平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問14を解説|TDIの設定経緯
平成30年度 ダイオキシン類概論 問14は、生涯にわたって取り込み続けても健康への影響がないとされる一日あたりの量について、どこがいつどの水準を示したかを対応づける問題です。誤っている組合せを選びます。
この問題のポイント
耐容一日摂取量(TDI)は、体重1 kgあたり一日に取り込んでよい量を毒性等量で表したものです。この問題は年代順に5行が並んでおり、上から下へ値が段階的に引き下げられてきた流れをたどれば、不自然な行が浮き上がります。狙われているのは最後の行で、国際機関が幅を持たせて示した水準のうち、国内がどちら側を採ったかという1点です。幅の下限を国内の値と取り違えると外します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている組合せ)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 最も早い時期に国際機関が示した値で、この一連の見直しの出発点にあたります。組合せは合っています。 |
| (2) | ○(正しい) | 国内で最初に示された値で、当時の国際機関の水準をそのまま採っています。組合せは合っています。 |
| (3) | ○(正しい) | 知見の蓄積を受けて国内の値が半分に引き下げられた段階で、示された値と一致します。 |
| (4) | ○(正しい) | 国際機関が幅を持たせて示した段階です。上限を当面の許容水準とし、下限をさらに目指すべき水準とする示し方でした。 |
| (5) | ×(誤り) | 国内で採られたのは幅の上限側の4であり、ここに示された値ではありません。この値が現在の法令上の水準にもなっています。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
直前の行で国際機関が幅を示した点が、この問題の仕掛けです。幅の下限は究極的に目指すべき水準であって、直ちに適用する値ではありません。国内の審議会はこれを受け、当面の値として上限側を採りました。目標値と適用値を同じものとして扱うと、この行を正しいと読んでしまいます。
採られた値はその後、ダイオキシン類対策特別措置法における耐容一日摂取量として位置づけられ、現在も同じ水準が使われています。大気や水質の環境基準は、この一日あたりの量から逆算する形で組み立てられているため、すべての基準値の出発点にあたる数字だと理解しておくと、他の問題ともつながります。単位が体重1 kgあたり・一日あたりで示されている点も、体重の違いを踏まえた指標であることの表れです。
年代順の並びを見ると、値は10から5へ、さらに4へと下がってきました。見直しのたびに緩くなることはないので、下の行ほど小さい値が来るのが自然です。ただし最下段だけは、直前の幅の下限まで一気に下がるのではなく、上限側で止まっています。この「下がるが、下がりきらない」という形を押さえておくと、値を思い出せないときの手がかりになります。
覚え方
- 耐容一日摂取量の推移は10 → 5 → 4 と下がって止まる。現行は最後の値。
- 幅で示されたときは、上限が当面の適用値、下限が将来の目標値。
- 単位は体重1 kgあたり・一日あたりの毒性等量。体重で割る指標だと押さえる。
- 環境基準はこの一日あたりの量から逆算して決められている。
- 年代順の表は、値が単調に下がるかを最初に確認する。上がる行があれば疑う。
理解度チェック
国際機関が幅で示した場合、国内はどちら側を採りましたか。
上限側です。下限は将来的に目指す水準であり、当面適用する値としては上限側が採られました。
耐容一日摂取量は、環境基準とどうつながっていますか。
逆算の出発点になっています。一日あたりの許容量から、大気や水質でどの濃度までなら許されるかが導かれます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月