平成30年度 公害防止管理者 騒音・振動概論 問3を解説|条例で置き換えるのは町村
平成30年度 騒音・振動概論 問3は、地域の事情に合わせて揺れをはかる物差しを別のものに差し替える仕組みを問う穴埋め問題です。
この問題のポイント
揺れの基準づくりは二段構えになっています。まず国が全国共通の枠を示し、その枠の内側で地域ごとの数値が決められます。それでも土地の使われ方や地盤の事情から、標準の物差しでは住民の暮らしを守りきれない場所が出てきます。そのときに条例で別の物差しを当てはめられるようにしたのがこの規定です。差がつくのは主語で、最初の段階で誰が基準を決めているかによって、条例で差し替える側に残る顔ぶれが変わります。音の法律と揺れの法律は条文がよく似ているのに、ここだけが食い違うため、片方の記憶をそのまま持ち込むと取り違えます。もうひとつの分かれ目は、国が示した枠に対して条例がどこまで踏み込めるかという方向の問題です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
空欄に入る正しい語句
| 空欄 | 語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | 町村 | 市の区域では市長が最初の基準を自ら定めているため、条例で差し替える役として残るのは町村です。 |
| イ | 環境大臣 | 全国共通の枠を示すのは国の役割で、都道府県知事はその枠の内側で数値を当てはめる側にいます。 |
| ウ | 範囲内において | 条例で差し替えるときも、国が示した枠の内側にとどまることが条件です。 |
ここが分かれ目
最初の分かれ目はアです。揺れの法律では、地域ごとの基準を定める役が都道府県知事、ただし市の区域についてはその市長と書かれています。市の区域はこの時点ですでに市長の手にあるので、あとから条例で別の基準を持ち込む必要がありません。条例で差し替える主体として残るのは、市を含まない町村だけになります。一方、音の法律の同じ位置にある規定は主語が市町村で、市も含まれます。二つの法律は条文の作りがほとんど同じなのに、ここだけが食い違うので、どちらか一方の記憶を機械的に当てはめると外します。市が最初の段階に入っているかどうかで、あとに残る主語が決まると押さえてください。
次にイです。基準の枠を示すのは国、すなわち環境大臣です。都道府県知事は枠を作る側ではなく、示された枠の内側で時間帯や区域の区分ごとに具体的な数値を割り付ける側にいます。選択肢のなかに知事を持ってくる組合せがありますが、知事が枠を示す立場に回ることはありません。国が上限と下限の幅を決め、都道府県がその幅の中で地域に当てはめ、町村がさらに事情に応じて差し替える、という三段の積み上げです。
最後がウで、ここが最も引っかかりやすい語句です。条例で置き換える基準は、国が示した枠の内側でなければならず、枠の外に出る基準を条例で定めてはなりません。地域の事情に応じて手当てする仕組みだからといって、国の枠を突き抜けてよいわけではない、というのがこの規定の設計です。枠を突き抜ける向きで書かれた組合せは、この一語だけで切れます。アとウのどちらか一方が分かれば正解は絞れるので、二つとも思い出せなくても慌てる必要はありません。
覚え方
- 揺れの条例は町村、音の条例は市町村。市が先に入るかどうかで主語が変わる。
- 枠を示すのは国、幅の中で割り付けるのが都道府県、事情に応じて差し替えるのが町村。
- 条例による差し替えは枠の内側だけ。枠の外へ出る基準を定めてはならない。
- 組合せ問題は全部の空欄をそろえなくてよい。一つ確信できれば候補は一気に減る。
- 枠を突き抜ける向きの言い回しが出てきたら、まずそこを疑う。
理解度チェック
揺れの法律で、条例により基準を差し替える主体が町村に限られるのはなぜか。
地域ごとの基準を定める役が都道府県知事、市の区域についてはその市長とされているためです。市の区域は最初から市長の手にあるので、条例で差し替える側に残るのは町村だけになります。
条例で定める基準は、国が示した枠に対してどこまで踏み込めるか。
枠の内側にとどまらなければなりません。地域の事情に応じた手当てであっても、国が示した範囲の外に出る基準を条例で定めてはならない設計です。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月