1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 騒音・振動概論
  4. 平成30年
  5. > 問10 ラウドネスの計算手法

平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問10を解説|ラウドネスの計算手法(帯域の刻みは1/3オクターブ)

平成30年度 騒音・振動概論 問10は、人が感じる音の大きさを測定値から数値として算出する国際規格の中身についての正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

耳が受け取る大きさの感覚は、音圧の値をそのまま並べても再現できません。低い音は感じにくく、隣り合う成分は互いに覆い隠し合い、同じ音圧でも周波数の並び方によって印象が変わるからです。そこで国際規格は、耳の働きを模した手順を定めて感覚量を計算させます。この問題は、その手順がどんな入力を必要とし、どこまでの音に使え、何を出力するかを確かめさせるものです。引っかけの核心は入力側にあり、帯域の刻みを一段粗いものにすり替えて提示しています。耳の分解能より粗い刻みでは、覆い隠し合いの様子を追えないという点を握れば決まります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)規格は2つの部に分かれ、それぞれ提唱者の名を冠した別系統の算出手順が収められています。
(2)○(正しい)大きさの変わらない音だけでなく、時間とともに変動する音にも適用できる手順が用意されています。
(3)○(正しい)音が一方向から届く場合と四方から均等に届く場合の双方に対応でき、条件に応じた補正が定められています。
(4)×(誤り)入力に使うのはオクターブ幅ではなく、その3分の1に刻んだ帯域の音圧レベルです。帯域幅の取り方が誤っています。
(5)○(正しい)感覚量そのものと、それを基準音との比較で表し直した量の両方が得られます。

選択肢(4)のポイント(ここが誤り)

誤りは一語だけ、入力に使う帯域の幅です。オクターブは周波数が倍になるまでをひとまとめにする刻みで、聞こえる範囲の全体を数えるほどの箱に放り込む粗さになります。この粗さでは、耳が周波数を分けて聞いている細かさに追いつきません。ラウドネスの算出は、まず全域を細かい帯域に分けて音圧レベルを取り、その分布を耳の分解能に沿った軸へ並べ替え、隣り合う成分が互いを覆い隠す効果を織り込みながら足し上げていく、という順で進みます。したがって出発点の刻みが粗いと、覆い隠し合いを表現できず、手順そのものが成り立ちません。

実際に規格が求めるのは、オクターブを三等分した幅の帯域ごとの音圧レベルです。全域にわたって測る点は選択肢のとおりですが、刻みは一段細かいと直しておく必要があります。試験では、この帯域の刻みを一段ずらす形の書き換えが繰り返し出ますから、ラウドネスの計算と聞いたら細かいほうと決め打ちしてかまいません。

残る記述は素直です。規格が二部構成で、それぞれ由来の異なる手順を収めている点は、片方が長く使われてきた古典的な方式、もう片方が耳のフィルタの働きをより細かく模した聴覚モデルに基づく方式、という関係で覚えられます。適用できる音についても、定常の音に限らず変動する音まで扱えるように整理されており、音場についても届き方の違いに応じた補正が置かれています。出力の面では、感覚量そのものと、それを聞き慣れた尺度に置き換えた量の両方が算出できます。後者は基準となる純音と比べて何倍の大きさに感じるかではなく、同じ大きさに聞こえる基準音の音圧レベルで表すという関係にあり、両者は相互に換算できる別の表し方です。

覚え方

  • ラウドネスの入力はオクターブではなく1/3オクターブ。刻みが粗いと覆い隠し合いを追えない。
  • 規格は二部構成。古典的な方式と、聴覚モデルに基づく方式の二本立て。
  • 定常の音だけでなく変動する音も対象。適用範囲を狭める記述は疑う。
  • 音場は一方向から届く場合と四方から届く場合の両方に対応。
  • 感覚量と、それを基準音の音圧レベルで言い換えた量。出力は2種類ある。

理解度チェック

Q.

ラウドネスの計算で、帯域の刻みを細かく取らなければならないのはなぜか。

耳は周波数を細かく分けて聞いており、隣り合う成分が互いを覆い隠す効果を織り込まないと感覚量を再現できないからです。オクターブ幅では箱が大きすぎて、この効果を追えません。

Q.

計算で得られる2つの出力は、どういう関係にあるか。

一方は感覚の大きさそのものを表す量、もう一方は同じ大きさに聞こえる基準音の音圧レベルで言い換えた量です。同じ感覚を別の尺度で表したもので、相互に換算できます。

平成30年度 公害防止管理者 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF