平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問9を解説|騒音源(道路種別の超過率の思い込みに注意)
平成30年度 騒音・振動概論 問9は、音を出しているものを種類ごとに並べ、規制の枠組みと実態の説明が正しいかを見る正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
五つの選択肢は、工場の中で動く機械、道路をゆく車、工事の現場、線路の上を走る車両、そして家々から漏れる音と、性格の違う発生源をひととおり並べています。狙いは、それぞれが法の網に入るのか、入らないならなぜかという枠組みの理解と、統計として知られている傾向の把握です。引っかけの核心は道路の話にあり、名前の大きさと沿道での実害の出やすさを結び付けさせようとしてきます。規模の大きい道路ほど音も大きいはずだ、という直感が、そのまま基準を超える割合の順位になるとは限りません。造るときに何をどこまで組み込んだかで、沿道への出方は変わります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 金属を打って成形する機械は、工場等に置かれる規制対象の施設として法令に挙げられており、指定地域内では基準の適用を受けます。 |
| (2) | ×(誤り) | 基準を超える割合が最も高い区分を高速道路だと決めつけている点が誤りです。造るときから沿道対策を組み込む道路より、住宅が直に面する道路のほうが超えやすい傾向です。 |
| (3) | ○(正しい) | 杭を打ち込む機械は、重い部分を落として叩き込む仕組みのため衝撃音が大きく、規制すべき作業として扱われています。 |
| (4) | ○(正しい) | 車輪とレールが接して転がり、表面の凹凸や継ぎ目で叩き合うことが、走行時の音の主な出どころのひとつです。 |
| (5) | ○(正しい) | 家々から漏れる音は出どころも大きさも起きる頻度もばらばらで、一本の基準で線を引くのが難しく、法の規制になじみにくい性格です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
道路に面する地域については、住まいのある場所を単位にして基準を超えているかどうかを調べ、その割合が公表されています。時間帯で見ると、夜のほうが守るべき水準を低く置いているので、同じ交通量でも超過が出やすくなります。ここまでは選択肢の言うとおりで、問題はその先です。
大きな道路ほど超えているに違いない、という見立てが道路の格と沿道の被害を短絡させた思い込みです。自動車専用の高規格な道路は、計画の段階から沿道への配慮が設計に組み込まれます。壁を立て、路面の材質を選び、住宅との間に距離を取り、必要に応じて構造そのものを変える。整備の主体もはっきりしていて、対策の予算が付きやすいという事情もあります。
これに対し、市街地を貫く一般の道路は事情が違います。沿道に住宅が直接面していて、壁を立てる余地も距離を取る余地も乏しいのがふつうです。出入口が連なるため遮るものを連続させられず、信号での停止と発進が繰り返されて音の山も立ちます。結果として、基準を超える割合が高く出やすいのはこちらの側になります。つまり選択肢(2)は、超過率の順位を実態と逆向きに並べていることになります。
ほかの四つは素直です。工場の機械については、施設の種類を政令で挙げて指定地域内での基準を適用する仕組みがあり、金属を打つ機械はその代表格です。工事のほうは、施設ではなく作業を単位にして規制する枠組みが用意されていて、打ち込みの作業はその筆頭に置かれます。鉄道の音は、車体そのものよりも走行部分から出るものが大きな比重を占めます。そして家庭から漏れる音は、時間帯も種類も感じ方も人それぞれで、誰かの生活そのものを一律に禁じることになりかねないため、規制ではなく近隣同士の配慮や自治体の啓発で扱われるのが基本です。
覚え方
- 道路の格と沿道の超過率は比例しない。造るときの対策の有無で決まる。
- 夜は守るべき水準が低い分、超過が出やすい。時間帯の比較はこの向きで固定。
- 工場は施設を指定して規制、工事は作業を指定して規制。単位が違う。
- 鉄道の音は走行部分から。車輪とレールの接するところをまず思い浮かべる。
- 生活の音は一律の線引きになじまない。規制ではなく配慮と啓発で扱う。
理解度チェック
規格の高い自動車専用道路のほうが、沿道で基準を超える割合が高くならないのはなぜか。
計画の段階から遮るものや住宅との距離を設計に組み込めるからです。市街地の一般の道路は沿道に住宅が直接面し、出入口が連なって遮る手だてを続けられないため、超過が出やすくなります。
家庭から漏れる音が法の規制になじみにくいとされるのはなぜか。
出どころの種類も大きさも起きる頻度も音の質もばらばらで一律の線を引けないからです。線を引けば個人の生活そのものを禁じることになりかねず、配慮の呼びかけで扱うのが基本になります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月