平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問8を解説|単位をそろえれば式は一つに決まる
平成30年度 騒音・振動特論 問8は、空洞に短い管を取り付けた共鳴器がいちばんよく鳴る周波数を、音速と各部の寸法だけで表した式を選ぶ問題です。5つの式から正しいものを選びます。開口端補正は無視します。
この問題のポイント
使える文字は、空洞のかさを表すV、管の長さを表すl、管の中身の広さを表すS、そして音速cの4つです。式を丸暗記していなくても、この手の問題は単位のつじつまだけで答えが決まります。Vは長さの3乗、Sは2乗、lは1乗で、音速に掛け合わせたときに1秒あたりの回数になる組合せは一通りしかありません。分かれ目は、根号の中でどの文字が上でどの文字が下かを取り違えないことです。空洞や管が大きくなったとき音が高くなるのか低くなるのかを思い浮かべれば、上下は自力で決められます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 根号の中がVとSの積をlで割った形。長さの4乗が残り、平方根をとってもまだ長さの2乗が居座るので、音速を掛けても周波数の単位になりません。 |
| (2) | ×(誤り) | 根号の中がVをSとlの積で割った形。長さの単位が完全に打ち消し合うため、音速の単位のまま止まります。空洞が大きいほど高く鳴ることにもなり、実際と逆です。 |
| (3) | ×(誤り) | 根号の中がSとlの積をVで割った形。これも単位が打ち消し合って周波数になりません。管が長いほど高く鳴ることになる点でも合いません。 |
| (4) | ○(正しい) | 根号の中がSをVとlの積で割った形。平方根をとると長さの逆数になり、音速を掛けてちょうど周波数の単位になります。大小の効き方も実際どおりで、これが正解です。 |
| (5) | ×(誤り) | 根号の中がVとlの積をSで割った形。平方根をとると長さが残り、音速を掛けると面積を時間で割った単位になってしまいます。 |
ここが分かれ目
選ぶべき式は f = (c/2π)√{ S/(V×l) } の形です。覚えていなくても、次の4つのものさしを順に当てれば1つに絞れます。
| 順 | ものさし | 残る選択肢 |
|---|---|---|
| 1 | 単位をそろえる。音速は長さ÷時間なので、根号を出た値が長さの逆数になっていないと1秒あたりの回数にならない。 | (4)のみ |
| 2 | 空洞が大きいほど低く鳴る。よってVは根号の分母側にあるはず。 | (3)(4) |
| 3 | 管が長いほど低く鳴る。よってlも根号の分母側にあるはず。 | (4) |
| 4 | 管の口が広いほど高く鳴る。よってSは根号の分子側にあるはず。 | (4) |
単位だけで一発で決まるうえに、大小の感覚からも同じ答えに着きます。二つの道が同じ場所に出るので、答えを選んだあとの検算もその場でできます。
大小の感覚は、この共鳴器がばねと重りの振動系そのものだと考えると腑に落ちます。管の中に詰まった空気のかたまりが重りで、空洞に閉じ込められた空気がばねです。空洞が大きいほど空気は押し縮められやすくなり、ばねは柔らかくなります。柔らかいばねに吊るした重りはゆっくり揺れるので、鳴る音は低くなります。管が長ければ動かす空気の量が増えて重りが重くなり、これも音を低くします。逆に管の口が広いと、ばねの効き方が強まる側に働いて音は高くなります。
取り違えが起きるのは、VとSのどちらが分子かを雰囲気で決めてしまうときです。「大きい容器=大きい音=高い音」という連想はまったくの誤りで、大きい容器は必ず低い側へ動きます。ビンの口を吹いて鳴らすとき、中身が減って空洞が広がるほど音が低くなることを思い出せば取り違えは防げます。
覚え方
- 式を選ぶ問題は、まず単位をそろえる。周波数になる組合せは普通1つしかない。
- この共鳴器は「管の空気が重り、空洞の空気がばね」の振動系。
- 空洞が大きい・管が長いほど低く鳴る。だからVとlは根号の分母。
- 管の口が広いほど高く鳴る。だからSは根号の分子。
- ビンの口を吹くと、中身が減るほど音が低くなる。この体感が上下の判定に使える。
理解度チェック
式の選択肢が5つ並んでいて公式を思い出せないとき、まず何をしますか。
単位のつじつまを確かめます。求めたい量が周波数なら、式を組み立てた結果が1秒あたりの回数になっている必要があります。長さの何乗が残るかを数えるだけで、たいていの選択肢は落とせます。
空洞と管でできた共鳴器で、空洞の容積を大きくすると鳴る音はどうなりますか。
低くなります。空洞の空気がばねの役をしており、容積が大きいほど押し縮めやすい柔らかいばねになります。柔らかいばねほど揺れはゆっくりになるため、鳴る周波数は下がります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月