平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問14を解説|音の速さは周波数では変わらない
平成30年度 騒音・振動概論 問14は、音が大気の中を進むときのもっとも基本的な性質を並べた正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
音の性質を扱う設問は、量と量の結びつきを問うものと、そもそも結びついていない量を結びつけて見せる引っかけとに分かれます。ここで並んでいるのは、進む速さ、周期、波長、そして音の強さと音圧の関係という四つの軸です。周期と波長は周波数が決まれば一意に決まる量なので、周波数を上げれば両方とも短くなります。ところが速さは事情が違い、決めているのは音そのものではなく音が通る空気の状態のほうです。引っかけの核心は一点だけで、周波数を上げれば進む速さも変わると読ませるところにあります。同じ選択肢の並びの中に、気温で速さが変わるという正しい記述をあえて置いてあるのが、この設問の作りです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 空気の温度が上がると分子の運動が活発になり、音の伝わる速さは速くなります。 |
| (2) | ○(正しい) | 周期は周波数の逆数なので、1秒あたりの振動回数が増えれば1回分の時間は短くなります。 |
| (3) | ○(正しい) | 波長は音速を周波数で割った値です。速さが同じなら、周波数が上がるほど波長は短くなります。 |
| (4) | ○(正しい) | 音の強さは音圧の2乗を空気の特性インピーダンスで割った値で、音圧の2乗に比例します。 |
| (5) | ×(誤り) | 空気中の音速は周波数によって変わりません。速さを決めているのは媒質側の状態です。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
音は、空気そのものが前後に押し合いへし合いしながら圧力の疎密を隣へ受け渡していく現象です。受け渡しの速さを決めているのは、押されたときに空気がどれだけ弾き返すかという媒質の弾性と密度であって、押し方が速いか遅いか、つまり周波数ではありません。だから空気中では、低い音も高い音も同じ速さで進みます。周波数が高くなると音の伝わる速さが遅くなるという主張は、この関係を取り違えています。
もしこの主張が本当なら、日常には奇妙なことが起こります。離れた場所で演奏される曲は、高い音と低い音が別々の時刻に届くことになり、遠くで聴くほど和音が崩れ、旋律とリズムがずれて聞こえるはずです。実際にはそうならず、遠くの音は小さくなり高い音が空気に吸われて減るだけで、時間の前後が入れ替わることはありません。周波数によって速さが変わらないという事実は、耳で毎日確かめていることでもあります。
一方で、選択肢の中にある気温と速さの関係は正しい記述です。空気が温まるほど分子の熱運動が激しくなり、圧力の変化を隣へ渡す動作が速くなるため、音速は上がります。ここが混乱しやすい点で、速さを動かせるのは温度のような媒質側の条件だけ、と整理しておけば取り違えません。そして速さが一定であることが決まると、波長は周波数だけで決まる量になり、周波数が上がれば波長は短くなるという関係が素直に読めます。周期にいたっては周波数の逆数そのもので、媒質とはまったく関係がありません。
判別のコツは、量を音源側の量か媒質側の量かで仕分けることです。周波数、周期、波形は音源が決める量、速さと特性インピーダンスは空気が決める量、そして波長は両者の割り算で出てくる量です。この三分類を持っていれば、似た文面が別の年度で出ても、どこをいじられたのかがすぐ見えます。
覚え方
- 音速を決めるのは媒質、周期と波長を決めるのは周波数。混ぜない。
- 空気が温まれば音速は速くなる。気温以外に周波数や音圧レベルでは変わらない。
- 周期は周波数の逆数、波長は音速÷周波数。周波数が上がれば両方とも短い。
- 音の強さは音圧の2乗に比例。音圧が2倍なら強さは4倍。
- 音源側の量と媒質側の量に仕分けてから、割り算で出る量を最後に置く。
理解度チェック
空気中で高い音と低い音の伝わる速さは違うか。
同じです。速さを決めているのは空気の弾性と密度で、周波数ではありません。周波数が違っても同時に届くため、遠くの演奏でも和音が崩れません。
音圧が2倍になると、音の強さは何倍になるか。
4倍です。音の強さは音圧の2乗に比例するため、音圧の倍率を2乗した値になります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月