平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問1を解説|耳を外した調査は成り立たない
平成30年度 騒音・振動特論 問1は、工場から出る音で苦情が起きたときに、どの機械が音の出どころなのかを突き止める進め方に関する正誤問題です。最も不適当なものを選びます。
この問題のポイント
出どころ探しは、苦情の出ている場所と怪しい機械の並びを頭に入れ、そのうえで機械の運転条件を動かして音の変わり方を見る、という順で絞り込みます。ここでの引っかけは、測定器さえあれば人の感覚は要らないという発想です。騒音計が示すのはその場に届いている音を全部合わせた大きさで、内訳までは示しません。どの機械の音かという判別は、聞き分けの助けを借りる場面が多く残ります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 苦情地点と候補になる機械の距離や向きを押さえることが、寄与の大小を絞る出発点になります。 |
| (2) | ○(正しい) | 運転を止めたり負荷を変えたりして音の変化を追うのは、寄与している機械を切り分ける基本の手立てです。 |
| (3) | ○(正しい) | 機械のそばで大きく聞こえても苦情地点まで届くとは限らないため、変化の確認は問題が起きている場所で行います。 |
| (4) | ○(正しい) | 振動を生む部分と、その振動を受けて音を出す面が離れていることは珍しくなく、両者を分けて考える必要があります。 |
| (5) | ×(誤り) | 指示値は届いている音の合計しか示さず、聞き分けを最初から外す進め方は音源の絞り込みに向きません。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
この肢の危うさは、自分の耳を判断材料から外すと決めてしまう点にあります。騒音計が返すのは、その地点に届いている音をひとまとめにした一つの数字です。数字が上がったことは分かっても、上がった分がどの機械から来たのかは、その数字の中に書かれていません。
一方で人の耳は、音色や打撃のリズム、回転に伴う周期的なうなりといった手がかりから、機械を言い当てる働きに長けています。現場でまず耳を使い、怪しい機械の運転条件を変えて聞こえ方の変化を確かめ、そのうえで測定器で裏を取る、という順序が現実的です。
もちろん耳だけでも足りません。人によって感じ方に差があり、記録として残せないからです。周波数分析やレベル記録と組み合わせて初めて説得力のある調査になります。つまり耳と測定器のどちらか一方を捨てるという構え自体が、この設問で最も実態に合わない考え方です。
覚え方
- 音源探しは耳と測定器の併用。どちらか一方に寄せない。
- 運転条件を動かして音の変化を見る。止められる機械から順に切り分ける。
- 変化の確認は苦情が出ている地点で。機械のそばの聞こえ方は当てにしない。
- 音を生む部分と音を放つ面は別のことがある。原因側と放射側を分けて探す。
- 騒音計の指示値は合計値。内訳は周波数分析と運転条件の切替で分ける。
理解度チェック
運転条件を変えて音の変化を確かめるとき、どこで比べるのが適切ですか。
苦情が出ている地点で比べます。機械のそばで大きく聞こえる音が、その地点まで同じように届いているとは限らないためです。
騒音計の指示値だけでは音源を絞り込めないのはなぜですか。
指示値は届いている音を合計した大きさだからです。内訳は示されないので、聞き分けや周波数分析、運転条件の切替と組み合わせて分けていきます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月