平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問13を解説|暴露レベルは1秒に押し込めた値
平成30年度 騒音・振動特論 問13は、測定の設定を取り違えたまま、工場の敷地の境にあたる地点で1時間測ってしまった場面から、その1時間を通してならした騒音の大きさを求める計算問題です。前半と後半の2つの読みを手がかりに、5つの数値から1つを選びます。
この問題のポイント
短い音を1回ぶん評価するときの量は、その間に受けた音のエネルギーをまるごと1秒間に押し込めたときのレベルとして決められています。押し込め先が1秒に固定されているので、測っている時間が長いほど数値は大きく出ます。分かれ目は、2つの読みをエネルギーで足したあとに、測定時間の秒数で割り戻す一手を入れるかどうか。この一手を省くと、読み取った値をそのまま1時間のレベルとみなすことになり、30 dB以上も高い答えを選んでしまいます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 2つの読みをエネルギーで足すと約75.4 dB。ここから1時間=3600秒ぶんの約35.6 dBを引くと約39.8 dBとなり、40 dBが最も近い値です。 |
| (2) | ×(誤り) | 正解より8 dB高い値です。1時間を秒に直して割り戻せば35 dBを超える量が引かれるため、ここには届きません。 |
| (3) | ×(誤り) | 時間を分で数えて60で割ると約58 dBになり、この付近に落ちます。押し込め先は1秒なので、時間は秒で数えなければなりません。 |
| (4) | ×(誤り) | 合成値から10 dB台しか引かなかった場合の水準です。1時間ぶんの秒数で割ると引く量はその3倍以上になります。 |
| (5) | ×(誤り) | 前半と後半をそれぞれ30分間のならしたレベルとみなして1時間で平均すると約72 dB。読み取った値をそのまま等価騒音レベルと取り違えたときに出る値です。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 1 | 2つの読みをエネルギーで合成する。差が10 dBあるので、大きいほうに約0.4 dBを足すだけ。 | 75+65 → 約75.4 dB |
| 2 | ならす時間を秒で数える。 | 1時間=3600 s |
| 3 | その秒数ぶんの割り戻しをデシベルに直す。10 log 3600 を求める。 | 約35.6 dB |
| 4 | 合成値から引く。 | 75.4−35.6 ≒ 39.8 dB |
| 5 | 用意された数値に合わせる。 | 約40 dB |
ここが分かれ目
この量は「何秒かけて受けた音でも、いったん1秒ぶんに詰め直す」という決め方をしています。ですから同じ騒音を測り続ければ、測定時間が2倍になるだけで値は約3 dB上がっていきます。1時間も測れば、ならしたレベルより約35.6 dBも高い数字が表示されます。この表示値を等価騒音レベルとして規制基準と比べると、実際には40 dB前後しかない場所を70 dB台の騒音源だと判定してしまいます。数値の大小ではなく、定義の中に入っている基準時間の1秒に気づけるかどうかが問われています。
合成のほうは軽い作業です。10 dB離れた2つの音は、小さいほうがエネルギーで10分の1しかないので、足しても大きいほうから0.4 dBしか増えません。前半と後半で10 dBの差があるということは、1時間の総エネルギーはほぼ前半の30分間で決まっているということです。実際、前半だけで計算しても約39.4 dBとなり、選ぶ答えは変わりません。
覚え方
- 単発の暴露レベルはエネルギーを1秒に押し込めたレベル。測定時間が長いほど大きく出る。
- ならしたレベルに直すには 10 log(測定時間の秒数)を引く。1時間なら約35.6 dB。
- 10 log 3600 ≒ 35.6、10 log 1800 ≒ 32.6、10 log 60 ≒ 17.8。時間は必ず秒で数える。
- レベル差10 dBの合成は、大きいほうに約0.4 dBを足すだけ。差が15 dBを超えたらほぼ無視。
- 複数区間はエネルギーで足してから、まとめて全体の秒数で割り戻す。区間ごとに割らない。
理解度チェック
30分間の測定で得た単発騒音暴露レベルから、その30分間の等価騒音レベルを出すにはどうしますか。
30分=1800秒ぶんの10 log 1800 ≒ 32.6 dB を引きます。押し込め先が1秒なので、割り戻す相手は測定時間の秒数です。
同じ騒音が続いている場所で測定時間を2倍にすると、単発騒音暴露レベルの値はどうなりますか。
エネルギーが2倍になるので約3 dB大きくなります。一方、ならした等価騒音レベルのほうは変わりません。時間で変わるかどうかが両者の違いです。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月