平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問23を解説|3方向を自由には決められない
平成30年度 騒音・振動特論 問23は、鋼などでつくられた弾性支持用の部品について、その種類や設計の幅を述べた記述の正誤を判定する問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
直前の問22とは裏返しの関係にあり、ゴムでできないことができ、ゴムでできることができない、と整理すると全体が見通せます。金属は大きなたわみに耐えて低い固有振動数まで届き、荷重の選択幅も広く、環境の変化にも強い材料です。分かれ目は方向ごとの硬さを別々に注文できるかという点で、ここだけは形状で決まってしまい、設計者が自由に振り分けることはできません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 板を重ねたもの、線材を巻いたもの、皿状に成形したものは、いずれも弾性支持に用いられる代表的な形です。 |
| (2) | ○(正しい) | 大きな静たわみを許せるので、ゴムでは届かない低い側まで固有振動数を設定できます。 |
| (3) | ×(誤り) | 方向ごとの硬さは形状で連動して決まってしまい、独立に選ぶことはできません。3方向を作り分けられるのは防振ゴムのほうです。 |
| (4) | ○(正しい) | 小さな計器の支持から重量物の据付けまで、線径や板厚を変えることで支持荷重を桁違いの幅で選べます。 |
| (5) | ○(正しい) | 油や熱、紫外線による劣化がゴムほど問題にならず、繰り返し荷重に対する寿命も長く取れます。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
引っかけの中心にあるのは任意にという言い切りです。コイル状のばねは線径・コイル径・巻数の三つで性格が決まり、これを動かすと軸方向の硬さと横方向の硬さが同時に変わります。軸方向を柔らかくしたければ背を高くすることになり、その結果横方向はさらに柔らかくなって機械が首を振るように揺れ始めます。片方だけを狙って調整する余地がありません。
板を用いた形でも事情は同じで、板厚の向きにはよくたわむのに、面に沿う向きには極端に硬いという偏りが構造から決まります。つまり金属ばねでは、方向ごとの硬さの比率が形を選んだ時点で確定してしまいます。三つの方向を独立に注文できるかのように述べている点が、この記述の誤りです。
これに対して問22で扱ったゴムは、圧縮で使うかせん断で使うかを選べ、厚みや断面形状も自由なので、方向ごとの硬さを設計段階で作り分けられます。低い固有振動数なら金属、方向の作り分けならゴムという対比で覚えておくと、両者を入れ替えた記述に強くなります。
覚え方
- 金属ばねの長所は、低い固有振動数・広い荷重範囲・環境や経年に強いこと。
- 短所は二つ。方向ごとの硬さを作り分けられないことと、サージングで高い振動数を素通しすること。
- ゴムと金属は長所短所がほぼ裏返し。片方を覚えれば、もう片方は反転させるだけ。
- 任意に、自由に、といった言い切りが出てきたら、本当にその自由度があるかを疑う。
理解度チェック
コイル状の金属ばねで、軸方向を柔らかくすると横方向はどうなりますか。
あわせて柔らかくなります。形状で両方の硬さが連動して決まるためで、機械が横に首を振る揺れを招きやすくなります。
金属ばねと防振ゴムは、どう使い分けますか。
低い固有振動数が必要なら金属ばね、方向ごとの絶縁や高い振動数の絶縁が必要ならゴムです。長所と短所が互いに裏返しの関係にあります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月