値・第2評価値が幾何平均値と幾何標準偏差から求まること、B測定値と管理濃度・管理区分の関係、A測定だけで第3管理区分になり得ること、そしてC・D測定で第1管理区分になる条件の4つです。
引っかけの核心は1点に絞られていて、第1評価値が幾何平均値より「小さくなることがある」と書かれているところです。
第1評価値は高濃度側の95%点の推定値なので、向きは決まっていて、幾何平均値より必ず大きくなります。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢4(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | A測定の第1評価値と第2評価値は、どちらも測定値の幾何平均値と幾何標準偏差から計算するので正しい。 |
| 2 | ○(正しい) | B測定値が管理濃度を超えていれば、その時点で第1管理区分にはならないので正しい(高濃度側で評価されるため)。 |
| 3 | ○(正しい) | B測定値が管理濃度以下でも、A測定の第1評価値が管理濃度を超えていれば第3管理区分になり得るので正しい。 |
| 4 | ×(誤り) | 第1評価値を「幾何平均値より小さな値になることがある」とするのが誤り。第1評価値は高濃度側の95%点の推定値で、必ず幾何平均値より大きくなる。 |
| 5 | ○(正しい) | C・D測定で第1管理区分となるのは、C測定の第1評価値とD測定値のどちらも管理濃度より小さい場合だけなので正しい。 |
第1評価値と第2評価値は、どちらも測定値の幾何平均値と幾何標準偏差から計算します。ここまでは選択肢1のとおりで、A測定でもC測定でも同じ枠組みです。
違うのは「分布のどの位置を見るか」で、第2評価値は分布の中央付近(幾何平均値そのもの)、第1評価値は高濃度側の95%点の推定値です。
第1評価値は分布の高濃度側を見る値なので、向きは決まっています。
幾何標準偏差が1に近い(ばらつきが小さい)場合でも、第1評価値は幾何平均値に近づくだけで、幾何平均値を下回ることはありません。
つまり第1評価値は必ず幾何平均値より大きい(または等しい)側にあり、「小さな値になることがある」とは言えません。
選択肢4の後半「第2評価値は必ず幾何平均値より大きな値となる」という部分も実は正しくありません。
第2評価値は幾何平均値そのものの推定値で、大きくなるわけではないからです。
ただし設問は「誤っているもの」を1つ選ぶ形式で、前半の『第1評価値が幾何平均値より小さくなることがある』が大小関係を逆にした明確な誤りなので、ここを根拠に選択肢4を選びます。
第1評価値は高濃度側、という一点を押さえれば確実に切れます。
問題:第1評価値が、幾何平均値より小さい値になることはあるか。
ありません。第1評価値は分布の高濃度側(95%点)の推定値なので、必ず幾何平均値より大きい側にあります。ばらつきが小さくても幾何平均値に近づくだけで、それを下回ることはありません。
問題:B測定値が管理濃度を超えていなければ、必ず第1管理区分になるか。
なりません。B測定値が管理濃度以下でも、A測定の第1評価値が管理濃度を超えていれば第3管理区分になり得ます。区分はA測定とB測定の両方を見て決まります。
出典
※ 最終更新:2026年6月