平成30年度 公害防止管理者 水質概論 問6を解説|公共用水域の水質の現状
平成30年度 水質概論 問6は、全国の川・湖・海で環境基準がどの程度守られているかという調査結果の読み方に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
公共用水域の水質は毎年測られていて、健康項目については超過の有無、生活環境項目については有機汚濁の指標がどれだけ基準を満たしているかという形で公表されます。問われているのは細かい数字ではなく、水域ごとの達成状況が高い側にあるのか低い側にあるのかという大づかみな位置関係です。引っかけの核心は、湖沼の扱いにあります。湖沼の有機汚濁が三つの水域の中でいちばん厳しいのは確かで、そこまでは多くの人が知っています。この問題は、その知識をそのまま「半分にも届いていないはずだ」という方向へ引き伸ばさせます。順位がいちばん下であることと、しきい値を割り込んでいることは別の話です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 健康項目はほぼ全地点で基準を満たしており、超過が見られたのはひ素・ふっ素・カドミウムなどごく一部です。項目数の示し方として正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 河川のBODは三つの水域の中で最も達成状況が良く、示されたしきい値を上回っています。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 海域のCODは河川ほどではないものの、示されたしきい値は上回っています。正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | 湖沼のCODは三つの中で最も低いものの、示された五割のしきい値は上回っています。超えていないとするのは誤りです。 |
| (5) | ○(正しい) | 海域の全窒素・全りんは、有機汚濁の指標より達成状況が良く、示されたしきい値を上回っています。正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
湖沼の有機汚濁がなかなか改善しないのには、水のたまり方という理屈があります。川は流れて入れ替わり、海は広い水塊に薄められますが、湖沼は入ってきた水がとどまる場所です。流域から運ばれた窒素やりんはそこに残り、植物プランクトンの材料になります。増えたプランクトンはやがて有機物となって水を汚すので、排水を減らしても効き目が現れるまでに時間がかかります。三つの水域を並べたとき、CODの達成状況が湖沼でいちばん低くなるのはこのためです。
問題はその先です。いちばん低いという事実から、半分の地点でも基準を満たせていないはずだ、という飛躍をさせるのがこの選択肢の仕掛けです。実際には湖沼の達成状況も示された五割のしきい値を上回っており、「超えていない」という書き方は事実と逆を向いています。順位の話と水準の話は切り離して読む必要があります。
他の四つと突き合わせると、この向きの誤りはさらにはっきりします。健康項目はごく一部の項目で超過が見られる程度、河川のBODは最も高い水準、海域のCODはそれに次ぐ水準、海域の全窒素・全りんも高い水準です。全体として基準はおおむね満たされているという絵姿の中で、湖沼だけが五割にも届かないという極端な位置に置かれているのが、この肢の不自然さです。低いのは確かでも、割り込んではいません。
覚え方
- 有機汚濁の達成状況は 河川 > 海域 > 湖沼。ただし湖沼も五割は上回る。
- 順位がいちばん下であることと、しきい値を割り込むことは別の話。
- 湖沼が伸びない理由は「水がとどまる」こと。窒素・りんが残り、効果が出るまで時間がかかる。
- 健康項目は超過がごく一部にとどまり、超過が見られたのは7項目。ひ素・ふっ素・カドミウムなどが代表。
- 海域は有機汚濁より全窒素・全りんの方が達成状況が良い。指標によって水準が違う点に注意。
理解度チェック
河川・湖沼・海域のうち、有機汚濁の環境基準達成状況が最も低いのはどこか。
湖沼です。ただし最も低いというだけで、五割のしきい値を割り込んでいるわけではありません。順位と水準を混同しないことが大切です。
湖沼の有機汚濁がなかなか改善しないのはなぜか。
水が入れ替わらずとどまるためです。流域から入った窒素やりんが残って植物プランクトンを増やし、それが有機物となるため、排水対策の効果が現れるまでに時間がかかります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 水質概論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月