平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問15を解説|点音源の音響パワーレベルの求め方
平成30年度 騒音・振動概論 問15は、四方へ等しく音を放つ小さな音源について、測った音の大きさから音源そのものの出力を逆算する組合せ問題です。示された条件のうち、逆算した値が指定どおりになるものを選びます。
この問題のポイント
点音源から広がる音は、距離が伸びるほど同じエネルギーが広い球面に薄く塗り広げられるので、音圧レベルは距離の対数に応じて下がります。この関係を逆向きに使えば、測った音圧レベルと測定距離から音源の出力を表す量が求まります。ここで効いてくるのが、音が広がれる空間がまるごとの球なのか、地面で半分に切られた半球なのかという条件です。同じ出力でも、広がれる空間が半分になれば音は薄まりにくく、音圧レベルは高く出ます。分かれ目は二つで、空間の種別ごとに補正値が3 dB違うことと、測定距離が1 mより近いと距離の項が引き算ではなく足し算の向きに効くことです。五つの条件を順に計算していけば、指定値と一致するのは一つだけだと確かめられます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 計算 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 自由空間・1 m・93 dB。距離の項は0なので、93 + 0 + 11 = 104 dB。 | × |
| (2) | 自由空間・2 m・93 dB。距離の項は約6 dBで、93 + 6 + 11 = 110 dB。 | × |
| (3) | 半自由空間・4 m・93 dB。距離の項は約12 dBで、93 + 12 + 8 = 113 dB。惜しいが1 dB足りません。 | × |
| (4) | 半自由空間・0.5 m・112 dB。距離の項は約マイナス6 dBで、112 − 6 + 8 = 114 dB。指定値と一致します。 | ○ |
| (5) | 自由空間・0.5 m・103 dB。103 − 6 + 11 = 108 dB。 | × |
ここが分かれ目
使う式は一本だけです。点音源の音圧レベルは、音響パワーレベルから距離に応じた減り分と空間の種別に応じた補正を引いた値になります。自由空間なら音源を中心にした球の全面へ音が広がるので補正は11 dB、地面のような硬い面の上に置かれて半球にしか広がらない半自由空間なら8 dBです。この3 dBの差は、広がれる面積が半分になった分だけ同じ出力でも音圧レベルが高く出ることを表しています。求めたいのが音源側の量であれば、式を移項して測った音圧レベルに距離の項と補正値を足し戻すだけです。
距離の項は、測定距離の常用対数を20倍した値です。距離が2倍になれば約6 dB増え、4倍なら約12 dB増えます。ここでつまずきやすいのが1 mより近い距離で、0.5 mのように1を下回ると対数が負になり、足し戻す値がマイナスに転じます。近い場所で測ったのだから音圧レベルは高く出ているはずで、そのぶん逆算では差し引く、と考えれば符号を間違えません。半自由空間で0.5 mという条件では、この負の距離項と8 dBの補正が組み合わさって、測定値より2 dBだけ高い値が音源側の量として求まります。
誤りの条件が並ぶ中で特に紛らわしいのが、半自由空間で4 mの組合せです。計算すると指定値にわずか1 dB届かない値になり、対数の値をおおざっぱに丸めていると一致したように見えてしまいます。距離の項は2倍で6 dB、4倍で12 dBという刻みを正確に当てはめることが、この手の設問では決め手になります。もうひとつ押さえておきたいのは、音響パワーレベルが音源そのものに固有の量だという性質です。どれだけ離れて測ろうと、地面の上で測ろうと、正しく換算すれば同じ値に行き着きます。逆算した値が条件ごとにばらばらになるのは当然で、そのうち指定値に一致する条件だけが成り立つ組合せというわけです。
覚え方
- 自由空間は11 dB、半自由空間は8 dB。差の3 dBは広がる空間が半分になる分。
- 点音源は距離2倍で約6 dB減。4倍なら約12 dB減。
- 音源の出力を求めるときは、測定値に距離の項と補正値を足し戻す。
- 距離が1 m未満なら距離の項は負。近いほど大きく測れる分を差し引く。
- 音響パワーレベルは音源固有の量で、測る場所では変わらない。
理解度チェック
自由空間と半自由空間で、点音源の補正値はどれだけ違うか。
3 dB違います。自由空間は11 dB、半自由空間は8 dBです。半球にしか広がれない分だけ音が薄まりにくく、同じ出力でも音圧レベルが3 dB高く出ます。
半自由空間で音源から0.5 mの点の音圧レベルが112 dBのとき、音響パワーレベルはいくらか。
114 dBです。距離の項は0.5の常用対数を20倍した約マイナス6 dB、補正値は8 dBなので、112 − 6 + 8 で求まります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月