平成30年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問6を解説|性質から特定物質を見分ける
平成30年度 大気有害物質特論 問6は、いくつかの性質を並べて、それに当てはまる特定物質を当てさせる問題です。該当する物質を1つ選びます。
この問題のポイント
示された性質は四つあり、どれか一つで絞り込めるようには作られていません。ただし常温での状態と、燃えるか燃えないかの二つを順に当てはめるだけで候補は大きく減ります。ガスとして扱う物質か液体として扱う物質か、そして可燃性か不燃性か。この二段構えでふるいにかけると、残るのは一つだけです。物質ごとに数字を暗記するのではなく、状態と燃焼性という粗い区分を先に使うのが早道です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各選択肢の判定
| 選択肢 | 該当 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | ふっ化水素は常温付近で容易に気化し、ガスとして扱われる物質です。淡黄色を帯びた液体という状態の説明に合いません。 |
| (2) | × | シアン化水素は可燃性の物質です。不燃性で爆発性もないという条件に合いません。 |
| (3) | × | 塩化水素は常温では気体です。水によく溶ける点は共通しますが、常温で液体という条件を満たしません。 |
| (4) | ○(これが答え) | クロロ硫酸(クロルスルホン酸)は常温で無色〜淡黄色の液体、不燃性で爆発性もなく、多くの金属と反応して水素を発生し、水への溶解熱が極めて大きい物質です。 |
| (5) | × | 二硫化炭素は常温で液体ですが、燃えやすい物質です。不燃性という条件と真っ向から食い違います。 |
選択肢(4)のポイント(ここが答え)
並べられた四つの性質は、順に使うと効率よく候補を削れます。まず常温で液体という条件で、ガスとして扱うふっ化水素と塩化水素が外れます。次に不燃性で爆発性もないという条件で、燃える性質を持つシアン化水素と二硫化炭素が外れます。この二段階で残るのがクロロ硫酸(クロルスルホン酸)です。
クロロ硫酸は、硫酸に近い骨格を持つ強い酸性の液体です。それ自体は燃えず爆発もしませんが、ほとんどの金属と反応して水素を発生するという性質を持ちます。これは酸としてのごく普通のふるまいですが、扱ううえでは重大な意味を持ちます。発生した水素は可燃性なので、物質そのものが不燃性であっても、金属容器や配管の中で水素がたまれば火災や爆発の危険が生まれるからです。「不燃性だから燃える心配はない」と読み替えてはなりません。
もう一つの特徴が、水に対する溶解熱が極めて大きいことです。水と接触すると激しく発熱するため、漏えいしたところへ安易に水をかけて薄めようとする扱いは、かえって危険を大きくします。水に溶ける、つまり水で処理できるという発想が通じない物質だという点で、同じ酸性ガスでも塩化水素とは扱いが分かれます。
試験対策としては、特定物質を常温での状態と燃えるかどうかの二軸で分類した表を頭に置いておくと、この形式の問題に一貫して対応できます。個々の物質の数値を覚え込むより、この粗い分類のほうが確実に効きます。
覚え方
- 性質から物質を当てる問題は常温での状態→燃焼性の順にふるいをかける。
- 常温で液体か気体かで半分に割れる。色の記述は最後の確認に使う。
- 不燃性であっても、金属と反応して水素を出す物質は火災・爆発の危険を持つ。
- 水への溶解熱が極めて大きい物質は、水で薄める扱いをしてはならない。
- 特定物質は物質名の丸暗記でなく、状態・燃焼性・水との反応の三点で表にして整理する。
理解度チェック
常温で無色〜淡黄色の液体で、不燃性だが多くの金属と反応して水素を発生する特定物質は何か。
クロロ硫酸(クロルスルホン酸)です。水に対する溶解熱が極めて大きいことも特徴で、この四つの性質がそろって指す物質は他にありません。
物質そのものが不燃性でも、火災・爆発の危険がなくならないのはどんな場合か。
金属と反応して水素を発生する場合です。発生した水素が可燃性のため、容器や配管の中にたまると着火源しだいで火災や爆発につながります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月