平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問12を解説|中央値とエネルギー平均は別物
平成30年度 騒音・振動特論 問12は、絶え間なく続く音の上に大きな音が一定の間隔で短く重なる地点について、いくつかの評価量の値が正しいかどうかを問う正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
まずやることは、二つの音が同時に鳴っている時間帯を一つのレベルにまとめることです。これをすると、この地点で現れるレベルは大きい側と小さい側のわずか2種類に整理され、あとはそれぞれが全体の何割を占めるかを数えるだけになります。分かれ目は、順位で決める量とエネルギーで平均する量を混同しないことです。順位で決める量は、実際に現れた値の中からしか出てきませんが、平均する量は現れていない値になり得ます。この違いを突く肢が一つ紛れています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 大きい音が鳴っている5秒間は、続いている音も止まらずに重なっています。80 dBと74 dBを合成すると81 dBとなり、これがこの地点の最も大きな値です。 |
| (2) | ○(正しい) | 大きい側が占めるのは20秒のうち5秒、つまり全体の25パーセントです。上から数えて5パーセントの位置はこの中に入るので、81 dBになります。 |
| (3) | ×(誤り) | 上から数えて半分の位置は、75パーセントを占める小さい側にあります。値は74 dBであり、77 dBという値はこの地点に一度も現れません。 |
| (4) | ○(正しい) | 下から数えて5パーセントの位置も、当然ながら小さい側の中にあります。したがって74 dBです。 |
| (5) | ○(正しい) | エネルギーに直して時間で平均すると77 dBになります。短い時間しかない大きい音に引っ張られ、半分の位置の値より3 dB高く出ます。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 1 | 重なっている時間帯を合成する。レベル差6 dBなら大きい側に約1 dB足す。 | 80 dB+74 dB → 81 dB |
| 2 | 現れるレベルと、それぞれが占める時間の割合を書き出す。 | 81 dB:5秒(25パーセント) 74 dB:15秒(75パーセント) |
| 3 | 上から何パーセントの位置かで順位の量を読む。境目は25パーセント。 | 上位5パーセント:81 dB 半分の位置:74 dB 下位5パーセント:74 dB |
| 4 | エネルギーに直して時間で平均する。小さい側を1としたとき、7 dB上の音は約5倍。 | (5×5+15×1)÷20=2倍 74+10 log 2 ≒ 77 dB |
順位で決める量は、時間の並びを大きい順に並べ替えて何番目かを見るだけの操作です。この地点には81 dBと74 dBしか存在しないので、どの順位を指定されても答えはこの2つのどちらかにしかなりません。半分の位置は75パーセントを占める側にどっぷり入っているため、74 dBで確定します。
一方、エネルギーで平均する量はまったく別の計算です。デシベルのままでは足せないので、いったんエネルギーの比に戻してから時間の重みを付けます。小さい側を1とすると、7 dB高い側は約5倍のエネルギーを持ちます。全体の4分の1しかない時間でも、5倍という重さがあるため平均はしっかり押し上げられ、2倍すなわち3 dB増の77 dBに落ち着きます。
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
この問題がいやらしいのは、エネルギー平均の答えである77 dBを、半分の位置の値としてそっくり出してくるところです。手を動かして77 dBという数字を得た人ほど、その数字を見た瞬間に正しいと感じてしまいます。同じ数字が別の名前で置かれているときは、まず取り違えを疑ってください。順位の量は現れた値の中からしか出ないという一点で、この肢は計算するまでもなく切れます。
もう一つ押さえておきたいのは、大きい音と小さい音の差が6 dBあるとき、合成しても1 dBしか増えないという感覚です。二つの音が同じ大きさなら3 dB増えますが、差が開くにつれて増分は急速に小さくなります。ここを面倒がって80 dBのまま扱うと、最大値も上位の順位も1 dBずつずれます。重なっている時間帯は必ず合成してから評価に入るのが鉄則です。
覚え方
- 順位で決める量は実際に現れた値の中からしか出ない。平均の量は現れない値になり得る。
- 重なっている時間帯は先に合成する。レベル差6 dBなら大きい側に約1 dB足すだけ。
- 90パーセントレンジの上端は上から5パーセントの位置、下端は下から5パーセントの位置。
- エネルギー平均はデシベルのまま足さない。比に戻し、時間の割合を掛けてから対数へ戻す。
- レベル差7 dBはエネルギーで約5倍。3 dBで2倍、10 dBで10倍と合わせて覚える。
- 順位の量と平均の量に同じ数字が並んでいたら、まず取り違えを疑う。
理解度チェック
大きな音が全体の25パーセントの時間だけ鳴っているとき、上から数えて半分の位置の値はどちらの音になりますか。
小さい側の音です。大きい側は上から25パーセントまでしか占めていないので、半分の位置はその下にある小さい側の中に入ります。順位で決める量は、実際に現れた値のどれかにしかなりません。
エネルギーで平均する量が、半分の位置の値より高く出やすいのはなぜですか。
大きい音がエネルギーで何倍もの重みを持つためです。レベルが7 dB高い音はエネルギーで約5倍あり、鳴っている時間が短くても平均を強く押し上げます。順位で決める量は時間の長さしか見ないので、短い大音は反映されません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月