平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問6を解説|0.25 mmのすき間がガラスと並ぶ
平成30年度 騒音・振動特論 問6は、はめ込まれたガラスの周りにできたわずかな空きが、ガラス本体と同じだけ音を通してしまう幅を求める計算問題です。5つの数値から最も近いものを選びます。
この問題のポイント
通り抜ける音の量は、面積と通しやすさの積で決まります。ガラスは通しにくい代わりに広く、空きは通し放題の代わりに細い、という関係です。空きは音をまったく減らさない前提なので、面積の比だけで釣り合いが決まります。分かれ目は、その細い部分の面積を四辺ぶんまとめて数えることで、一辺だけで考えると答えは大きく外れます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | すき間の面積は2.5×10-4 m2で、ガラスを通る量の4分の1にしかなりません。 |
| (2) | ×(誤り) | 面積は5×10-4 m2。ガラスを通る量の半分どまりです。 |
| (3) | ○(正しい) | 面積は1×10-3 m2で、ガラス1 m2の1000分の1。両者を通る量がちょうど並びます。 |
| (4) | ×(誤り) | 面積は2×10-3 m2となり、すき間を通る量がガラスの2倍に達します。 |
| (5) | ×(誤り) | 面積は4×10-3 m2で4倍。すき間を一辺ぶんしか数えないと、この値にたどり着きます。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 1 | ガラスの透過損失を、通り抜ける割合に直す。10 dBごとに1桁下がる。 | 30 dB → 10-3 |
| 2 | ガラスを通る量を、面積×割合で表す。 | 1 m2×10-3=1×10-3 |
| 3 | すき間を通る量を、幅wを使って表す。割合は1のまま。 | 周長4 m×w×1=4w |
| 4 | 両者を等しいと置いて幅を求める。 | 4w=1×10-3 w=2.5×10-4 m=0.25 mm |
まず押さえたいのは、透過損失という数字が通り抜ける割合の逆数を対数にした量だという点です。30 dBなら1000分の1、20 dBなら100分の1で、10 dBごとに1桁ずつ通りにくくなります。空きの部分は0 dB、つまり割合1で、届いた音をそのまま素通しします。両者が同じ量を通すのは、面積の比が通しやすさの比を打ち消すとき、すなわちすき間の面積がガラスの1000分の1になったときです。
次が数え方です。1 m角の窓の周りを一周すると4 mになり、幅wの帯が4本ぶん並ぶ勘定になります。ここを一辺だけで済ませると、必要な幅が4倍の1 mmと出てしまいます。逆に、四隅の重なりまで気にして厳密に扱うとガラスの面積は1 m2よりわずかに小さくなりますが、幅が0.25 mmであれば影響は千分の一の水準で、結論は動きません。
この問題が示しているのは、目に見えないほどの空きが遮音を台無しにするという事実です。厚く重いガラスに替えて透過損失を上げても、周りに紙一枚ぶんの空きが残っていれば、そこを通る音が主役になり、窓全体の遮音は空きの大きさで頭打ちになります。遮音の対策では、材料の性能より先にすき間をふさぐ、という順序が理にかなっています。
覚え方
- 透過損失30 dB=通り抜ける割合が1000分の1。10 dBごとに1桁。
- 通り抜ける量=面積×割合。すき間は割合1で丸ごと通す。
- すき間の面積は周長×幅。四辺を数え忘れると4倍ずれる。
- 1 m角の窓なら、幅0.25 mmでガラス本体と並ぶ。
- 遮音はすき間対策が先。材料の性能を上げても穴があれば効かない。
理解度チェック
音響透過損失20 dBの材料は、音のどれだけを通しますか。
100分の1です。透過損失は10 dB増えるごとに、通り抜ける割合が1桁小さくなります。
窓の周りのすき間の面積は、どう数えますか。
周長×幅で数えます。1 m角の窓なら周長は4 mなので、幅の4倍が面積になります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月