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平成30年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問6を解説|紺青法によるシアン排水処理(加える鉄は二価か三価か)

平成30年度 水質有害物質特論 問6は、分解しにくい鉄のシアノ錯体を青い難溶性の塩に変えて沈める処理についての正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

シアンを含む排水の主役は塩素で酸化して分解する方法ですが、鉄と手を組んだシアンだけはその酸化で壊れずに残ってしまいます。そこで登場するのが、シアンを壊さないまま青い難溶性の塩に閉じ込めて沈める方法です。五つの肢は、加える薬品、薬品が足りないときの症状、固液分離を行う液性、他の処理との順番、注入量をどう見張るか、と工程の要所を一巡しています。引っかけの核心はただ一点、注入する鉄の価数がすり替えられているところです。処理の名前と青い色だけを覚えていると素通りしてしまうので、加える薬品そのものを指さして言えるかが分かれ目になります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(1)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)加えるのは鉄(Ⅱ)の塩です。鉄(Ⅲ)の塩を注入するという価数が誤っています。
(2)○(正しい)鉄が足りないと沈殿に取り込まれなかった分が残り、処理水に青みが残ります。
(3)○(正しい)pHが上がると沈殿が崩れて溶けた形に戻るため、弱酸性のうちに固液分離します。
(4)○(正しい)塩素酸化で壊れずに残る鉄のシアノ錯体を受け持つので、後段に置かれます。
(5)○(正しい)鉄塩の注入量の過不足は溶存酸素の動きに表れるため、DO計を制御に使えます。

選択肢(1)のポイント(ここが誤り)

この方法は、シアンを分解して消すのではなく、鉄とシアンの結合を残したまま溶けない塩に変えて回収するのが特徴です。塩素で酸化する方法はシアンを窒素と炭酸の形にまで壊してしまいますが、鉄と手を組んだシアンはその酸化に耐えてしまうため、壊すのではなく沈めるという発想に切り替えます。生じる沈殿は濃い青色をしており、これがこの処理法の名前の由来にもなっています。ここまでの筋道は肢の言うとおりですが、加える薬品を鉄(Ⅲ)の塩としている点が誤りです。

実際に注入するのは鉄(Ⅱ)の塩で、硫酸鉄(Ⅱ)が代表格です。鉄(Ⅱ)を加えると、まず鉄シアノ錯体と結び付いた沈殿ができ、それが水中の酸素の作用を受けて青い難溶性の化合物へと落ち着きます。この流れがあるからこそ、注入量の管理に溶存酸素の変化を利用できるという最後の肢が意味を持ちます。鉄(Ⅲ)で入れるという記述と、DO計で薬注を制御できるという記述は本来かみ合いません。二価と三価のどちらを入れるかは、他の処理法との対比でも問われやすい定番の論点です。

運転面では、鉄の量と液性の二つが管理点になります。鉄が足りないと沈殿に取り込みきれなかった分が処理水に残り、色として現れます。青みが抜けないときは鉄が不足しているサインだと読み替えられるわけです。一方、液性を上げすぎると沈殿が水酸化鉄と溶けた鉄シアノ錯体に分かれてしまい、せっかく沈めたシアンが水側へ戻ります。そのため固液分離はpH5〜6の弱酸性のうちに済ませます。鉄は二価で入れ、分離は弱酸性で終える——この二つを一組で覚えておけば、価数と液性のどちらをいじられても対応できます。

覚え方

  • 紺青法で加える鉄は二価。三価と書いてあれば誤り。
  • シアンを壊さず沈めて回収する方法。壊す方法は塩素酸化のほう。
  • 塩素酸化で残った鉄シアノ錯体を受け持つので、置かれるのは後段。
  • 固液分離はpH5〜6の弱酸性。上げると沈殿が溶けた形に戻る。
  • 処理水の青みが抜けない=鉄の入れ足りないサイン。

理解度チェック

Q.

紺青法で注入するのは鉄(Ⅱ)塩と鉄(Ⅲ)塩のどちらか。

鉄(Ⅱ)塩です。硫酸鉄(Ⅱ)などを加え、難溶性の青い鉄シアン化合物として沈殿させます。鉄(Ⅲ)塩を加えるという記述は誤りです。

Q.

紺青法の固液分離を弱酸性で行うのはなぜか。

pHが上がると沈殿が水酸化鉄と可溶性の鉄シアノ錯体に分かれてしまうためです。せっかく沈めたシアンが水側へ戻るので、pH5〜6の弱酸性のうちに分離します。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF