平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問19を解説|伝達率を下げるならばねは柔らかく
平成30年度 騒音・振動特論 問19は、ばねで支えた回転機械について、基礎へ逃がさずに伝わってしまう力の割合をもう一段小さくしたいとき、支持ばねの硬さを今の何倍にすればよいかを求める計算問題です。倍率の数値を選びます。
この問題のポイント
減衰要素がない支持系では、伝わる割合は加振振動数と固有振動数の比だけで決まります。ですから与えられた割合から比を逆算し、ばね定数との対応をたどれば答えが出ます。分かれ目は向きの感覚で、伝わりを抑えたいのだから支えを頑丈にしようと考えると倍率が1を超える肢を選んでしまいます。防振はばねを柔らかくして固有振動数を下げる対策なので、答えは必ず1より小さくなります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 0.2倍にすると振動数比の2乗が20まで上がり、伝達率は1/19まで下がります。求められている1/4を通り越しています。 |
| (2) | ×(誤り) | 0.4倍では振動数比の2乗が10となり、伝達率は1/9です。柔らかくしすぎで値が合いません。 |
| (3) | ○(正しい) | 振動数比の2乗を4から5へ上げればよく、ばね定数はその逆比の4/5=0.8倍になります。 |
| (4) | ×(誤り) | 1.6倍に硬くすると振動数比の2乗は2.5に下がり、伝達率は約0.67へ悪化します。方向が逆です。 |
| (5) | ×(誤り) | 3.2倍では振動数比の2乗が1.25まで落ち、共振に近づいて伝達率は4倍に跳ね上がります。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 1 | 減衰がない支持系の式を置く。振動数比をλ=f/f0とする。 | τ=1/|1−λ2| |
| 2 | 伝達率が1を下回っている=λが√2を超えている側なので、絶対値をλ2−1で外す。 | τ=1/(λ2−1) |
| 3 | 現在の状態から振動数比を逆算する。逆数に1を足すだけ。 | 1/3 → λ2=3+1=4 |
| 4 | 目標の状態でも同じことをする。 | 1/4 → λ′2=4+1=5 |
| 5 | λ2=4π2f2m/k なので、質量と加振振動数が変わらなければばね定数は振動数比の2乗に反比例する。 | k′/k=λ2/λ′2=4/5 |
| 6 | 倍率を数値にする。 | 0.8倍 |
ここが分かれ目
つまずきやすいのは絶対値の外し方です。τ=1/|1−λ2|には二つの解き方があり、λが1より小さい側で外すとλ2は2/3と3/4になり、倍率は8/9すなわち約0.89になります。この値は選択肢のどこにもありません。伝達率が1を下回っている時点でλは√2を超えていると判断でき、外す向きは一つに決まります。迷ったら選択肢を見て、どちらの解き方が用意された数値に届くかを確かめれば十分です。
もう一つの落とし穴は倍率の向きです。振動を抑えたいときに支えを頑丈にするのは、共振点を加振振動数へ近づける最悪手になり得ます。実際、3.2倍まで硬くすると振動数比の2乗が1.25まで落ちて防振の領域から外れ、伝わる力はかえって4倍に増えます。ばねは柔らかいほど固有振動数が下がり、振動数比が広がって伝わりにくくなる、という向きを体に入れておけば、1を超える肢は計算する前に外せます。
覚え方
- 防振が効いている領域では 伝達率=1/(振動数比の2乗−1)。伝達率の逆数に1を足せば振動数比の2乗。
- ばね定数は振動数比の2乗に反比例。伝達率を下げたいならばねは柔らかく、倍率は1より小さい。
- 1/3から1/4へなら4対5、1/4から1/5へなら5対6。逆数プラス1どうしの逆比がそのまま倍率。
- 硬くする方向は共振に近づく方向。振動数比の2乗が2を割ったら防振ではなく増幅。
理解度チェック
減衰のない支持系で伝達率が1/5だとすると、振動数比の2乗はいくつですか。
6です。防振が効いている領域では伝達率=1/(振動数比の2乗−1)なので、逆数の5に1を足せば求まります。
支持ばねを硬くすると、基礎へ伝わる力の割合はどうなりますか。
大きくなります。固有振動数が上がって加振振動数との比が縮まるためです。硬くしすぎると共振域に入り、力が増幅されることもあります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月