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平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問12を解説|難聴(騒音性難聴は感音性・伝音性ではない)

平成30年度 騒音・振動概論 問12は、音が原因で聞こえが落ちる現象の呼び分けについての正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

聞こえが落ちる話には、二本の物差しが同時に走っています。ひとつは戻るか戻らないかという時間の物差し、もうひとつは耳のどこがやられたのかという場所の物差しです。選択肢は、短時間の強大な音で一気に痛める型、長い年月をかけて少しずつ削られる型、年齢とともに進む型を並べ、さらにどの帯域から落ちるかという特徴も混ぜてあります。引っかけの核心は場所の物差しにあり、音を耳の奥へ運ぶ部分と、届いた音を信号に変える部分の区別をすり替えて出してきます。ここを取り違えると、回復するかどうかの見通しまで丸ごと逆になります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)強い音にさらされた直後に聞こえが鈍り、静かな場所で休めば元に戻る状態を指す言葉です。
(2)○(正しい)爆発音のようにごく短い時間の極端に強い音で、一度の暴露でも耳を痛めてしまう型です。
(3)×(誤り)やられるのは音を奥へ運ぶ部分ではなく、届いた音を信号に変える奥の部分です。伝わり方の障害としているのが誤りです。
(4)○(正しい)初期には4 kHz付近だけがくぼむように落ち、その前後は保たれるという特徴的な形をとります。
(5)○(正しい)年齢によるものは高いほうの音から先に聞こえにくくなり、しだいに低いほうへ広がります。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

耳は、音を奥へ運ぶ区間と、運ばれてきた音を電気信号に変える区間に分かれています。前の区間の不調による聞こえの低下は、音そのものは無事なのに届き方が悪い状態です。だから音量を上げれば中身は届きますし、詰まりや炎症といった原因を取り除けば戻る見込みがあります。

いっぽう、業務で長く強い音にさらされて起きる聞こえの低下は、この前の区間ではなく奥にある感じ取る器官で起きています。そこには音の振動を受けて信号を出す細かな細胞が並んでおり、強い音を浴び続けると傷んで脱落していきます。この細胞はいったん失われると元に戻らず、補うこともできません。だから音量を上げても、聞こえるものの言葉として聞き取れないという不自由が残ります。選択肢(3)は、この現象を伝わり方の障害だと言い切っている点で、壊れた場所も、回復の見込みも、両方まとめて誤りになっています。

戻るか戻らないかの物差しと重ねると、筋道はさらにはっきりします。短時間浴びて一時的に鈍る状態は、まだ細胞が疲れているだけの段階で、休ませれば戻ります。しかしこれを毎日繰り返せば、休んでも戻り切らない部分が積み上がり、やがて戻らない低下として固定されます。一時的な鈍りは、戻らない低下の入口だという警告として扱うのが実務の考え方で、だからこそ現場では暴露そのものを断つ対策が優先されます。

初期に現れる形も押さえておきましょう。低下は聞こえる範囲全体に一様に起きるのではなく、はじめは会話に使う帯域よりやや高い4 kHz付近が先にへこみます。この段階では会話に困らないため本人が気付きにくく、健康診断で初めて見つかることが少なくありません。年齢による低下も高いほうから進むため、両者は重なって現れます。区別のうえでは、くぼみが一か所に限られるか、高いほうから裾を引くように広がるかという形の違いが手がかりになります。

覚え方

  • 音でやられるのは運ぶ区間ではなく感じ取る区間。だから元に戻らない。
  • 運ぶ区間の障害は音量を上げれば届き、原因を取れば戻る見込みがある。
  • 一時的な鈍りは戻る。ただし繰り返せば戻らない低下として固定される。
  • ごく短時間の極端に強い音は、一度きりでも耳を痛める。
  • 初期のくぼみは4 kHz付近。会話帯域より高いので本人は気付きにくい。
  • 年齢による低下も高いほうから。形が一点のくぼみか裾広がりかで見分ける。

理解度チェック

Q.

業務で強い音にさらされて起きる聞こえの低下が、元に戻らないのはなぜか。

音を信号に変える奥の器官の細胞が傷んで脱落するからです。この細胞は失われると再び生えることがなく、補うこともできないため、音量を上げても言葉として聞き取れない不自由が残ります。

Q.

初期の聞こえの低下を本人が自覚しにくいのはなぜか。

くぼみが会話に使う帯域より高いところに限られて現れるからです。日常の会話には支障が出ないため、健康診断の測定で初めて分かることが多くなります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF