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平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問9を解説|全域で上回る構造はない

平成30年度 騒音・振動特論 問9は、壁や板をどう組み立てるかによって音の通しにくさがどう変わるかに関する正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

遮音の構造は、一枚もの、空気層を挟んだ二重、二枚の板で芯材をはさんだもの、という並びで整理できます。どれが優れているかは周波数によって入れ替わるので、勝ち負けを一本の線で決めることはできません。分かれ目は、ばねと重りが組み合わさった構造には必ず揺れやすい周波数があるという一点です。その周波数では音が素通りしやすくなるため、例外なくどの音域でも勝てるという書き方が出てきたら、それが崩れる場所を探すことになります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)一枚の詰まった板には固有の曲げやすさがあり、板を伝わるたわみの波と空気中の音の波の歩調がそろう周波数が決まります。そこから上で遮音が落ち込むので、境目の周波数がはっきり現れます。
(2)×(誤り)柔らかい芯材は二枚の板をつなぐばねとして働くため、板と芯材が揺れやすくなる周波数ができます。そこでは遮音が落ち込むので、どの音域でも例外なく上回るとはいえません
(3)○(正しい)硬い芯材は表面の板と一緒になって曲がるので、全体が厚い一枚の板のように振る舞います。したがって遮音の出方も一枚ものに近い形になります。
(4)○(正しい)空気層に繊維状の材料を詰めると、層の中で音が反射して溜まる分が減ります。空だった二重構造より通しにくくなります。
(5)○(正しい)同じ重さを一枚にまとめるより、二枚に分けて空気層をはさむほうが有利です。間の空気がばねになり、片方の板の揺れがもう片方へ伝わりにくくなります。

選択肢(2)のポイント(ここが誤り)

柔らかい芯材をはさんだ構造は、たしかに考え方としては二重構造の仲間です。芯材が変形しやすければ二枚の板は互いに独立して動けるようになり、空気層をはさんだ場合と似た働きが期待できます。ここまでは正しい理解で、選択肢の前半も間違ってはいません。

問題はその先で、例外なくすべての音域で上回ると言い切っているところです。二枚の板が柔らかい素材で結ばれた構造は、板を重り、芯材をばねと見なせる振動系そのものです。振動系である以上、揺れやすい周波数が必ずどこかに生まれます。その周波数では板が大きく動いて音を送り出してしまい、遮音は逆に落ち込みます。

しかも芯材は二枚の板を物理的につないでいるので、音が固体の中を伝わって反対側へ抜ける道が残ります。空気層だけをはさんだ場合よりこの経路が効きやすく、条件によっては空だった二重構造のほうが良い結果になる帯域も出てきます。構造を変えれば全域で得をするという発想そのものが誤りで、遮音では常にどこかを犠牲にして別のどこかを稼いでいます。

試験対策としては、この種の言い切りを見つける訓練が有効です。ある構造が別の構造より優れるという主張が、条件つきなのか無条件なのかを読み分けてください。無条件で優劣が決まる場面は遮音にはほとんどなく、芯材の硬さ、板の重さ、層の厚さのどれか一つを動かすだけで有利不利が入れ替わります。

覚え方

  • 板と板をばねでつないだ構造には必ず揺れやすい周波数の谷ができる
  • すべての音域で無条件に勝つという書き方は、遮音では原則として誤り。
  • 芯材が硬ければ一枚もの寄り、柔らかければ二重構造寄り。硬さで正体が変わる。
  • 空気層は空のままより、繊維状の材料を詰めたほうが通しにくくなる。
  • 同じ重さなら、一枚にまとめるより二枚に分けて層をはさむほうが有利。
  • 一枚ものの弱点は、板のたわみの波と音の波の歩調がそろう周波数。

理解度チェック

Q.

二枚の板の間に柔らかい素材をはさんだ構造で、遮音が落ち込むのはどんな周波数ですか。

板を重り、はさんだ素材をばねと見たときに揺れやすくなる周波数です。そこでは板が大きく動いて反対側へ音を送り出すため、他の帯域より通りやすくなります。

Q.

はさむ芯材が硬い場合と柔らかい場合で、遮音の出方はどう変わりますか。

硬い芯材では表面の板と一体になって曲がるため一枚の厚い板に近い特性になります。柔らかい芯材では二枚の板が別々に動けるようになり、空気層をはさんだ二重構造に近い特性へ寄ります。

この問題に関連する用語解説

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題」(公式PDF