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平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問15を解説|カプロラクタムの製造工程

平成30年度 ダイオキシン類特論 問15は、繊維や樹脂のもとになる環状の化合物をつくる流れについて、出発原料・反応に使う酸・できた製品の用途という三つの空欄を埋める穴埋め問題です。ア~ウに入る語句の正しい組合せを選びます。

この問題のポイント

この工程は、光を当てて塩素を含む試薬を反応させる段階と、できた中間体を強い酸で組み替える段階の二段構えです。したがって、はじめに用意すべき骨格は、組み替えた後の環の大きさから逆算して決まります。分かれ目は出発物質が環になっているかどうかで、鎖状の炭化水素や二重結合が詰まった芳香環を選ぶと、その後の段取りが成り立ちません。三つの空欄は独立ではなく、一本の筋でつながっています。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)

各選択肢の正誤

空欄入る語句読み解き
シクロヘキサン炭素6個がすでに輪になった飽和炭化水素です。光の力で塩素を含む試薬と反応させると、環を保ったまま窒素と酸素が入った中間体になります。
発煙硫酸中間体の骨格を組み替えて環を一つ広げる操作は、水を強く奪う性質をもつ濃厚な硫酸が担います。
ナイロンできた環状化合物は環を開いてつなぎ合わされ、アミド結合が連なる樹脂・繊維になります。

ア=シクロヘキサン、イ=発煙硫酸、ウ=ナイロン となる組合せは選択肢(3)です。

ここが分かれ目

まずアです。この製法は、輪になった炭化水素の水素を光のエネルギーで引き抜き、そこへ窒素と酸素を含む部分を据えることで中間体を得ます。最初から六員環であることが前提なので、鎖状の炭化水素を選ぶと環そのものが存在せず、後段で環を広げる話にもつながりません。芳香環を選んだ場合も、二重結合が詰まった環に直接この反応を起こすことはできず、別の道筋が必要になります。名前が似ているという理由だけで鎖状の炭化水素を選ぶのが典型的な失点です。

次にイです。中間体から目的物へ進む段階では、骨格の一部が入れ替わって環に窒素が組み込まれ、環員が一つ増えます。この組み替えを起こすには、水を強く奪って反応を押し進める性質の酸が要ります。硝酸や塩酸は酸化や塩の生成には働きますが、この組み替えを進める役割は担えません。単に強い酸なら何でもよいと考えると、ここで選択肢を絞れなくなります。

最後にウです。できた環状化合物は、環を開いて次々に結合させることで長い鎖になります。その鎖にはアミド結合が規則正しく並び、これが吸湿性と強靭さを併せ持つ繊維になります。スチレンから得られる樹脂や、塩化ビニルから得られる樹脂とは原料も結合の種類も違うので、用途を取り違えれば一発で外れます。

なお、この工程がこの科目で扱われるのは、光反応に使う試薬が塩素を含む化合物だからです。塩素が関わる有機合成の場は、副生成物としてダイオキシン類が生じ得る工程として位置づけられています。

覚え方

  • 環を広げる反応は、最初から環である原料でしか始まらない。鎖状の原料は候補外。
  • 骨格を組み替えて環に窒素を入れる操作は、水を奪う濃厚な硫酸の役目。
  • アミド結合が連なる繊維はナイロン。スチレン系・塩化ビニル系とは原料が別。
  • 製品名から原料をたどる癖をつけると、穴埋めの一つが決まれば残りも決まる。
  • 塩素を含む試薬を使う工程は、この科目で必ず発生源候補として挙がる。

理解度チェック

Q.

この製法の出発原料が環状の炭化水素でなければならないのはなぜですか。

後の工程が環を一つ広げる反応だからです。もとに環がなければ広げる対象がなく、目的の環状化合物になりません。

Q.

カプロラクタムは何の中間原料になりますか。

ナイロンです。環を開いてつなぎ合わせることで、アミド結合が連なる繊維・樹脂になります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF