平成30年度 公害防止管理者 汚水処理特論 問16を解説|活性汚泥法のMLSS濃度の順(膜分離>OD法>標準法)
平成30年度 汚水処理特論 問16は、代表的な三つの活性汚泥処理が、曝気槽にどれだけ濃く微生物を抱えて運転されるかを並べ替える問題です。最も適切なものを選びます。
この問題のポイント
三つの方式それぞれの数値を暗記していなくても、順番は理屈で立ちます。曝気槽の中の汚泥をどこまで濃くできるかを決めているのは、じつは曝気槽ではなく、その後ろで水と汚泥を分ける仕組みのほうだからです。分かれ目は、沈めて分ける方式には自然と天井があり、その天井を取り払った方式だけが飛び抜けて濃くできる、という関係に気づけるかどうか。処理の目的や負荷の大小から順位を推し量ろうとすると、二番手と三番手で迷うことになります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
MLSS濃度が高い順の並び
| 並び | 方式 | 読み解き |
|---|---|---|
| 1番 | 膜分離活性汚泥法 | 膜でこし取って分けるため、汚泥が沈むかどうかに縛られず、最も濃い状態で運転できます。 |
| 2番 | オキシデーションディッチ法 | 負荷を低くして長く曝気する運転なので、沈殿池で分ける方式の中では汚泥を濃く保ちます。 |
| 3番 | 標準活性汚泥法 | 沈殿池の分離能力に見合う範囲で運転するため、三つの中では最も薄くなります。 |
この並びになっている組合せは選択肢(3)です。
ここが分かれ目
順位を決めているのは、処理水と汚泥をどうやって分けているかです。標準活性汚泥法とオキシデーションディッチ法は、どちらも最終沈殿池で汚泥を沈めて分けます。この方式では、曝気槽の汚泥を濃くしていくと沈殿池に運ばれてくる固形分が増え、やがて沈みきらなくなって処理水と一緒に流れ出てしまいます。沈めて分ける限り、汚泥の沈降性がそのままMLSSの天井になるわけです。
膜分離活性汚泥法は、この天井を外した方式です。膜でこし取るので、汚泥が沈みやすいかどうかは分離の成否に関係しません。だから濃くしても分離が破綻しない膜分離が、三つの中で最も高いMLSSで運転できます。曝気槽に微生物を多く抱えられれば、同じ処理量に必要な槽の容積を小さくできますし、沈殿池そのものを省けるという利点も生まれます。
残る二つの上下は、運転の狙いの違いで決まります。オキシデーションディッチ法は水路を循環させながら長い時間をかけて曝気する低負荷型の運転で、微生物一匹あたりに回ってくる餌が少ない状態です。汚泥の引き抜きを抑えて系内に長く留めるため、標準活性汚泥法より汚泥は濃くなります。標準活性汚泥法はこれに比べて短い時間で処理する方式で、沈殿池の能力に見合う濃度に収めて運転されます。したがって三つの並びは膜分離が最も濃く、標準法が最も薄いとなります。
なお、順位を「新しい方式ほど高性能だから濃い」といった印象で決めるのは危険です。濃く運転できることは高性能の証しではなく、固液分離の方式が課している制約が緩いことの結果にすぎません。分離の仕組みへ視線を戻すのが、この種の並べ替えを外さないこつです。
覚え方
- MLSSの上限を決めるのは曝気槽ではなく固液分離の方式。
- 沈めて分ける方式は、沈まなくなる濃度が天井。膜で分ければその天井が消える。
- 低負荷・長時間で運転する方式ほど汚泥は濃くなる。
- 並びは「膜分離>オキシデーションディッチ>標準」。
- 汚泥を濃くできれば曝気槽は小さくできる。膜分離は沈殿池そのものが不要。
理解度チェック
膜分離活性汚泥法が高いMLSS濃度で運転できるのはなぜか。
固液分離を膜で行うためです。沈殿池で沈めて分ける方式では汚泥が沈みきらなくなる濃度が上限になりますが、膜でこし取る方式では汚泥の沈降性に縛られないため、その制約がなくなります。
オキシデーションディッチ法と標準活性汚泥法では、どちらのMLSS濃度が高いか。
オキシデーションディッチ法のほうが高くなります。低い負荷で長時間曝気し、汚泥を系内に長く留める運転をするためです。ただしどちらも沈殿池で分けるので、膜分離活性汚泥法には及びません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 汚水処理特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月