1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 水質概論
  4. 平成30年
  5. > 問5 公害・環境問題が顕在化した年代

平成30年度 公害防止管理者 水質概論 問5を解説|公害・環境問題が顕在化した年代

平成30年度 水質概論 問5は、日本で環境の汚れが社会問題として表に出てきた時期を古い方から並べる並べ替え問題です。正しい並びのものを選びます。

この問題のポイント

五つの出来事は、どれも教科書の見出しになるほど有名なものばかりです。それでも並べ替えとなると手が止まるのは、起きた年を一つずつ覚えていないと解けない問題に見えるからです。実際にはその必要はなく、汚染源が何から何へ移ってきたかという流れを一本つかんでおけば足ります。鉱山の開発が引き起こした被害から始まり、工場の排水による中毒、工業製品に使われた化学物質の蓄積、溶剤が地下にしみ込んだ汚染、そして燃やす過程で生まれる物質へと、社会が問題視する対象は移り変わってきました。引っかけの核心は先頭と末尾に置かれています。有名さでは水俣病が先に思い浮かびますが、時期でいえば鉱山の被害がはるかに古く、いちばん新しいのはダイオキシン類です。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)

各選択肢の正誤

並び出来事読み解き
1番目イ 足尾銅山鉱毒被害明治期、銅山の開発に伴って下流の川と農地が汚された被害です。日本の公害の原点にあたり、五つの中で群を抜いて古い出来事です。
2番目ウ 水俣病戦後まもなく、工場排水に含まれた有機水銀が魚介類を通じて人に及んだ健康被害です。工業化の再出発とともに表面化しました。
3番目ア PCBによる環境汚染工業製品に広く使われた分解しにくい化学物質が、環境中に残って生物に蓄積することが問題になりました。特定の工場の排水口という枠を超えた汚染です。
4番目エ トリクロロエチレンによる地下水汚染部品の洗浄などに使われた有機塩素系溶剤が地下へしみ込み、地下水を汚しました。目に見える川ではなく地下が舞台になった点が新しい段階です。
5番目オ ダイオキシン類による環境汚染作ろうとして作ったものではなく、燃焼などに伴って生じる物質が問題になりました。五つの中でいちばん新しい話題です。

ここが分かれ目

選択肢を見比べると、違いが出るのは先頭と末尾の二か所に集中しています。まず先頭ですが、水俣病から始まる並びが用意されているため、有名さにつられるとそちらを選んでしまいます。しかし足尾銅山の鉱毒被害は明治期の出来事で、戦後に表面化した水俣病よりはるかに古いのです。近代の産業がまだ鉱業中心だった時代に、鉱山という一点から川づたいに広がった被害でした。ここを取り違えると、その先をいくら正しく並べても答えにたどり着けません。

次に末尾です。ダイオキシン類とトリクロロエチレンのどちらを最後に置くかで選択肢が割れています。地下水汚染が問題になった段階では、汚しているのは工場が使う溶剤という持ち込まれた物質でした。これに対してダイオキシン類は、原料として持ち込まれたわけではなく燃やす過程で生じてしまう物質です。狙って作っていないものまで数え上げて管理するという発想は、汚染対策の中でも新しい段階に属します。したがって末尾はダイオキシン類で、その一つ前が地下水汚染という並びになります。

先頭が足尾銅山、末尾がダイオキシン類と決まれば、残る三つは自然に定まります。水俣病、PCB、トリクロロエチレンの順で、排水口から出る汚れ、製品に含まれて広がる化学物質、地下へしみ込む溶剤という具合に、汚染の経路が少しずつ見えにくい方へずれていく流れです。年号を覚えるのではなく、汚染源と経路の移り変わりで順を追うのがこの手の問題の解き方になります。

覚え方

  • 鉱山 → 工場排水 → 製品の化学物質 → 地下水 → 燃焼由来、の順に汚染源が移る。
  • 先頭は足尾銅山。近代産業がまだ鉱業中心だった明治期の被害。
  • 末尾はダイオキシン類。狙って作った物質ではなく、燃焼に伴って生じる点が新しい。
  • 有名さと古さは別物。水俣病を先頭に置きたくなる感覚を疑う。
  • 並べ替えは年号の暗記ではなく、汚染の経路が見えにくい方へずれる流れで追う。

理解度チェック

Q.

足尾銅山鉱毒被害と水俣病では、どちらが古い出来事か。

足尾銅山鉱毒被害です。明治期に鉱山の開発に伴って起きた被害で、戦後まもなく表面化した水俣病よりずっと古い出来事にあたります。

Q.

ダイオキシン類による汚染が五つの中でいちばん新しいといえるのはなぜか。

原料として持ち込まれる物質ではなく、燃焼などに伴って意図せず生じる物質だからです。狙って作っていないものまで管理の対象にする発想は、汚染対策の中でも後の段階で出てきました。

平成30年度 公害防止管理者 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 水質概論 問題」(公式PDF