平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問16を解説|暗騒音は音源が分かるものも含む
平成30年度 騒音・振動特論 問16は、地域の音を測るときに使い分ける5つの呼び名について、その決め方をそろえて確かめる正誤問題です。5つの記述から誤っているものを選びます。
この問題のポイント
JIS Z 8731で決められているこれらの呼び名は、その場で耳に入る音すべてを出発点にして、そこから何を除いた残りかだけで区別されています。ですから定義を丸暗記するより、除く対象の広さで並べたほうが確実です。分かれ目は、着目した1つだけを除いた残りと、音として識別できるものを全部除いた残りの取り違え。前者には音源のはっきり分かる音がいくらでも残りますが、後者にはもう残りません。この違いを見落とすと、二つの呼び名が入れ替わっていても気づけません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | その場所・その時刻に耳に入る音をまるごとひとまとめにしたもので、他の呼び名はすべてここから何かを除いて作られます。 |
| (2) | ○(正しい) | 全体の中から音として切り分けられるものを取り出したもので、大きさではなく識別できるかどうかが条件です。 |
| (3) | ○(正しい) | 識別できるものをすべて除いた残りで、音源をたどれない底の部分にあたります。除く対象がいちばん広い呼び名です。 |
| (4) | ×(誤り) | 着目した騒音以外という点は合っていますが、音源が特定できないものに限るという条件を付けている点が誤りです。 |
| (5) | ○(正しい) | 環境が変わる前の状態を押さえておくための呼び名で、道路や工場ができた後との比較の基準になります。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
暗騒音は、いま調べたい音を1つだけ取り除いた残りの全部です。隣の工場の運転音でも、前の道路を走る車の音でも、音源がはっきり分かっていても暗騒音に入ります。ところがこの肢は、そこに音源をたどれないものだけという条件を足しています。条件を足したぶん範囲が狭くなり、実際には別の呼び名の中身になってしまいます。
狭めた先にあるのが残留騒音です。こちらは識別できる音をすべて除いた残りなので、たしかに音源をたどれない部分だけが残ります。つまりこの肢は、暗騒音の説明として残留騒音の中身を書いていることになります。二つの関係を式のように並べると、暗騒音は残留騒音に、着目した音以外の識別できる音を足したものです。したがって暗騒音は残留騒音より小さくなることはありません。
実務でも効いてくる違いです。対象の機械を止めて測ったときに残る音は暗騒音であって、そこには他の識別できる音が乗っています。これを地域の底の値だと思い込むと、暗騒音の影響を差し引く判断を誤ります。除く対象が「着目した1つだけ」か「識別できるもの全部」かを、そのつど確かめる習慣が要ります。
覚え方
- 全体が総合騒音。暗騒音=着目した1つを引いた残り、残留騒音=識別できるものを全部引いた残り。
- 暗騒音には音源の分かる他の音も含む。除くのは着目した1つだけ。
- 暗騒音=残留騒音+着目した音以外の特定騒音。だから残留騒音が最も低い。
- 特定騒音の条件は識別できること。大きいかどうかは条件ではない。
- 初期騒音は変化が起こる前の総合騒音。前後を比べるための基準として押さえる。
理解度チェック
対象の機械を止めたときに残る音は、暗騒音と残留騒音のどちらにあたりますか。
暗騒音です。着目した機械の音を除いただけなので、他の工場の音や車の音など、音源の分かる音がそのまま残っています。それらをさらにすべて除いた残りが残留騒音です。
特定騒音といえるかどうかは、何で決まりますか。
音響的に明確に識別できるかどうかで決まります。レベルが高いか低いかは条件に入っていません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月