平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問2を解説|逆位相を重ねて残りを最小に
平成30年度 騒音・振動特論 問2は、スピーカから打ち消し用の音を出して風道内の音を弱める方式の消音器について、そのしくみを述べた文章の穴埋め・組合せ問題です。正しい組合せを選びます。
この問題のポイント
この方式は、入ってきた音を捉える役と、打ち消したあとの残りを見張る役という、性格の違う2本のマイクロホンを使い分けます。前者が制御の入力になり、後者が結果の確かめ役です。分かれ目は、後段のマイクで拾った量をどちらへ寄せるように調整するのかという向きと、この方式が力を発揮する周波数域の2点です。波長が長い音ほど位相をそろえやすいので、活躍するのは低い側になります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)
各選択肢の正誤
| 空欄 | 入る語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | A | 入ってきた音をまず捉える側のマイクロホン。ここで拾った波形が、打ち消し音を作るための入力になります。 |
| イ | 逆 | 山と谷が入れ替わった波を重ねると打ち消し合います。同じ向きで重ねれば音は大きくなるだけです。 |
| ウ | B | 重ね合わせたあとに残った音を拾う側のマイクロホン。打ち消しの成否を測る物差しになります。 |
| エ | 最小 | 残った音が小さくなる向きへ出力を調整します。大きくなる向きへ寄せれば音を足すだけで目的と逆になります。 |
| オ | 低い | 波長が長く位相を合わせやすい低い側が得意です。高い側は吸音材などに任せる役割分担になります。 |
ここが分かれ目
まず調整の向きです。打ち消しがうまくいっているかどうかは、干渉したあとに残っている音の大きさでしか判断できません。だから制御は、後段のマイクが拾うレベルが小さくなるほど良いという向きに働きます。ここを取り違えてレベルが大きくなるように調整すると、付加した音がもとの音に上乗せされて事態は悪化します。5つの候補のうち、この向きを誤っているものはその時点で外れます。
次に周波数です。打ち消しが成立するには、もとの波と付加した波が、目的の位置で山と谷をきちんと合わせている必要があります。ところが周波数が高くなるほど波長は短くなり、マイクとスピーカの間隔や信号処理にかかるわずかな時間のずれが、そのまま位相の大きなずれになります。ずれが半波長に近づけば打ち消すつもりの音が逆に足し合わさることすら起こります。波長の長い低い音であれば、多少のずれは位相の小さな狂いにしかなりません。
役割分担の面からも筋が通ります。多孔質の吸音材は高い音をよく吸う一方で低い音には効きにくく、風道の低い音は昔から扱いにくい相手でした。そこを電気的な打ち消しで受け持つ、という位置づけです。
覚え方
- 打ち消し方式は逆位相を重ねて残りを最小に。調整の向きは常に小さくする側。
- マイクは2本。上流側が入ってくる音の検知、下流側が干渉後の見張り。
- 得意なのは低い周波数。高い側は吸音材や膨張形などが受け持つ。
- 波長が短いほど位相合わせに失敗しやすい。ずれ方によっては音が増える。
- 吸音材が苦手な帯域を電気で補う、という補完関係で覚える。
理解度チェック
干渉後の音を拾うマイクロホンは、何のために置かれていますか。
打ち消しの結果を確かめるためです。ここで拾ったレベルが小さくなるようにスピーカの出力を調整します。
音を打ち消す方式が低い周波数に向くのはなぜですか。
低い音は波長が長いため、位置や時間のわずかなずれが位相の狂いになりにくいからです。高い音では位相がそろわず、打ち消しが成立しにくくなります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月