平成30年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問3を解説|ORP曲線から読む六価クロムの還元
平成30年度 水質有害物質特論 問3は、六価クロム排水を亜硫酸塩で還元するときのORPの動きを示した図についての下線部問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、図の曲線が3本ともどう動いているかを見れば答えが出ます。分かれ目はpHが高い曲線で、ORPが落ちる位置が左右どちらへずれているかで、この向きが必要な薬品量の多い少ないに直結します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている箇所)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 同じ注入量でも、pHが違えばORPの値は異なります。図の3本の曲線が重ならないことから読み取れます。 |
| (2) | ○(正しい) | 値が違う以上、pHに応じてORPの制御目標も変える必要があります。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | pHが高い曲線ほど、ORPの落ち込みがなだらかになっています。正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | 図では、pHが高い曲線ほどORPが下がりきる位置が右へずれています。つまり必要な亜硫酸水素ナトリウムは多くなり、少なくなるとするのは逆です。 |
| (5) | ○(正しい) | 変化がなだらかだと終点をとらえにくいため、薬注制御は難しくなります。正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
亜硫酸塩還元法は、六価クロムを三価に還元してから水酸化物として沈める処理です。還元がどこまで進んだかはORP(酸化還元電位)で追い、電位が大きく下がりきった点を終点として薬品の注入を止めます。この反応は水素イオンを消費するため、酸性が強いほど反応が進みやすいという性質があります。
図の3本の曲線はこの性質をそのまま映しています。酸性の強い条件ではORPが早い段階で急に落ち、pHが高くなるほど落ちる位置は右へ、つまり注入量の多い側へずれていきます。同時に落ち方もなだらかになります。したがってpHが高い条件ほど、処理に必要な薬品は多くなるのであって、少なくなるという記述は図の読み取りと正反対です。
実務上の意味もつながっています。なだらかな曲線ではどこが終点なのかを電位から判断しにくいため、選択肢(5)のとおり薬注制御が難しくなります。酸性側で運転するほど薬品が少なく済み、終点も明確になるという利点があるわけです。「変化が緩やか」と「必要量が少ない」を同じ向きの話だと思い込むのが、この肢の狙いです。
覚え方
- 亜硫酸塩還元は酸性が強いほど進みやすく、必要な薬品も少なくて済む。
- pHが高いほどORPの落ち込みは右へずれてなだらかになる。必要量は増え、終点は読みにくい。
- 「変化が緩やか」=「必要量が少ない」ではない。2つは別の話として切り分ける。
- ORPは還元の進み具合を追う指標。落ちきった点が終点で、そこで薬注を止める。
理解度チェック
亜硫酸塩還元法で、pHが高いと必要な薬品量はどうなりますか。
多くなります。この還元は水素イオンを消費するため酸性が強いほど進みやすく、pHが高いとORPが下がりきるまでにより多くの亜硫酸水素ナトリウムが必要になります。
ORP曲線の変化がなだらかだと、運転上どんな不都合がありますか。
終点を電位から判断しにくくなり、薬注制御が難しくなります。酸性側で運転すると変化が急になり、終点がとらえやすくなります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月