平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問22を解説|低い固有振動数までは作れない
平成30年度 騒音・振動特論 問22は、機械の下に敷いて揺れの伝わりを断つゴム製の支持材について、その性質を述べた記述の正誤を判定する問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
ゴムは型さえ作れば好きな形にできる材料なので、押し縮める向きにもずらす向きにもばねとして働き、一つの部品で複数の方向を受け持てます。素材そのものが減衰を持つ点も、金属にはない持ち味です。分かれ目は柔らかさの限界で、どこまで柔らかい支持を実用的に作れるかという一点だけがゴムの弱みになります。得意と不得意を材料の性質から仕分けられれば、記述を一つずつ吟味する必要はありません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 圧縮にもせん断にもばねとして働くため、上下だけでなく水平方向やねじれ方向の絶縁も一つの部品で受け持てます。 |
| (2) | ○(正しい) | 材料自体に内部減衰があるので、金属ばねで問題になるサージングによる高い振動数の素通りが起こりにくく、絶縁が保たれます。 |
| (3) | ×(誤り) | そこまで低い固有振動数はゴムでは実現できません。低振動数側は金属ばねの受け持ちで、ゴムの下限はこれよりかなり高いところにあります。 |
| (4) | ○(正しい) | 防振ゴムに用いるゴム材料はJISで種類分けして規定されており、記述の数と合致します。 |
| (5) | ○(正しい) | 必要なばね定数と形状に合わせて金型で成形される製品であり、形の自由度の高さがそのまま設計の自由度になります。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
固有振動数を下げるということは、同じ荷重に対して支持材がより大きくたわむようにするということです。ところがゴムは、たわみを大きく取ろうとすると形が保てなくなります。背を高くすれば横倒れや座屈が起き、柔らかくすれば荷重で押し潰されて時間とともに沈み込みます。機械を安定して支えるという最低条件のほうが先に壊れるため、実用上は数Hz程度で頭打ちになります。
ですから極端に低い固有振動数が必要な場面では、ゴムではなく金属ばねを選びます。同じ年度の問23で、金属ばねが1 Hzから10 Hz程度の範囲で弾性支持用として設計できるとされているのと読み比べると、両者の分担がはっきりします。低い固有振動数はゴムの守備範囲ではないという一線を引いておけば、この種の記述で迷うことはなくなります。
なお、この肢が引っかけとして機能するのは、ゴムには柔らかいという印象が強いためです。硬さの感覚と、支持材として実際に許される変形量とは別の話だと分けて考えてください。
覚え方
- ゴム支持の長所は三つ。形が自由、一つで多方向、内部減衰があって高い振動数にも強い。
- 短所は一つだけ。とても低い固有振動数は作れない。たわみを増やすと座屈やへたりが出るため。
- 低い固有振動数がほしいときは金属ばねへ。低振動数は金属、多方向と高振動数はゴム、と役割で覚える。
- サージングはコイル状の金属ばね側の弱点。ゴムでは起こりにくい。
理解度チェック
ゴム製の支持材で、極端に低い固有振動数を実現できないのはなぜですか。
大きなたわみに耐えられないからです。柔らかくすると座屈やへたりが生じ、機械を安定して支えられなくなります。低振動数側は金属ばねの受け持ちです。
高い振動数の絶縁でゴムが有利になる理由は何ですか。
材料自体が減衰を持つからです。金属ばねではばね自体が共振して高い振動数を素通しするサージングが起きますが、ゴムではこれが抑えられます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月