平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問29を解説|補正を入れる順番で値が変わる
平成30年度 騒音・振動特論 問29は、敷地の境で上下方向の揺れを帯域ごとに測った結果から、重み付けをしない全体の値と、人の感じ方に合わせた全体の値の二つを求める組合せ問題です。正しい組合せを選びます。
この問題のポイント
求める二つの量は、どちらも帯域を一つにまとめた値ですが、まとめる前に重み付けを入れるかどうかだけが違います。手を動かす回数は多くても、やることは真数に直して足し、対数へ戻す作業を二度繰り返すだけです。正しく差がつくかどうかは、周波数ごとの補正量を覚えているかにかかっています。選択肢は片方の値が共通の組を並べてあるため、二つとも出さなければ絞り切れない作りになっています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各選択肢の正誤
| 求める量 | 値 | 読み解き |
|---|---|---|
| 振動加速度レベル | 70 dB | 重み付けをせずに5帯域をそのまま真数で合計し、対数へ戻した値です。上から二つの帯域だけで全体の四分の三ほどを占めます。 |
| 振動レベル | 65 dB | 各帯域に鉛直方向の感覚補正を加えてから合成した値です。高い側の帯域が大きく削られるため、補正なしの値より4 dBほど低くなります。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 1 | 5帯域の値をそのまま真数に直す。105を単位にして並べる。 | 0.32/25.1/50.1/1.58/25.1 |
| 2 | 合計して10 log で戻す。log 1.02 は対数表から0.009。 | 102.2×105=1.02×107 70+0.09 ≒ 70.1 dB |
| 3 | 鉛直方向の感覚補正を各帯域に加える。低い側の二つは0 dB、そこから上は1オクターブごとに6 dB引く。 | 0/0/-6/-12/-18 |
| 4 | 補正後の値を並べ直す。 | 45/64/61/40/46 |
| 5 | これを真数に直して合計する。 | 0.32/25.1/12.6/0.10/0.40 合計 38.5×105=3.85×106 |
| 6 | 10 log で戻す。log 3.85 は対数表から0.585。 | 60+5.85 ≒ 65.9 dB |
| 7 | 二つの差を見る。 | 70.1-65.9 ≒ 4.2 dB |
ここが分かれ目
合成した二つの値は70.1 dBと65.9 dBで、前者は70 dBと読めます。後者は67と65のどちらに寄せるかが問われる位置にありますが、二つの量の開きが4 dBあまりという点を手がかりにすれば迷いません。選択肢が示す組合せの開きは5 dBか3 dBのどちらかで、計算した開きに近いのは5 dBの側です。補正なしの値だけを出して満足すると、同じ値をもつ二つの組から選べません。片方だけ求めて答えを決めにいくのが、この形式でいちばん危ない進み方です。
補正量そのものは、体が揺れをどう受け取るかに沿っています。上下の揺れでは、内臓が共振する低い側の帯域で最も鋭く感じるためそこを平らな0 dBとし、それより高い側は1オクターブ上がるごとに6 dBずつ差し引きます。今回の表では下の二帯域が平らな範囲に入り、そこから上は6、12、18と引かれていきます。この引き算を忘れると、二つの量が同じ値になってしまいます。逆に、補正は差し引く方向しか働かないので、振動レベルが振動加速度レベルを上回ることはありません。上回る組合せが並んでいたら、その時点で外してよいことになります。なお最も高い帯域は補正前には全体を押し上げる側でしたが、18 dB引かれたあとは合計にほとんど寄与しません。補正してから合成するのか、合成してから補正するのかで答えが変わるので、順番は必ず補正が先です。
覚え方
- 振動加速度レベルは補正なし、振動レベルは補正を加えてから合成。順番を逆にしない。
- 鉛直の補正は、感じやすい低い帯域が0 dBで、そこから上は倍の周波数ごとに6 dBずつ引く。
- 補正は引く方向だけ。振動レベルが振動加速度レベルより大きくなる組合せは選ばない。
- 組合せ問題は必ず両方を計算する。片方が共通の選択肢が並べてあるのは、そこで足を止めさせるため。
- 合成は上位2帯域でおおよそ決まる。10 dB以上低い帯域は無視してよい。
理解度チェック
帯域別の値から振動レベルを求めるとき、補正と合成はどちらが先ですか。
補正が先です。各帯域に周波数ごとの重み付けを加えてから、真数に直して合計し、対数へ戻します。
振動レベルが振動加速度レベルより大きくなることはありますか。
ありません。鉛直方向の補正は0 dBか、それより差し引く値しかとらないためです。差がどれだけ開くかは、高い帯域がどれだけ大きいかで決まります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月