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平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問20を解説|8.7は波の種類で変わらない

平成30年度 騒音・振動特論 問20は、地盤の浅いところを伝わる揺れが遠ざかるにつれてどれだけ小さくなるかを示した式について、その読み方を述べた記述の正誤を判定する問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

示された式は二つの項の足し算で、前半は地盤そのものが揺れのエネルギーを熱に変えて失う分、後半は波面が広がって薄まる分です。この二階建ての構造さえ見えていれば、記述のどこを見るべきかが決まります。分かれ目は前半に置かれた係数の性格で、これは波の姿かたちを表す量ではなく単位をそろえるための換算定数です。波の種類の違いは別の記号に現れます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)式に入っているのは二つの距離と地盤の性質だけで、揺れの振幅そのものはどこにも現れません。だから元が大きくても小さくても減り方は同じです。
(2)×(誤り)8.7は指数関数の減り方をデシベルに直すときに現れる固定の換算定数で、どの波でも同じ値です。
(3)○(正しい)前半に掛かる内部減衰係数は振動数に比例する量なので、項全体も振動数に比例します。高い振動数ほど遠くまで届きません。
(4)○(正しい)後半は距離の比の対数だけでできており、波面が広がって単位面積あたりのエネルギーが薄まる効果、すなわち幾何減衰を表します。
(5)○(正しい)地表面に沿って伝わる実体波は振幅が距離の2乗に反比例して落ちるため、係数は2になります。

選択肢(2)のポイント(ここが誤り)

内部減衰は、進んだ距離に応じて振幅が指数関数的にしぼんでいく現象です。これをデシベルという対数の物差しに載せ替えると、指数の肩に乗っていた値の前に20 log e、つまり約8.686という数が必ず顔を出します。この数は数学の換算から出てくるだけで、地盤にも波にも由来しません。したがって伝わる波がP波でもS波でも表面波でも、8.7という数字はそのまま動きません。

では波の違いはどこに出るのかというと、二か所です。一つは前半で8.7に掛かる内部減衰係数で、これは地盤の性質と波の速さ、そして振動数で決まります。もう一つは後半の広がり方を決める係数で、地表面を伝わる表面波なら小さく、地表面を伝わる実体波なら大きくなります。波の種類が効くのは係数8.7ではなく、その隣と後半だと押さえておけば、似た形の記述が並んでも迷いません。

幾何減衰の係数は、距離が2倍になったときの減り方に読み替えると覚えやすくなります。地表面の表面波は距離が倍になるごとに3 dB、地中を球面状に広がる実体波は6 dB、地表面に沿う実体波は12 dBという対応です。この対応は次の問21でもそのまま使います。

覚え方

  • 地盤の距離減衰は二階建て。前半が内部減衰、後半が幾何減衰。
  • 8.7は20 log e の換算定数。地盤にも波にも関係なく、いつでも同じ値。
  • 内部減衰係数は振動数に比例。高い振動数の揺れほど早く消え、遠方には低い成分だけが残る。
  • 倍距離の減り方は表面波3 dB・地中の実体波6 dB・地表面の実体波12 dB
  • 式に振幅が入っていなければ、減衰量は元の揺れの大小と無関係。

理解度チェック

Q.

内部減衰の項に出てくる8.7という数は、波の種類が変われば変わりますか。

変わりません。指数関数の減り方をデシベルに直すための換算定数で、20 log e からくる固定値です。波の違いは内部減衰係数のほうに現れます。

Q.

発生源から離れるほど、揺れの成分はどう変わりますか。

高い振動数の成分から先に失われます。内部減衰係数が振動数に比例するため、遠方では低い振動数の揺れが相対的に残ります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF