平成30年度 公害防止管理者 水質概論 問7を解説|水質指標(BOD・COD・VSS)(光合成が進むとpHは上昇)
平成30年度 水質概論 問7は、水のよごれを測るいくつもの物差しが、それぞれ何を映しているかについての正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
並んでいる五つの記述のうち四つは、有機物量を測る指標、粒子の中の有機分を測る指標、ふん便汚染を推し量る指標という、測定項目そのものの意味を述べたものです。定義を素直に押さえていれば迷いません。残る一つだけが毛色が違い、湖沼で藻類が増えたときに水の性質がどちらへ動くかを述べています。分かれ目はここで、光合成が水中の何を出し入れするのかを取り違えると、pHの動く向きが逆になります。指標の暗記ではなく、藻類と二酸化炭素の関係を思い出す問題です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 微生物が分解するときに使う酸素の量を測る方法なので、生物が分解できる有機物の量を映します。 |
| (2) | ○(正しい) | 酸化剤の力が強いほど分解できる範囲が広がるため、二クロム酸カリウムを使う方が高い値になります。 |
| (3) | ○(正しい) | 浮遊物質を約600℃で灰化して減った分が、粒子に含まれていた有機性の部分にあたります。 |
| (4) | ×(誤り) | 光合成が盛んになると水中の二酸化炭素が消費されるので、pHは低下ではなく上昇します。これが正解です。 |
| (5) | ○(正しい) | この試験が拾う菌の範囲は広く、ふん便に由来しない土壌や植物にいるものまで数に入ります。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
水中の二酸化炭素は、溶けたままでいるのではなく、水と結びついて炭酸になり、そこから水素イオンを放します。二酸化炭素が多いほど水は酸性側へ、少ないほどアルカリ側へ動くという関係です。植物プランクトンの光合成は、この二酸化炭素を材料として取り込む反応にほかなりません。窒素やりんが増えて藻類の生産が活発になれば、水中の二酸化炭素はどんどん引き抜かれ、残された水はアルカリ側へ傾いてpHが上がります。
したがって「光合成反応によりpHが低下する」という記述は、二酸化炭素を消費する側と放出する側を取り違えています。二酸化炭素を放出してpHを下げるのは、逆に生物の呼吸や有機物の分解のほうです。富栄養化した湖沼で日中の表層のpHが著しく高くなり、夜になると光合成が止まって呼吸だけが残るためpHが下がるという日周変化も、この向きで理解できます。表層と底層でpHが食い違うのも同じ理屈で、光の届かない底層では分解が優勢になるからです。
他の四つは、測定法の中身をそのまま述べたものです。BODは微生物にはたらかせて酸素の減り方を見るので、生物が分解できる有機物しか捉えません。CODは薬品で酸化するため、酸化剤の強さで拾える範囲が変わり、より強い酸化剤を使う方式が高めの値を返します。VSSは浮遊物質を灰化して飛んでいった分、つまり粒子のうちの有機分です。大腸菌群の試験は、ふん便汚染の目安として使われるものの、菌を選び分ける精度はそこまで高くなく、環境中にもともといる菌まで拾ってしまいます。
覚え方
- 光合成は二酸化炭素を食べるからpHは上がる。呼吸・分解は二酸化炭素を出すからpHは下がる。
- BODは微生物に測らせる指標。分解できない有機物は数に入らない。
- CODは薬品で測る指標。酸化剤が強いほど値は大きく出る。
- SSを焼いて減った分がVSS。焼けて消える=有機、残る=無機。
- 大腸菌群は「ふん便のいる証拠」ではなく「その疑いの目安」。土壌や植物由来のものも拾う。
理解度チェック
富栄養化した湖沼で植物プランクトンの光合成が活発になると、水のpHはどう動くか。
上昇します。光合成は水中の二酸化炭素を材料として取り込む反応で、二酸化炭素が減ると水はアルカリ側へ傾くためです。逆に夜間は光合成が止まり、呼吸や有機物の分解で二酸化炭素が出るためpHは下がります。
VSSは何を表す値か。
浮遊物質(SS)を約600℃で灰化したときに失われた分で、粒子に含まれていた有機性の部分を表します。焼いても残るのが無機分、焼けて消えるのが有機分という切り分けです。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 水質概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月