平成30年度 公害防止管理者 大気特論 問2を解説|石炭の性状(石炭化と着火温度の向き)
平成30年度 大気特論 問2は、石炭の性状に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
石炭化(炭化の進行)が進むと石炭の性質がどちらへ動くかを、真比重・揮発分・着火温度という3つの指標で確認する問題です。引っかけの核心は、揮発分の減少と着火温度を同じ向きに動くものとして並べている点で、この2つは実際には反対向きに動きます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 石炭化が進むほど炭素分に富んで組織が緻密になり、真比重は増加します。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 加熱時に出てくる可燃性ガス分は石炭化とともに失われ、揮発分は減少します。正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 揮発分が減れば火は付きにくくなります。石炭化が進むと着火温度は上昇し、低下ではありません。 |
| (4) | ○(正しい) | 石炭中の灰分は、シリカとアルミナを主成分とする鉱物質です。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 製鉄用コークスには、加熱時に軟化溶融して固まる強粘結炭が適しています。正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
石炭に火が付く最初のきっかけは、加熱されて出てくる揮発分です。揮発分が多い石炭ほど、低い温度でも可燃性ガスが立ちのぼって着火し、そのガスの炎が残った固定炭素を燃やしていきます。ところが石炭化が進むと、この揮発分が抜けて固定炭素の割合が高まるため、口火となるガスが出にくくなります。
その結果、着火にはより高い温度が必要になります。つまり選択肢(3)の「石炭化が進むと着火温度が低下する」という向きは逆で、正しくは上昇です。石炭化の度合いは、真比重・固定炭素・発熱量が増える側と、揮発分・着火しやすさが減る側の二手に分かれて動くので、指標ごとに向きをそろえて覚えるのは危険です。
覚え方
- 石炭化=炭素が濃くなる方向。真比重・固定炭素は増える/揮発分は減り、着火温度は上がる。
- 着火の口火は揮発分。揮発分が多い=火が付きやすい=着火温度が低い、と1本の線でつなぐ。
- 灰分の主成分はシリカとアルミナ。灰の話が出たら燃える成分ではなく鉱物質と割り切る。
- コークス原料は強粘結炭。「粘結=加熱で軟化して固まる」性質が炉内で塊を保つ条件。
理解度チェック
Q.
石炭化が進むと、乾燥した石炭の着火温度はどうなるか。
上昇します。着火のきっかけとなる揮発分が減るため、火が付きにくくなります。
Q.
石炭中の灰分の主成分は何か。
シリカとアルミナが主成分です。燃焼に寄与しない鉱物質として残ります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF)
- 石炭の性状(石炭化度と真比重・揮発分・着火温度、灰分の組成、粘結性)
※ この記事の確認日:2026年7月