平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問11を解説|検定の期間があるのは騒音計
平成30年度 騒音・振動特論 問11は、音を測るために使う機器の校正のしかたや有効期間、分析器の性質に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
測定機器の話は、値そのものを決める機器と、その値を記録したり分析したりする機器に分けて覚えるのが要点です。取引や証明に使える数値を出す機器は、国の定めた手続きで正しさを確かめる対象になり、そこには有効期間が付きます。一方、出てきた値を書き写すだけの機器はその対象になりません。分かれ目は、期間が定められているのはどの機器かという線引きを、もっともらしい数字に惑わされずに引けるかどうかです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | JIS C 1516が対象とするのは取引や証明に使う場面なので、実際の音を入れて確かめる方法だけが認められます。電気信号だけの確認では、マイクロホンの状態を保証できないためです。 |
| (2) | ○(正しい) | 騒音計は数値そのものを決める機器なので検定の対象になり、その有効期間は5年と定められています。期限が切れれば取引や証明の用途には使えません。 |
| (3) | ○(正しい) | 薄い膜と電極の間隔の変化を電気に変える方式が主流です。広い周波数にわたって特性が平らで、長期間の安定性にも優れます。 |
| (4) | ○(正しい) | 通す帯域の幅が中心周波数に比例して広がる作りです。中心が高い帯域ほど絶対的な幅は広くなりますが、比で見ればどの帯域も同じになります。 |
| (5) | ×(誤り) | 記録用の機器は数値を決める役ではないため、検定の対象そのものに含まれません。有効期間が何年かという問い自体が成り立ちません。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
この肢が巧妙なのは、正しい記述のすぐ隣に、形だけそっくりな文をぶら下げているところです。騒音計に期間があると読んだ直後に、記録用の機器にも別の年数が書いてあると、対になった知識のように見えてしまいます。数字が違うこと自体が「使い分けを覚えているかを試している」ように感じられ、疑う気持ちが働きにくくなります。
しかし検定の対象になるかどうかは、その機器が取引や証明の根拠となる数値を決めているかで決まります。騒音計は音圧を受けて数値を出す機器なので、狂えば結果が丸ごと狂います。だから定期的に確かめる決まりがあり、有効期間も設けられています。これに対して記録用の機器は、すでに決まった値を紙や記憶装置に写し取る役割です。ここが多少ずれても、値の正しさの責任は騒音計側にあります。
したがって、記録用の機器について何年かを問われた時点で、前提が崩れていると判断してよいことになります。年数が3年か5年かを迷うのではなく、そもそも有効期間が定められる立場にある機器かどうかを先に考えてください。この順番で読めば、数字の記憶に頼らずに切れます。
同じ考え方は、校正の話にもそのまま通じます。取引や証明に使う場面で音による校正だけが認められているのも、値の正しさをマイクロホンから出力まで一続きで保証する必要があるからです。数値の責任がどこにあるかという一本の軸で、校正の方法も期間の有無も説明が付きます。
覚え方
- 検定の対象になるのは数値そのものを決める機器。記録するだけの機器は対象外。
- 騒音計の検定の有効期間は5年。記録用の機器には有効期間そのものが存在しない。
- 年数を問われたら、まずその機器に有効期間が定められる立場があるかを先に確認する。
- 取引や証明に使う校正は音を入れて行う。電気信号だけの確認では認められない。
- オクターブ系の分析器は、中心周波数に比例して帯域幅が広がる作り。比は一定。
- マイクロホンはコンデンサ形が主流。特性が平らで安定性が高い。
理解度チェック
取引や証明に使う騒音計で、電気信号による確認だけの校正が認められないのはなぜですか。
マイクロホンの感度を含めて保証できないためです。取引や証明では出た数値がそのまま根拠になるので、音の入口から表示までを一続きで確かめる必要があります。実際の音を入れる方法でなければその確認になりません。
帯域を分けて分析するフィルタで、中心周波数と通過帯域幅の比が一定とはどういう意味ですか。
中心周波数が高い帯域ほど、通す幅も比例して広くなるという意味です。絶対的な幅は帯域ごとに違いますが、中心周波数で割れば同じ値になります。人の聞こえ方が周波数の比で決まることに合わせた作りです。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月