平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問14を解説|低音の82 dBはほとんど効かない
平成30年度 騒音・振動特論 問14は、周波数の帯域ごとに分けて測った音圧レベルの表から、人の聞こえ方に合わせた総合の値を求める計算問題です。9つの帯域の値をもとに、5つの数値から1つを選びます。
この問題のポイント
耳は同じ音圧でも低い周波数を小さく感じるので、帯域ごとの値をそのまま足しても人の感じる大きさにはなりません。各帯域にA特性の周波数重み付けを加えてから、エネルギーで合成するという順番を守ります。分かれ目は、表の中でひときわ大きい31.5 Hzの値に引きずられないこと。この帯域は補正でおよそ39 dBも引かれるため、合成にはほとんど寄与しません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 補正後に上位となる1000・2000・4000 Hzの3帯域だけを合成すると約63 dB。残りの6帯域を足し忘れると、この値の側に落ちます。 |
| (2) | ○(正しい) | 9帯域すべてに補正を加えてから合成すると約63.9 dB。64 dBが最も近い値です。 |
| (3) | ×(誤り) | 31.5 Hzの補正を−20 dB程度にとどめると合計は約66 dBになります。実際にはこの帯域はもっと深く引かれます。 |
| (4) | ×(誤り) | 31.5 Hzを125 Hz並みの−16 dB程度しか引かないと約68 dB。低い周波数ほど深く引くという向きを取り違えた値です。 |
| (5) | ×(誤り) | 31.5 Hzの補正を本来の3分の1ほどしか効かせないと約70 dB。表の最大値の82 dBに引きずられるほど、答えは上振れします。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 1 | 各帯域に加えるA特性の補正を思い出す。1000 Hzを0として、低いほど深く引く。 | 31.5 Hz:約−39/63 Hz:約−26/125 Hz:約−16/250 Hz:約−9/500 Hz:約−3/1000 Hz:0/2000・4000 Hz:約+1/8000 Hz:約−1(dB) |
| 2 | 表の値に補正を足して、補正後のバンドレベルにする。 | 43/43/45/51/52/56/59/58/54(dB) |
| 3 | 大きいものから合成する。まず上位の3帯域。 | 59+58+56 → 約63 dB |
| 4 | 残りの6帯域を足す。50 dB台前半以下なので効き方は小さい。 | 約63.9 dB |
| 5 | 用意された数値に合わせる。 | 約64 dB |
ここが分かれ目
表を見た瞬間に目を引くのは31.5 Hzの82 dBで、次に大きい値より13 dBも高くなっています。ところが補正を通すと約43 dBまで落ち、8000 Hzの54 dBよりも小さくなります。表の最大値がそのまま総合の値を決めると思い込むと、80 dB前後の答えを探してしまい、用意された数値のどれにも合いません。低い周波数に鈍いという耳の性質が、そのまま補正の深さになっているためです。
逆に、最終的な値を作っているのは2000 Hzと4000 Hzの帯域です。この2つは補正でわずかに持ち上がるので、表では58 dBと57 dBという中位の値でありながら、合成後は先頭に立ちます。補正が先、合成が後という順番さえ守れば、あとは大きい帯域から順に足すだけです。上位3帯域で約63 dB、残り6帯域を全部足しても約1 dBしか増えないので、細かい計算をしなくても64 dBには行き着きます。
覚え方
- 帯域別の表から総合の値を出すときは補正が先、合成が後。生の値を足してはいけない。
- A特性はおおよそ 31.5 Hzで約−39 dB、125 Hzで約−16 dB、1000 Hzで0 dB。低音ほど深く引く。
- 2000〜4000 Hzはわずかに持ち上がる。合成後の主役になりやすい帯域。
- 合成は大きい順に。最大より10 dB以上低い帯域は足しても0.4 dB以下しか動かない。
- 低音が突出した表ほど、生の合計と補正後の値の差が大きく開く。
理解度チェック
31.5 Hzで82 dB、1000 Hzで56 dBのとき、人の感じる大きさに効いているのはどちらの帯域ですか。
1000 Hzのほうです。31.5 Hzは補正で約39 dB引かれて43 dB相当になり、56 dBの帯域より13 dBも下になります。
A特性の補正は、どの帯域で0になり、どちら側で深くなりますか。
1000 Hzで0となり、そこから低い周波数へ行くほど深くマイナスになります。2000〜4000 Hz付近ではわずかにプラスへ振れます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月