平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問8を解説|物理的・化学的性質
平成30年度 ダイオキシン類概論 問8は、融点や蒸気圧、油への馴染みやすさといった性質の大小関係に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
並んでいるのは、どれも環境中でどう振る舞うかを左右する指標です。溶けにくく飛びにくいものは粒子にくっついて動き、油に強く引かれるものは生き物の脂肪へ入り込みます。指標そのものの意味を問うというより、二つの群を並べたときにどちらが上かという向きが問われています。引っかけの核心は、酸素の数が違う二つの群を比べた一文にあり、そこだけ高低が逆さまになっています。しかも判断の手がかりは、同じ問題の別の肢の中に置かれています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 気体として漂うのか粒子に付くのか、水に残るのか底質へ沈むのかは、これらの性質から決まります。 |
| (2) | ×(誤り) | 融点の高低が入れ替わっています。酸素二つで橋渡しされた群のほうが、溶け出す温度は高くなります。 |
| (3) | ○(正しい) | 塩素が少ないものほど飛びやすく、塩素が席を埋め尽くしたものは最も飛びにくくなります。 |
| (4) | ○(正しい) | 常温では無色の結晶で、記載された融点の範囲も報告値と食い違いません。 |
| (5) | ○(正しい) | オクタノールと水への分かれ方を示す値で、水よりも油側へ圧倒的に偏ることを表しています。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
融点は、結晶の中で分子どうしがどれだけきちんと積み重なっているかで決まります。二つのベンゼン環が酸素二つで橋渡しされた骨格は、真ん中に六員環ができて全体が平らで左右対称に近い形になります。平らで対称な分子は、板を重ねるように隙間なく並ぶため、崩すのに高い温度が要ります。一方、酸素が一つだけで真ん中が五員環になった骨格は、そのぶん形がゆがんで積み重なりが緩くなり、より低い温度で崩れます。したがって酸素二つの群のほうが低いという向きは、構造から導かれる結論と逆です。
この向きは、同じ問題の中で確かめることもできます。塩素が四つ付いたダイオキシン側の融点は300度を超える範囲だと別の肢に書かれています。同じ塩素数のフラン側はこれより低い温度で溶けるので、二つを並べれば高低の関係は一目で分かります。問題文の中に置かれた具体値を、他の肢の検算に使うという解き方は、性質を問う設問で広く通用します。なお、選択肢の中に出てくる差の幅そのものは覚える必要がなく、どちらが上かという向きさえ押さえておけば正誤の判断はつきます。
覚え方
- 融点は平らで対称なダイオキシン側が高く、五員環のフラン側が低い。
- 塩素が増えると、飛びにくくなり油へ移りやすくなる。蒸気圧は下がり分配係数は上がる。
- 蒸気圧が低いほど粒子に付いて運ばれる。挙動の予測はここから始まる。
- 問題文中の具体値は、他の肢の大小を検算する物差しに使える。
理解度チェック
PCDDsとPCDFsでは、どちらの融点が高い傾向にありますか。
PCDDsのほうが高い傾向です。酸素2個で橋渡しされた平面的で対称性の高い骨格が、結晶として崩れにくいためです。
塩素の数が増えると、蒸気圧はどうなりますか。
低くなります。そのため塩素数の多い同族体ほど気体として漂いにくく、粒子に付いた形で運ばれやすくなります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月