平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問7を解説|騒音の定義(定義するのは用語規格、基準値ではない)
平成30年度 騒音・振動概論 問7は、耳ざわりな音を指す言葉がどの決まりの中でどう言い表されているかを問う正誤問題です。言葉の意味の決め方として当てはまるものを選びます。
この問題のポイント
五つの選択肢は、法律・告示・条例・工業規格という出どころの違う文書を並べ、そのどれが言葉そのものの意味を決めているかを見分けさせます。ここでいう定義とは、その語がどういう音を指すのかを説明した文のこと。一方、基準値は、ある音が守るべき水準に収まっているかどうかを判定するための物差しであって、語の意味を作り出すものではありません。引っかけの核心はここにあり、四つの誤り肢はいずれもある大きさを超えた音だけがその語に当たるという形をとっています。数値で線を引いた瞬間に、それは判定の話であって意味の説明ではなくなる、という一点を握っていれば全部片づきます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(正しい記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 音響の用語を定める工業規格は、聞き手にとって快くない音・望ましくない音と、それによる妨げまでをこの語に含めています。これが定義文です。 |
| (2) | ×(誤り) | 環境基準は達成を目指す行政上の目標水準で、超えた音だけを指す語だという決め方ではありません。 |
| (3) | ×(誤り) | 規制基準を超えた状態は守るべき限度に反した状態を意味するだけで、語の意味を説明した規定ではありません。 |
| (4) | ×(誤り) | 条例が挙げるのは規制を及ぼす相手の範囲です。対象を列挙しても言葉の意味を説明したことにはなりません。 |
| (5) | ×(誤り) | 告示が示すのは地域の区分ごとに守るべき水準であって、ある値以上を指す語だと言い切る中身ではありません。 |
選択肢(1)のポイント(ここが定義)
文書には役割の違いがあります。用語の規格は、その分野で言葉を混乱なく使うために意味そのものを書き下ろす文書です。だから、そこに置かれた説明文はまさしく定義になります。この語について規格が採る立場は、受け手にとって望ましくないかどうかで線を引くというもの。音の大きさを持ち出さず、聞かされる側の受け取り方を基準に据えている点が特徴です。
この立て方には理由があります。同じ音でも、演奏している本人には音楽で、隣家の住人には妨げになります。昼間なら気にならない大きさでも、深夜には眠りを妨げます。つまり望ましくないかどうかは、音の物理的な大きさだけでは決まりません。だから何デシベル以上をそう呼ぶという決め方は、そもそも成り立ちません。
残る四つは、いずれもこの成り立たない形に落ちています。環境基準は、人の健康を守り生活環境を保つうえで望ましい水準として掲げられた目標です。目標を超えた音を語の意味だと言ってしまうと、目標より小さければ妨げになっていても対象外という奇妙な結論になります。規制基準も同じで、こちらは事業者に守らせる限度ですから、超えれば違反という効果は生じますが、その効果は語の意味とは別物です。条例が音源を並べる場合も、規制の網をどこに掛けるかを決めているだけで、網の外の音がその語に当たらなくなるわけではありません。鉄道について定めた告示も、地域の区分ごとに守るべき水準を掲げた文書であり、85 dB という一本の線で語の意味を切り出したものではありません。
試験対策としては、定義を聞かれたら基準値の話に乗らないと決めておくのが確実です。選択肢に数値や基準名が出てきたら、それは判定のための道具であって意味の説明ではない、と機械的に外していけば、残る一つが答えになります。
覚え方
- 意味を決めるのは用語の規格、基準値は判定の物差し。役割が違う。
- 定義を問う設問で数値の線引きが出てきたら、まず疑う。
- 環境基準=目指す水準、規制基準=守らせる限度。どちらも語の説明ではない。
- 条例が並べるのは規制の対象。対象の列挙は定義の代わりにならない。
- 同じ音でも受け手と時間帯で望ましさが変わる。主観を含むのがこの語の性格。
理解度チェック
環境基準や規制基準を超えた音、という言い方が定義になりえないのはなぜか。
基準値は守るべき水準に収まっているかを判定する物差しだからです。物差しの目盛りは、その語がどういう音を指すかという意味そのものを作りません。基準より小さくても人の妨げになる音はあり、数値で切り出すと取りこぼしが出ます。
用語の規格は、この語をどういう立場から説明しているか。
音を出す側ではなく聞かされる側の受け取り方を基準にしています。快くない音、望ましくない音、そしてそれによる妨げまでを含める説明で、音の大きさを条件にしていません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月