平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問24を解説|サンプリングスパイク回収率
平成30年度 ダイオキシン類特論 問24は、採取の前に加えた目印がどれだけ生き残ったかを、何を物差しにして計算するのかを問う穴埋め問題です。ア及びイに入る語句と数値の正しい組合せを選びます。
この問題のポイント
採取の前に加えた目印は、加えた量が分かっているのに、装置に届く量は操作しだいで変わります。ではどれだけ届いたと言えるのか。ここで比較の相手に選ばれるのが、抽出の直前に加えたほうの目印です。こちらは定量の基準そのものなので、面積を突き合わせれば量に換算できます。注入だけを確かめる最後の目印を比較相手に選ぶと、前処理での目減りが見えなくなるのが引っかけの核心です。計算では、面積の比、添加量の比、そして装置の感度差を補正する係数の三つを組み合わせます。係数を掛けるのか割るのかで答えが二通りに割れ、選択肢もそう作られています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各選択肢の正誤
| 空欄 | 入る語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | クリーンアップスパイク | 抽出の直前に加える目印で、定量の基準になります。加えた量が確かで面積から量に換算できるため、比較の物差しとして使えます。 |
| イ | 86 | 面積の比1.5に添加量の比0.6を掛け、感度差の係数1.050で割ると0.857となり、百分率にして約86になります。 |
計算の手順
- 面積の比=300000÷200000=1.5。採取前の目印のほうが大きな山を出しています。
- 添加量の比=600 pg÷1000 pg=0.6。基準側は少なめに加えられています。
- 感度差の補正=1.5×0.6÷1.050=0.857…。相対感度は割る側に置きます。
- 百分率に直して約86%。基準はクリーンアップスパイクなので、選択肢(4)。
ここが分かれ目
ひとつ目の分かれ目は、比較相手の選び方です。採取前に加えた目印は、現場での捕集、運搬、そして抽出に入るまでの間に失われる可能性があります。その目減りを測りたいのですから、物差しはその区間を一緒にくぐっていない目印でなければなりません。抽出の直前に加えた目印なら、採取や運搬の影響を受けていないので、基準として使えます。これに対し、装置に入れる直前の目印を基準にすると、前処理での目減りまで含んだ値が出てきてしまい、どの区間の話なのかが分からなくなります。実務でも、採取前の目印の残り具合が定められた範囲を外れたときは試料を採り直し、抽出直前の目印が外れたときは精製をやり直す、というように対処する工程が目印ごとに割り振られています。
ふたつ目は係数の置き場所です。相対感度は、基準側と比べたときにどれだけ強い信号を出しやすいかを表す量です。設問の数値は1を少し超えており、比較相手より信号が出やすいことを意味します。ならば、同じ量が残っていても山は大きめに出るはずで、素直に面積の比だけを見れば実際より多く残っているように見えます。だから感度差は割って打ち消します。掛けてしまうと0.945、つまり約95%となり、これは選択肢に用意されていません。選択肢に並ぶ106という数字は、面積の比と添加量の比を逆向きに組んだときに出てくる値です。式を覚えていなくても、値の意味から向きを決められるようにしておくと確実です。
覚え方
- 採取前の目印の残り具合は、抽出直前の目印を基準にして測る。注入確認用の目印は基準にしない。
- 回収率=(測りたい目印の面積÷基準の目印の面積)×(基準の添加量÷測りたい目印の添加量)÷相対感度×100。
- 相対感度が1より大きい=信号が出やすい。その分は割って打ち消す。
- 目印が基準を外れたときの手当ては工程ごと。採取前の目印なら採り直し、抽出直前の目印なら精製のやり直し。
理解度チェック
採取前に加えた目印の回収率を、注入確認用の目印を基準に計算するとなぜ困りますか。
前処理での目減りまで混ざるからです。採取や運搬の区間だけを切り出せず、原因の切り分けができなくなります。
相対感度が1より大きいとき、面積の比だけで判断するとどうなりますか。
実際より多く残っているように見えます。信号が出やすいぶん山が大きくなるためで、その分は割って補正します。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS K 0311(排ガス中のダイオキシン類の測定方法)
※ この記事の確認日:2026年7月