平成30年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問15を解説|余剰汚泥は増える分と減る分の差
平成30年度 汚水処理特論 問15は、与えられた式を使って余剰汚泥生成量を求める計算問題です。
この問題のポイント
この問題は式が与えられているので、2つの項に何を入れるかさえ間違えなければ解けます。分かれ目は除去BOD量と曝気槽内汚泥量を取り違えないことで、前者は流入と流出の差、後者は槽の中にいる汚泥の重さです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(13.5 kg/日)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | 10.5 kg/日。除去BOD量の計算で流出分を引き忘れると、値がずれます。 |
| (2) | × | 12.0 kg/日。自己酸化の項の扱いを誤ると近い値が出ます。 |
| (3) | ○ | 13.5 kg/日。増加分から自己酸化分を差し引いた値と一致します。これが正解です。 |
| (4) | × | 15.0 kg/日。槽内汚泥量の求め方を誤ると、この付近になります。 |
| (5) | × | 16.5 kg/日。2つの項の両方を誤った場合の値です。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 手順1 除去BOD量 | 流入と処理水の濃度の差に流量を掛けます。流出分を引くのを忘れない。 | 57 kg/日 |
| 手順2 増加分 | 手順1に転換率を掛けます。除去した汚れのうち汚泥になる割合です。 | 28.5 kg/日 |
| 手順3 槽内汚泥量 | MLSS濃度に曝気槽の容積を掛けます。 | 300 kg |
| 手順4 減少分 | 手順3に自己酸化率を掛けます。汚泥が自分を食べて減る分です。 | 15 kg/日 |
| 手順5 差し引く | 増加分から減少分を引きます。 | 13.5 kg/日 |
ここが分かれ目
余剰汚泥の式は、汚泥が増える働きと減る働きの綱引きを表しています。増えるのは、除去した有機物の一部が微生物の体になるからで、その割合が転換率です。減るのは、餌が足りないときに微生物が自分の体を分解してエネルギーを取るからで、これが内生呼吸による自己酸化です。差し引きで残った分が、系外へ抜かなければならない余剰汚泥になります。
数字の取り違えは2か所で起こります。1つ目は除去BOD量で、流入濃度だけを使って処理水の分を引き忘れると、除去していない分まで数えてしまいます。2つ目は自己酸化の項に掛ける相手で、これはBOD量ではなく槽の中にいる汚泥の重さです。自己酸化は汚泥の量に比例して進むので、汚泥が多いほど減る分も大きくなります。汚泥をたくさん抱えた運転ほど余剰汚泥が出にくくなるのはこのためで、2つの項の相手が違うことを押さえておけば取り違えません。
覚え方
- 余剰汚泥は増える分(除去BODの一部が汚泥になる)− 減る分(自己酸化)の差。
- 除去BOD量は流入と処理水の差×流量。流出分を引き忘れない。
- 自己酸化の項が掛かる相手は槽内汚泥量。BOD量ではない。
- 汚泥を多く抱える運転ほど自己酸化で減る分が増え、余剰汚泥は出にくくなる。低負荷運転の利点。
理解度チェック
余剰汚泥生成量の式にある2つの項は、それぞれ何を表していますか。
第1項は除去した有機物の一部が微生物の体になって増える分、第2項は内生呼吸によって汚泥が自分を分解して減る分です。差し引きが余剰汚泥になります。
自己酸化の項は、何に比例しますか。
曝気槽内の汚泥量に比例します。除去BOD量ではありません。汚泥を多く抱えた運転ほど減る分が大きくなり、余剰汚泥は出にくくなります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月