1. HOME
  2. 過去問解説
  3. ダイオキシン類特論
  4. 平成30年
  5. > 問21 試料ガス採取量の算出

平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問21を解説|試料ガス採取量の算出

平成30年度 ダイオキシン類特論 問21は、装置に注ぐ一滴の感度から出発して、煙道でどれだけ吸い込んでおけばよいのかを逆算する計算問題です。標準状態に直した体積を選びます。

この問題のポイント

感度は装置に注いだ一滴について与えられ、目標は煙道のガス1立方メートルあたりの濃度で与えられています。距離が離れているので、間に挟まった二回の目減りをさかのぼる作業になります。一つは検液のうち一部だけを注いだこと、もう一つは抽出液のうち一部だけを検液にしたことです。どちらも薄めたのではなく取り分けた操作なので、全体に戻すときは掛け算になります。もう一つの分かれ目は単位で、目標値がナノグラムで、感度がピコグラムで示されています。桁を合わせないまま割り算に進むと三桁ずれます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(2.5 m3

計算の手順

手順内容
手順1装置に注いだのは検液の一部なので、検液の全量に戻す。0.08 pg×(20 µL÷2 µL)=0.8 pg。
手順2その検液は抽出液の一部から作ったので、抽出液の全量に戻す。0.8 pg×(50 mL÷20 mL)=2.0 pg。
手順3目標の濃度を桁の合う単位に直す。0.0008 ng/m3=0.8 pg/m3
手順4採取量=抽出液全量に相当する量÷目標濃度=2.0 pg÷0.8 pg/m32.5 m3。よって選択肢(2)。

ここが分かれ目

まず押さえたいのが、掛け算の向きです。検液20 µLのうち2 µLしか注いでいないのですから、装置が見た量は検液全体が持つ量の10分の1にすぎません。全体に戻すには10倍します。同じように、抽出液50 mLのうち20 mLしか使っていないので、抽出液全体に戻すには2.5倍します。分母には実際に使った量、分子には元の全量を置くと覚えておけば、逆数を掛けて答えを外す事故は防げます。もし比を逆にすると、最初の段階で0.008 pg、次で0.0032 pgとなり、必要な採取量は選択肢のどれにも届きません。

次が単位です。ナノグラムとピコグラムは1000倍離れており、0.0008 ng/m3は0.8 pg/m3になります。ここを揃えずに2.0 pgを0.0008で割ると2500という数字が出てしまい、桁だけが合っている見かけの答えに引きずられます。選択肢はいずれも一桁の値なので、割り算に入る前に単位を統一してください。最後に、求めた値の意味も確かめておきます。2.5 m3は、目標とした検出下限を達成するために最低限これだけは吸い込んでおく必要がある量であって、上限ではありません。多く採るほど濃度に直したときの限界値は小さくなり、より薄いところまで評価できます。

覚え方

  • 取り分けた操作をさかのぼるときは元の全量÷使った量を掛ける。分母は必ず実際に使った側。
  • 採取量=(測定方法の限界値×検液全量÷注入量×抽出液全量÷分取量)÷目標濃度。
  • ナノグラムとピコグラムは1000倍差。0.0008 ng=0.8 pgと直してから割る。
  • 求まるのは必要な最低量。多く採るほど薄い濃度まで評価できる。

理解度チェック

Q.

検液20 µLのうち2 µLを注いだとき、検液全体の量に戻すには何倍しますか。

10倍です。装置が見たのは全体の10分の1なので、20÷2を掛けて戻します。

Q.

同じ条件で、目標の検出下限をさらに小さくしたい場合はどうしますか。

採取量を増やします。分母が大きくなるぶん、濃度に直した限界値が下がります。装置側の感度が同じでも評価できる濃度は下げられます。

平成30年度 公害防止管理者 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF
  • JIS K 0311(排ガス中のダイオキシン類の測定方法)